欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)
学年無差別トーナメント⑫| 決勝戦③陵陵子の敗北
欠陥魔力騎士61
学年無差別トーナメント⑫ 決勝戦③陵陵子の敗北
「なかなか面白い技を身に付けたようだね、陵陵子君?」
「流鏑馬……陵」
僕をこの体にした憎むべき女。
同時に、僕に先を示した尊敬すべき女。
「僕は本来、君ごとき雑魚を相手にしたくはないんだよね。来年からはプロリーグのトップを目指す身としては」
「僕が雑魚かどうか、存分に思い知らせてやるッ!!」
まずは牽制として魔力弾を射出、同時に猫だましで懐に入る。
「もらったッ!!」
僕の速さと力の前に、流鏑馬陵は反応もできずに斬られて倒れる。
「どう、だッ」
「どこに攻撃しているんだい?」
「ッ!?」
背後から聞こえたその声に、僕は思わず振り返る。
「なん……で!?」
そこには無傷の流鏑馬陵がこちらを見下ろしていて。
(なんで見下ろされて!?)
気づけば僕は地面に倒れふし、流鏑馬陵を見上げていた。
「僕の反転の星はね? 認識して指定した対象を用いて発動する。以前君を女にしたのは、君に食べさせたモノを指定して使った」
「それが……どうしたッ!?」
僕はなんとか立ち上がろうとして体に力を込める。
(動かないッ!?)
しかし体はまったく動かず、反応すらしない。
「無理だよ。僕がコントロールしているからね」
「なん……だと?」
僕は反転の星に対抗するために、窮鼠猫を噛む特異点を開発した。
僕がそれを発動している限り、流鏑馬陵の反転の星は僕にはきかないはず……。
「今の君はおかしいって話をしているのさ。陵陵子君?」
余裕の笑みを浮かべ、流鏑馬陵が語りかけてくる。
「どういう……意味だ!?」
くくくっと笑いをこらえながら、流鏑馬陵が続ける。
「君に食べさせたモノは、ただのあめ玉だ。つまり君の体の中で溶けて消える。しばらくは残るように細工はしているが、一月以上も持つはずがない」
「……何が、いいたい?」
「君にかけた女になる反転の星は、もうとっくにとけているということだよ、本来ならね」
「ッッッ!?」
どういうことだ? ならばなぜ、僕の体は女のままなんだ!?
「君、そんなに僕のことが怖かったかい?」
「ッ!? どういう意味だッ!!」
確かにあの時、僕は……いや俺は、流鏑馬陵という女に恐怖をおぼえた。
「僕の反転の星には、明確な効果時間は存在しない。すべては相手の思い込みなのだから……」
「なん……だと?」
ただのプラシーボ効果だとでもいいたいのか。
「僕の技は、相手の感覚をある程度操作できる技だ。万能でもないし、対策は可能。まったく完璧な技ではない」
「………………」
「だから今の君の状態は、そのまま君の弱さ……とりわけ心の弱さを示しているわけだよ。陵陵子君?」
「ッッッ!!」
つまり僕は……戦う前から負けていた?
「ちくしょう……ちくしょうッ!!」
「はははっ。そんなに悔しがらなくてもいいよ? 君が弱くて、僕が強かった。ただそれだけのことだから」
「うわぁぁぁぁぁッッッ!!」
僕はその現実に耐えきれず、涙を流して叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。
「それじゃ、そろそろお休みの時間だよ? さようなら、陵陵子君」
流鏑馬陵のその言葉を最後に、僕は意識を手放した。
学年無差別トーナメント⑫ 決勝戦③陵陵子の敗北
「なかなか面白い技を身に付けたようだね、陵陵子君?」
「流鏑馬……陵」
僕をこの体にした憎むべき女。
同時に、僕に先を示した尊敬すべき女。
「僕は本来、君ごとき雑魚を相手にしたくはないんだよね。来年からはプロリーグのトップを目指す身としては」
「僕が雑魚かどうか、存分に思い知らせてやるッ!!」
まずは牽制として魔力弾を射出、同時に猫だましで懐に入る。
「もらったッ!!」
僕の速さと力の前に、流鏑馬陵は反応もできずに斬られて倒れる。
「どう、だッ」
「どこに攻撃しているんだい?」
「ッ!?」
背後から聞こえたその声に、僕は思わず振り返る。
「なん……で!?」
そこには無傷の流鏑馬陵がこちらを見下ろしていて。
(なんで見下ろされて!?)
気づけば僕は地面に倒れふし、流鏑馬陵を見上げていた。
「僕の反転の星はね? 認識して指定した対象を用いて発動する。以前君を女にしたのは、君に食べさせたモノを指定して使った」
「それが……どうしたッ!?」
僕はなんとか立ち上がろうとして体に力を込める。
(動かないッ!?)
しかし体はまったく動かず、反応すらしない。
「無理だよ。僕がコントロールしているからね」
「なん……だと?」
僕は反転の星に対抗するために、窮鼠猫を噛む特異点を開発した。
僕がそれを発動している限り、流鏑馬陵の反転の星は僕にはきかないはず……。
「今の君はおかしいって話をしているのさ。陵陵子君?」
余裕の笑みを浮かべ、流鏑馬陵が語りかけてくる。
「どういう……意味だ!?」
くくくっと笑いをこらえながら、流鏑馬陵が続ける。
「君に食べさせたモノは、ただのあめ玉だ。つまり君の体の中で溶けて消える。しばらくは残るように細工はしているが、一月以上も持つはずがない」
「……何が、いいたい?」
「君にかけた女になる反転の星は、もうとっくにとけているということだよ、本来ならね」
「ッッッ!?」
どういうことだ? ならばなぜ、僕の体は女のままなんだ!?
「君、そんなに僕のことが怖かったかい?」
「ッ!? どういう意味だッ!!」
確かにあの時、僕は……いや俺は、流鏑馬陵という女に恐怖をおぼえた。
「僕の反転の星には、明確な効果時間は存在しない。すべては相手の思い込みなのだから……」
「なん……だと?」
ただのプラシーボ効果だとでもいいたいのか。
「僕の技は、相手の感覚をある程度操作できる技だ。万能でもないし、対策は可能。まったく完璧な技ではない」
「………………」
「だから今の君の状態は、そのまま君の弱さ……とりわけ心の弱さを示しているわけだよ。陵陵子君?」
「ッッッ!!」
つまり僕は……戦う前から負けていた?
「ちくしょう……ちくしょうッ!!」
「はははっ。そんなに悔しがらなくてもいいよ? 君が弱くて、僕が強かった。ただそれだけのことだから」
「うわぁぁぁぁぁッッッ!!」
僕はその現実に耐えきれず、涙を流して叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。
「それじゃ、そろそろお休みの時間だよ? さようなら、陵陵子君」
流鏑馬陵のその言葉を最後に、僕は意識を手放した。
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