欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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夏休みと修行の日々⑧| チームメンバー内総当たり戦⑤

欠陥魔力騎士86

夏休みと修行の日々⑧ チームメンバー内総当たり戦⑤

「それじゃあ総当たり戦第五戦を開始しよう。西城君と美龍、前に出て」

「おうよっ」

「かしこまりました、ご主兄様」

 第五戦の組み合わせは西城君と美龍。
 実力的には美龍が上だが、相性としては悪くない。
 西城君が細い糸のような勝利を紡ぎきれるかが見ものだな。

「それでは双方、準備はよろしいですね?」

「いつでもオッケーですよ」

「問題ありません」

「それでは開始します」

 5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!

「今回は油断などしません。最初から全力でいきますッ」

「お手柔らかに頼むぜ? 纏い晶華ッ」

 美龍は初手から全力を出すべく、魔力を高めていく。
 それに対し、西城君は基本である纏い晶華を発動して受けに回る。

「天通流九指、夜魔打乃大蛇やまたのおろちッ」

「ッ!?」

「やりすぎだ! 美龍、そこまでッ!!」

 美龍が発動させた夜魔打乃大蛇は、僕が先程発動させたのとは違い、この部屋を押し潰しかねない威力だった。
 発動直前に気づいた僕は、美龍が技を発動に合わせて駆け出し、放たれた直後に夜魔打乃半絶やまたのなかだちで相殺。
 そのまま美龍を押し倒す。

「ご主兄様ぁ。わたくしはここで初めてを……」

「バカなこと言ってないで反省!!」

「うきゅっ」

 押し倒す反動ですぐに立ち上がり、美龍を引っ張り起こしてから頭にチョップ。
 陵君との戦いの反省をいかし、最初から全力を出すのは良いのだが、選んだ技が悪すぎる。
 部屋の中こんなところで美龍が全力の夜魔打乃大蛇を放てば、いくらフィールドがあると言っても部屋が壊れてしまう。
 総当たり戦と言う久しぶりの実戦に、美龍は少し昂りすぎている。

「この試合は美龍の反則負け。互いに不本意だろうけど、西城君の勝ちだ」

「限無がそう言うならそれでいいさ。天通さん、今度はちゃんとした場所でやろうぜ」

「…………はい。その時こそは叩き潰します」

 予想外な展開だったが、これで第五戦は終了。
 次の第六戦は……。

「大和さん、僕とやろうか」

「えぇ。望むところだわ」

 第六戦は僕と大和さんに決めた僕は、大和さんと共に西城君と美龍と入れ替わるようにフィールドへと入った。


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