命の重さと可能性の重み

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第五話

「さてと、エリカだったか?色々と確認したい事があるのだが、きいてもいいだろうか?」

俺は部屋を出た所にあった机に、彼女エリカと向き合うように座り、話しかける。

「えぇ。かまわないわ。私の方も、ききたい事があるし」

「そうか。なら、まずはそちらの質問に答えよう」

俺は、自分のききたい事より彼女エリカの質問を優先する。何故なら、ここは異世界であり、彼女の反応を見てから対応を決めなければ、どんな馬鹿をしてしまうかわからないからである。

「さっそくだけど、見たところ成人の儀式もすませてなさそうな少年が、何故私たちエルフの使う言葉である、エルフ語を使えるのかしら?」

「……………」

俺は言葉につまる。早くも目論見は、彼女の最初の一言により瓦解した。
何故なら俺は、エルフ語などを喋っているわけではなく、普通に日本語で喋りかけているだけなのである。
つまりこれが「異世界人との会話」の真の効果なのか…。想像だが、俺の言葉はきいた相手の一番理解しやすい言葉としてきこえるのだろう…。便利な力だが、今回は余計だったな………。どう言い訳するか?いっそのこと、全部話してしまうか?

「話せないのかしら?なら、次の質問。この森に突然あらわれたのは何故?」

「……………」

俺は再び言葉につまる。
やはり、全て話して協力してもらったほうがいいのではないだろうか??「なら最後の質問。あなたの力がいきなり膨れ上がったのは何故??しかも、CランクからSランク魔獣と同程度まで膨れ上がるなんて………。明らかに異常よ。」

「…………………」

三度言葉につまる俺。
やはり話して協力してもらおう。もう言い逃れをできる状況じゃない。

「実はだな………」

俺は、自分のことを彼女エリカに話し始めた。

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