欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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新入生歓迎トーナメント⑩ | 光の敗北と受け継がれる希望

欠陥魔力騎士28

新入生歓迎トーナメント⑩  光の敗北と受け継がれる希望

「我が願い、我が声に応えたまえ。我が祈り、我が意思に応えたまえ。ここに我が盟約と誓約を捧げ、なんじがすべてを受け入れん」

(お願い、天照大神あまてらすおおみかみ。私を勝たせてッ!!)

「出でよ、大和を守護せし太陽の神。天照大神ぃぃぃッッッ!!」

 私が天照大神と1つになると同時に、彼がギアを上げたのを感じる。

(まだまだ全然本気じゃなかったってわけ? なら意地でも全力を出させてやるッ!!)

「ははははっ、これが神が。こんなものが神なのかッ!! ぬるい、ぬるいぬるいぬるいぬるいッッッ!! こんな程度なら、ギアを上げるまでもなかった。期待はずれだよ、大和光やまとひかる……」

「なん……です、って!?」

「俺は少し期待していた。お前なら少しは俺を楽しませてくれるのではないかと。しかしごらんの有り様だ。この俺には到底及ばない。それがとても悲しい」

「ふざけないでッ!! 私はまだ敗けて「終わりだよ?」ッッッ!?」

 私が全力で攻撃を仕掛けようとした瞬間、彼から伝わる圧力がありえないほど増幅する。

天通流十指あまつりゅうじゅっし創解そうほどき夜魔打乃やまたの……半絶なかだちッ」

「いやぁぁぁぁぁぁッッッ!!」

「俺の龍による封印で、完全に終わりだ。次はもう少し楽しませてくれよ?」

「そこまでッ!! 勝者、天通限無あまつげんないッ!!」

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「き、き、き、決まってしまったぁぁぁッッッ!! あまりにも……あまりにも圧倒的な勝利ッ!! 天通選手、その力の底が一切見えないぃぃぃッッッ!!」

「この力、明らかにトッププロの中でも上位レベル……。しかもいまだに全力ではない。彼はどれ程の高みにいると言うのだ……」

「学園長、今のも創解なんでしょうか!?」

「恐らくそうなのだろう。今のは見た目は天通流九指あまつりゅうきゅうし夜魔打乃大蛇やまたのおろち。しかし、神をも封じ込めた事実から、三指半絶も使われている」

「つまり今の攻撃は、三指と九指を合わせた技と言うわけですね?」

「これは正直、反則と言える技だろう。あんな膨大な力で押し潰され、更には封印までされる。相手にとっては、悪夢そのものだ……」

「これはますます恐ろしい存在になりました、天通限無弟選手ッ!! 決勝ではどんな戦いを……いや、戦いになるのでしょうか!?」

「それは次の試合でわかるだろうよ。少なくとも今まで見た二人の実力では、天通限無弟に太刀打ちできない。次の試合は、あらゆる意味で見ものだよ」

「ではフィールドの調整に暫しお時間をいただいてから、次の試合へうつります。ご来場の皆々様、どうぞそのままでお待ちくださいませ……」

────────────────────────

「大和さんッッッ!!」

 僕は大和さんの試合の結果を見てすぐ、彼女の控え室へと走ってきた。
 フィールド外に出れば、フィールド内のあらゆることが無効になるとはいえ、彼女の負け方を考えれば、心に傷をおってもおかしくない。

「なによ、うるさいわね。私はこれから忙しいの。後にしてくれる?」

「大和……さん?」

 落ち込んでいると思った彼女はしかし、平然として新しいことを始めていた。

「なぁに? 私が落ち込んでいるとでも思った? えぇえぇ、その通り、落ち込んでいるわよ?」

「なら……どうして?」

 僕は疑問で一杯になる。

「貴方をあいつに勝たせるためよ」

「僕、を?」

 どういうことだろうか?

「いい? 私が戦ってみた感じでは、貴方の全力の方が強いわ。でも今の貴方では全力を出せない。本気を出したとしたら、いくらその武器でも一分で壊れるわ」

「それは、わかってるよ。だから僕はまだ……」

 そう。
 大和さんから与えられたこの武器は、カートリッジシステムの仕様上、僕の全力に一分だけ耐えられる。

「だからこそ、私は貴方の武器を作るの」

「どういう、ことだい?」

 今の武器でさえ、とても感謝しているのに。

「貴方も知っていると思うけど、武器には主に三種類の素材が使われるわ」

精神感応金オリハルコン精神感応銀ミスリル精神感応銅ヒヒイロカネの三種類だよね?」

 これらはそれぞれに特性があり、柔軟性や硬度が違う。
 しかしどれも魔力を通しやすく、それゆえに僕が使うと壊れてしまう。

「そして防具に使われるのが、精神感応鋼アダマンダイト。これは他の三種類と違って、魔力を通しにくい代わりに耐久度が段違いなわけ」

「だからこそ、フェーデの防具は、それが使われるんだろう?」

 こんなのは、魔力騎士の常識だ。

「だから私はこれから、この精神感応鋼で武器を作る」

「精神感応鋼で!?」

 それは今まで作られたことの無い武器だ。
 精神感応鋼では、どうしても魔力を通せずに技がうまく出せないのだから。

「実は私の千変万化は、この精神感応鋼をメインに使っているのよ」

「そんな!? だってその武器は、あんなにも自在に……」

「そこら辺は、まだ企業秘密たから話せない。けれど私はこの技術を使って、今から貴方が全力を出せるための武器を作る。明日の決勝までには作り上げるから、今日の試合は必ず勝ちなさい?」

「そんな!? 大和さんはこの後、三位決定戦があるのに?」

「そんなもの棄権よ棄権。私はすぐに工房に戻って製作に入る。先生にはうまく伝えておいてね? それじゃっ」

 そう言い残し、彼女は控え室を出ていった。

「天通選手、ここにいましたか」

「次の試合が始まります。フィールドへ向かってください」

「わかりました。すぐに行きます」

 僕は先生に促され、彼女のことが気になりつつも、フィールドへと向かった。


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