命の重さと可能性の重み

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第二話

少年を背負って、自分の家まで戻ってきた少女は、ベッドへと少年をおろし、寝かせる。

「さて、起きるまで待つのもなんだし、先に夕食をつくりますか…。ゆっくり寝ていてくださいね」

少女は少年にそう声をかけると、台所へと向かった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ん…んぅ……?ここはどこだろう?」

少年が目を覚ます。

「知らない天井だし、知らない部屋だ………。いつの間にか暗くなっているし、誰かが拾ってくれたのかな?」

少年は立ち上がりあたりをみまわした後、ベッドに腰掛ける。

「ん?何か光ってる?」

少年は上着のポケットから「可能性目録」を取り出す。

「新しい可能性がふえたのかな?………見てみるか」

少年は「可能性目録」を開き、自らの可能性の欄を見る。
そこには「異世界人との会話」と「助けてくれた少女との絆」の二つが書いてあった。

「この異世界人との会話ってのは、どんな力だろう………?助けてくれた少女との絆ってことは、俺を運んでくれたのは、女の人か」

瞬間、少年の頭を熱い何かが駆け巡る。
先程の体を駆け巡った熱さ程ではないが、頭をおさえてうめく少年。

「うぅ、二回目だからな?さっきよりは大丈夫みたいだ。それと、異世界人との会話っていうのは、自動で字を翻訳してくれるものらしいな…」

少年は、頭をおさえながら、本棚におさまっている本を片手に持ってみる。
先程までは背表紙の文字が読めなかったのだが、今は中身もふくめてちゃんと読める。

「ふんふふ~ん」

「ん?さっきまでは気付かなかったけど、ドアの向こうに誰かいる?」

少年は興味を持って、ドアをあけた。

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