命の重さと可能性の重み

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第十一話

少女を治すにはもう、俺の力を使うしかなかった。
俺はその病院の院長と交渉し、少女の治療に俺の力を使うことの許可を貰った。
できれば少女と、少女の両親の許可も貰いたかったが、緊急事態という事を理由に、強硬手段として院長権限で少女の部屋に入り、少女と俺以外を部屋から出してもらった。
そして俺は一人少女と向き合い、力を行使した。
苦しがる少女の胸に手を当て、がむしゃらに力を流し込む。
少女の呻き声が聞こえるが、無視して更に力を使う。
一分後、呻き声が聞こえなくなり少女を見ると、安らかに眠っているのが確認できた。
俺は、汗を流すためにシャワーを浴びた後、仮眠室に入り鍵を閉めた。
そのままベッドに横になり、意識を手放した。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ドンドンドンッ
というドアを叩く音で目覚めた俺は、時計を確認する。
時刻は午前三時をさしており、俺が寝てから三時間もたっていない。
何事かと思いドアを開けた俺は、慌てた様子の当直医から少女が死んだ事を聞かされた…。 




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




結論からいうと、少女が死んだ原因はわからなかった。
俺の力により、彼女の病は確かになくなっていた。
なのに少女は死んでしまった。
医者達は衰弱死だろうといっていたが、俺には心当たりがあった。
その死に方は彼女と同じだったのだ。
彼女も死因は最後までわからなかった。俺の力がわからないのだから、彼女の死因もわかるわけがないのが当たり前だ。
俺は自分の力が信じられなくなっていた。
少女の両親に罵倒された俺は、何かに導かれるように富士の樹海に行き、そこで死を望んだ。

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