欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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新入生歓迎トーナメント⑫| 天通限無(兄)VS天通限無(弟)①

欠陥魔力騎士30

新入生歓迎トーナメント⑫ 天通限無VS天通限無(弟)①

「今日で新入生歓迎トーナメントも最終日。決勝戦をお送りしますッ!! 決勝まで駒を進めたのは、何と同姓同名のこの二人。天通限無兄選手と、天通限無弟選手だぁぁぁッッッ!!」

「このカードは必然といえるのかもしれない。彼らの因縁を考えればな……」

「かたや天通流皆伝。かたや天通流免許皆伝ッ!! 同門対決であり、かつては同じ釜の飯を食べた間柄ッ!! 牙をもがれ、底辺へと落とされていた天才と、名声をほしいままにしてきた天才ッ!! 果たしてどちらが強いのか!?」

「昨日までの結果を見れば、天通弟の方が有利に見えるだろう。しかし今日天通兄が手にしているのは、あの大和光がそのすべてをかけて作り上げた作品だ。天通兄も、昨日の最後に見せた力を使ってくるだろうからな。勝負は五分と五分といったところだろうよ」

「なるほどなるほど。では二人の準備も整ったようですので、早速試合を開始しましょう」

「この試合で、今年の一年生の中での真の頂点が決まる。刮目して見させてもらおう」

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「今日は最初から、全力でいかせてもらいますよ。天通限無さん?」

「僕も、今出せる全力をもって、君と戦うよ。天通限無君」

 フィールドの開始位置にて、僕は彼と向かい合う。
 僕と同じ名前を持つ存在。
 天通流にて、僕よりも上の力を手にした男。
 相手にとって不足はない。

「大和さんとの試合でも、俺はリミッターを3つかけていました。しかし今日の試合では、リミッターは1つもかけません。あなたを倒して、俺が本当の天通限無になるためにねッ!!」

「それは僕も同じことだ。君と言う壁を超えることで、僕は再び天通限無と言う名に誇りを持てる。だからここに宣言するよ。僕の全力すべてをもって、君の全力すべてを凌駕するッ!!」

「双方準備は良いな? それではカウントを開始するッ!!」

 5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!

「最初からいかせてもらいますよ。天通流十指あまつりゅつじゅっし創解そうほどき夜魔打乃やまたの……半絶なかだちッ!!」

「カートリッジロードッ!! 天通流八指あまつりゅうはっし希刻泉きこくせんッ!! そして九指きゅうし夜魔打乃大蛇やまたのおろちッッッ!!」

 彼が作り出した夜魔打乃半絶と、僕が作り出した夜魔打乃大蛇が衝突し、うねりをあげて打ち消し合う。

「はははっ。なかなかやるじゃないですか。でもでもまだまだ甘いです。俺に使えて、あなたに使えないこの創解には、まだ見せてないバリエーションがたくさんあるんですよッ!! 天通流十指創解、夜魔打乃指旋突やまたのしせんとつッ!!」

「ッッッ!?」

 彼が放った次の攻撃は、僕の全方位を囲む龍のアギト。
 それが指旋突の速さと勢いで飛んでくる。

「天通流九指、夜魔打乃大蛇ッッッ!!」

 僕は作り出した夜魔打乃大蛇を後方から来るアギトへぶつけて相殺し、降り下ろした剣を利用して前方から来るアギトを切り伏せる。

「さすがさすがッ!! でもまだまだですよ!? 天通流十指創解は、天通流九指までを組み合わせた技。あなたには一生かかってもたどり着けない境地なんですよッ!!」

「そうだね、その通りだ。僕はかつて、その技を覚えることを諦めた……」

「そうでしょうそうでしょう!? だからこそ貴方は、この技の前に沈むので「でももう覚えた」ッッッ!?」

 昨日もモニターで見ていたし、今日は目の前で見せてもらった。
 覚えてしまえば単純な事で、天通流十指創解とはつまり、天通流九指までの技を同時に、剣の上と下で発動するだけだったのだ。

「見せてあげるよ。君のおかげで覚えた、僕の創解をッ!!」

 僕はカートリッジをロードして、攻撃の構えをとる。

「天通流十指創解。希刻大蛇きこくおろちッッッ!!」

 僕が作り出したのは、先程夜魔打乃半絶を打ち消した時に作り出したものよりも、遥かに巨大な龍の姿。
 九つの頭を持つその龍は、彼を押し潰すべくその巨体を降り下ろす。

「天通流十指創解ッ!! 希刻半絶きこくなかだちッッッ!!」

 僕が放った希刻大蛇を、彼は希刻半絶で一つずつ切り捨てる。
 その間に僕は、残りのカートリッジすべてロードする。

「大和さんの仇だからね、この技で決めようと思っていたんだッ!!」

「くっ、ぐっ、くそッ!!」

 僕が魔力を集める間、先程作り出した龍を使って牽制する。

「いくよ? 集束せしエクス……魔力光の剣カリバァァァッ!!!!」

「ちっッ!! 天通流十指創解。夜魔打乃絶突やまたのだちとつッッッ!!」

「な、その技はッッッ!?」

 一瞬の均衡の後、僕が放った集束せし魔力光の剣は、彼が放った夜魔打乃絶突に打ち消される。

無限領域インフィニティッッッ!!」

 僕は咄嗟に無限領域を発動。
 彼の攻撃をギリギリでかわす。

「ようやく出させましたよ、その力。俺はその力を超えてこそ、貴方を倒した証になるッ!!」

 僕たちの戦いは、そのステージを第二フェーズへと移した。


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