欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)
新入生歓迎トーナメント⑮| 閉会式と新たなる火種
欠陥魔力騎士33
新入生歓迎トーナメント⑮ 閉会式と新たなる火種
「ここで、大変残念なお知らせがごさいます。先程の決勝戦にて、天通限無兄選手に反則が見つかったため、彼を失格とした上で、二位以下の順位を繰り上げます」
「私としても、大変残念な結果だ。大会運営に直訴もしたのだが、私の力が及ばなかった。大変申し訳ないッ!!」
「最後に、このような形で水をさしました新入生歓迎トーナメントですが、優勝は天通限無弟選手、二位が西城陽斗選手、三位が大和光選手となり、それぞれに記念品が贈答され、公式戦の初記録として各選手に結果が刻まれますッ!!」
「皆、本当によく頑張ってくれた。今回結果を残せなかったものも、来月行われる学年無差別チーム戦にて結果を出せるよう、努力してくれ」
「それでは以上をもちまして、表彰式を終わります。……なお、この後に行われる予定であったエキシビションですが、天通限無兄選手は失格。その技を受けた天通限無弟選手も意識が戻らないため、中止とさせていただきます。重ね重ね申し訳ありません」
「ということで、これにて新入生歓迎トーナメントは完全に終了だ。全員、解散ッ!!」
────────────────────────
「やっぱりこうなった、か……」
僕は控え室で一人、ため息をつく。
「気力を使った以上、こうなることは予想できていた。いくら大和さんがすごいと言っても、大会運営の決定を覆す事は無理に決まってる。わかってたことだ」
(だけど、この胸に込み上げるこの悔しさは、なんなのだろう?)
自分自身への反省? いや、違う。
がっかりさせてしまった観客への気持ち? いや、違う。
「そっか。大和さんをがっかりさせてしまっていないかという、恐れ……なのか」
ふと、自分の気持ちがはっきりする。
(やっぱり僕は、大和さんの事が……)
自分の気持ちにあらためて正面から向き合った僕は、無性に彼女に会いたくなる。
(でも今はダメだ。まずは僕自身が前を向かなきゃ)
大きな後悔と反省を飲み込んだ僕は、次の戦い……つまりは来月行われる学年無差別チーム戦へと気持ちを新たにして、自分の部屋へと帰った。
………………
…………
……
「ただいまー」
「お帰りなさい。早かったのね?」
「お帰りなさいませ、ご主兄様」
部屋に戻った僕を待っていたのは、大和さんと見知らぬ美少女だった。
「えっと、大和さん……はまだいいとして、君、は」
「わたくしの事をお忘れですか? 美龍はご主兄様の事を忘れたことなど、一時でさえなかったというのに……」
なん……だって?
「まさか、本当に美龍……なの、か?」
「えぇ、ご主兄様。あなた様の許嫁にして、第一夫人。常にご主兄様を後ろから支え、時には共に歩む大和撫子。ご主兄様にすべてを捧げた女、美龍でございます」
これは……驚いた。
まさか、試合を見に来ていたのだろうか?
