欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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学年無差別トーナメント⑥| 四回戦 THE ショータイム

欠陥魔力騎士53

学年無差別トーナメント⑥ 四回戦 THE ショータイム

「やってきました四回戦第一試合。チームグリットVSチーム烈火の雷れっかのいかずち。試合前予想では、チームグリット優勢。しかしチーム烈火の雷には、三年生個人戦二位の花灯雷はなあかりいかずち選手がいますッ!!」

「チーム戦である以上、個々の力よりもチームワークが大切だと言える。だがしかし、個の力が強いということは、相手にとっては辛くなる。場合によっては、一人に対して二人をあてなければならなかったりするからだ」

「本日の試合では、チームグリットはポジションを変えています。レンジャーだった大和選手がミドルスに、ミドルスだった天通美龍選手がレンジャーに。これはどういう思惑なのでしょう?」

「この段階で、奥の手である美龍君を出してきたということは、それだけ雷君を重く見ているということだろう。やはり学年二位は伊達ではない」

「なるほど、なるほど。さて、試合開始の時刻となりました。本試合の実況は私、良司馬御智ながしまみさと。解説は学園長でお送りします。では会場の九条先生、お願いします」

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「両チーム、準備はいいな? ではカウントを開始する」

 5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!

「さて皆、僕はもう諦めた。女の子は無理矢理言うことを聞かせるのは無理だ……とね」

 今日の試合、僕は今まで見せてきている手札だけで十分だと思っていた。
 けれども……

「はっはっは。そりゃ当たり前だな。今日は美龍さんに任せればいいんだろう?」

 西城君は笑うけども、リーダーとしては複雑な心境だ。

「相手に、は、雷選手がいる、けど。美龍さんなら、大丈夫、だと思います」

 陵君のいう通り、美龍に任せればそれで終わる。
 雷さんのような真っ向勝負がすべての人に対して、今の美龍が負けるはずがない。

「美龍ッ、私の代わりに出てるんだから、ちゃんとやりなさいよッ!!」

 いやいや大和さん? 君も三回戦の事は反省してほしいんだよ?

「ふふふ、ふふふふ。ついに私の出番ッ。見ていてください、ご主兄様。美龍が勝利を届けます……」

「あ、あぁ。頼むぞ、美龍。見せすぎない程度にやってくれ」

 といっても美龍が修練で手にしたのは、あくまでも総合力の強化だ。
 ゆえに戦い方が大きく変わったわけではない。

「2つまでだ。それ以上は使うなよ?」

「承りました、ご主兄様。蹴散らして参りますッ!!」

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「さぁ、試合が始まりました。早速動き出した両チームですが……」

「チームグリットは、何故か美龍君以外はリーダーの前に向かっている。フォワードの陵君さえもだ。これはどんな作戦だ?」

「あっ、今美龍選手が相手リーダーと接触する前に、ここで三年二位の花灯雷選手と相見えました」

「学年二位に対してエースをぶつけ、他のメンバーを温存する作戦か? 美龍君一人で雷君に勝てると思っているのか!?」

「今両選手立ち止まり、構えましたッ!!」

「チームグリットのこの作戦、慢心では無いところを見せてもらおうかッ」

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「一年生一位、天通美龍……か。お前一人で俺に勝てると? 俺も随分なめられているな」

「いいえ、なめてなどおりませんよ? 単なる事実です。ご主兄様は事前の戦力分析の結果として、わたくし一人で勝てると判断したのです」

 そう、ご主兄様はわたくしが出たいと言ったとき、それだと勝負にならないとおっしゃった。
 ゆえにもし出たいなら、制限をかけたうえで一人で戦えと。

「今日のわたくしに許されているのは2つまで。恐らくご主兄様は、2つ使えばあなたを倒すには十分と判断したのでしょう」

「はぁ? 2つってカートリッジの事か? お前と俺の間に、そんなに大きな差があるとでも?」

(いえ、カートリッジの数ではなく技の数なのですが……ね)

「それでは、いきますよ? 天通流十指創解あまつりゅうじゅっしそうほどき……夜魔打乃半絶やまたのなかだち

「その技はもう見切って……ッッッ!?」

 天通流の技は、基本的に放った後はコントロールできない。
 指旋突しせんとつなどはその最たる例だ。
 放つだけで、その後は相手に避けられても仕方がない。

(けれどご主兄様は、そう考えなかった)

 わたくしが最初に教わったのは、放った後の技と自らをリンクさせる方法。
 つまり今の夜魔打乃半絶は、放った後縦横無尽にコントロールできる、九股の槍であり剣。

「さぁさぁ、どうぞ無様にお逃げくださいませ……」

………………
…………
……

「そこまでッ、勝者チームグリット」

 美龍が最後の相手まですべてを同じ技で倒しきり、僕たちの勝利が宣言された。

(まぁあれだな、ここで美龍が圧倒的な力を見せておけば、牽制として十分な効果を出す……と思うことにしよう)

「さて、と。皆、解散だよ」

 今日の勝利に酔うこともせず、僕の頭の中は準決勝へとシフトしていた。


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