欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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夏休みと修行の日々②| 合宿と気力の芽生え②

欠陥魔力騎士80

夏休みと修行の日々② 合宿と気力の芽生え②

「大和さん、ムラがありすぎだよっ。美龍は逆にムラが無さすぎ。二人とももっと自然体で!」

「わかったわ」

「かしこまりました」

 西城君と陵君が最初の一歩を踏み出したため、僕は監督するのを大和さんと美龍へとうつした。
 西城君と陵君が次に挑むのは、水の中以外でその感覚を使えるようになること。
 これは日常生活の中で常に行えるようになるのが理想なため、二人には自由に行動してもらっていた。

「今度は逆になってるよ、二人とも! 自然体を忘れずにっ」

 大和さんと美龍は今の二人……西城君と陵君の段階はこなしており、今はその先である戦いながらキープするトレーニングをしている。
 そのため僕の監督のもと、二人にはお昼から戦い続けてもらっていた。

「今のッ。今の瞬間の二人はとても良かったよ! それじゃあその感覚を忘れないように休憩にしよう」

 気力の訓練の三段階目であるこのトレーニングは、理想的なゾーンの発動形体を自分の体に覚え込ませる。
 そのため、理想的な状態になった瞬間に止めて、その感覚を覚えるように休憩をする。
 この休憩でかれこれ十回目。
 だんだんと二人の精度は上がってきていた。

………………
…………
……

「限無限無、キープは結構簡単なんだなっ」

「俺もできるようになったぜ?」

 十五回目の休憩の時、西城君と陵君がやってきてゾーンをキープできたと報告する。

「おぉ、なかなか良くできてるね。それじゃあそれを残り一週間続けようか?」

「「なん……だと!?」」

 僕の言葉を聞いた二人は、驚きすぎたためかゾーンを解除してしまう。

「ふふっ、はははっ」

「「あっ」」

 予想通りすぎて思わず笑ってしまったが、このトレーニングは継続が大切なのだ。
 常にゾーンをキープし、自然体で発動できるようにすること。
 それができて初めて、今の大和さんや美龍のように戦いながらキープできるのだ。

「それじゃ、引き続き頑張ってね?」

「おう。やってやるぜ」

「吠え面かかせてやんよっ」

 二人は僕に指をビシッと突き付けると、訓練へと戻っていくようだった。

(西城君も陵君もさすがだね。大和さんと美龍も上手くなっている。僕も更なる先を目指さないとな……)

 その後、結局三十回の休憩を経て夕飯の時間となり、僕らはトレーニング終わらせた。

「あっそうだ。できればご飯の間もキープだからね?」

「「な、なんだってぇぇぇ」」

「くっ……。ンン、オホン。失礼しました」

 夕飯時に告げた一言にまたもや予想通りの反応をしてくれた二人。
 それにつられた夕顔さんのレアな顔を見て、二人はさらに赤面していた事をここに記しておく。


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