「いいえ、ご主兄様。それは違います」
「相変わらず、僕の心を読めるんだね?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!? 私をおいてけぼりにしないでくれる!?」
僕が美龍の返答を待っていると、横から大和さんが声をかけてくる。
「それでは、あらためまして。お久しぶりです、ご主兄様。そしてこの姿では初めまして、第二夫人候補の大和さん。わたくしの名前は天通美龍。天通家直系にて、ご主兄様の婚約者。第一夫人にして最大の援助者です」
「本当に久しぶりだね。いつこっちに来たんだい?」
もし早くから来ていたなら、少しくらい話がしたかった。
「うふふ。まだお気づきになりませんか?」
「なによなによ、どういうこと?」
「もしかして、影から僕の事を見ていた……とか?」
もしそうなら謝らないと。
「では、種明かしをしましょうか? わたくしは今年度男子首席入学者。天通限無と名乗った男。その正体でございます……」
「「………………ッ!?」」
僕と大和さんは、互いに驚きで声も出ない。
「それでは少しばかり、昔話をいたしましょう」
そう言って美龍が語ったのは、どこまでも僕の援助者であろうとする美龍の姿そのものだった。
新入生歓迎トーナメント⑮ 閉会式と新たなる火種
「ここで、大変残念なお知らせがごさいます。先程の決勝戦にて、天通限無兄選手に反則が見つかったため、彼を失格とした上で、二位以下の順位を繰り上げます」
「私としても、大変残念な結果だ。大会運営に直訴もしたのだが、私の力が及ばなかった。大変申し訳ないッ!!」
「最後に、このような形で水をさしました新入生歓迎トーナメントですが、優勝は天通限無弟選手、二位が西城陽斗選手、三位が大和光選手となり、それぞれに記念品が贈答され、公式戦の初記録として各選手に結果が刻まれますッ!!」
「皆、本当によく頑張ってくれた。今回結果を残せなかったものも、来月行われる学年無差別チーム戦にて結果を出せるよう、努力してくれ」
「それでは以上をもちまして、表彰式を終わります。……なお、この後に行われる予定であったエキシビションですが、天通限無兄選手は失格。その技を受けた天通限無弟選手も意識が戻らないため、中止とさせていただきます。重ね重ね申し訳ありません」
「ということで、これにて新入生歓迎トーナメントは完全に終了だ。全員、解散ッ!!」
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「やっぱりこうなった、か……」
僕は控え室で一人、ため息をつく。
「気力を使った以上、こうなることは予想できていた。いくら大和さんがすごいと言っても、大会運営の決定を覆す事は無理に決まってる。わかってたことだ」
(だけど、この胸に込み上げるこの悔しさは、なんなのだろう?)
自分自身への反省? いや、違う。
がっかりさせてしまった観客への気持ち? いや、違う。
「そっか。大和さんをがっかりさせてしまっていないかという、恐れ……なのか」
ふと、自分の気持ちがはっきりする。
(やっぱり僕は、大和さんの事が……)
自分の気持ちにあらためて正面から向き合った僕は、無性に彼女に会いたくなる。
(でも今はダメだ。まずは僕自身が前を向かなきゃ)
大きな後悔と反省を飲み込んだ僕は、次の戦い……つまりは来月行われる学年無差別チーム戦へと気持ちを新たにして、自分の部屋へと帰った。
………………
…………
……
「ただいまー」
「お帰りなさい。早かったのね?」
「お帰りなさいませ、ご主兄様」
部屋に戻った僕を待っていたのは、大和さんと見知らぬ美少女だった。
「えっと、大和さん……はまだいいとして、君、は」
「わたくしの事をお忘れですか? 美龍はご主兄様の事を忘れたことなど、一時でさえなかったというのに……」
なん……だって?
「まさか、本当に美龍……なの、か?」
「えぇ、ご主兄様。あなた様の許嫁にして、第一夫人。常にご主兄様を後ろから支え、時には共に歩む大和撫子。ご主兄様にすべてを捧げた女、美龍でございます」
これは……驚いた。
まさか、試合を見に来ていたのだろうか?
「いいえ、ご主兄様。それは違います」
「相変わらず、僕の心を読めるんだね?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!? 私をおいてけぼりにしないでくれる!?」
僕が美龍の返答を待っていると、横から大和さんが声をかけてくる。
「それでは、あらためまして。お久しぶりです、ご主兄様。そしてこの姿では初めまして、第二夫人候補の大和さん。わたくしの名前は天通美龍。天通家直系にて、ご主兄様の婚約者。第一夫人にして最大の援助者です」
「本当に久しぶりだね。いつこっちに来たんだい?」
もし早くから来ていたなら、少しくらい話がしたかった。
「うふふ。まだお気づきになりませんか?」
「なによなによ、どういうこと?」
「もしかして、影から僕の事を見ていた……とか?」
もしそうなら謝らないと。
「では、種明かしをしましょうか? わたくしは今年度男子首席入学者。天通限無と名乗った男。その正体でございます……」
「「………………ッ!?」」
僕と大和さんは、互いに驚きで声も出ない。
「それでは少しばかり、昔話をいたしましょう」
そう言って美龍が語ったのは、どこまでも僕の援助者であろうとする美龍の姿そのものだった。
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