欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)
新入生歓迎トーナメント⑤| 本戦二回戦と揃いし四強①
欠陥魔力騎士23
新入生歓迎トーナメント⑤ 本戦二回戦と揃いし四強①
「さぁさぁやってまいりました、新入生歓迎トーナメント本戦二回戦ッ!! 昨日に引き続き実況は私、山谷要」
「解説は私、神薙武で進行していこう」
「本日は二回戦。昨日勝ち残った8人が戦い、4人となります。学園長、今日の戦いの見所はどこになるでしょう?」
「まずは優勝候補筆頭の二人だな。今年の男子と女子首席入学は伊達ではない。天通限無弟も大和光君も、圧倒的な強さを見せてくれたからな」
「なるほどなるほど。やはりその二人が圧倒的と言うことですね!! しかし学園長、昨日の試合では、もう一人の天通限無兄選手や、Bクラスながらも教師枠から勝ち上がった西城陽斗選手などもその力を示してくれたと思うのですが?」
「確かに先の二人以外にも見所のある選手はいる。しかし運が良いのか悪いのか、今君が言ってくれた二人以外は、天通限無弟と大和光君と当たるのだよ」
「と言うことは、今日の天通限無弟選手と大和光選手の試合は、学園長からみても接戦になると言うことでしょうか!?」
「接戦になるかはわからないが、昨日よりは魅せてくれる試合になるはずだ。ぶら下がっている蜘蛛の糸をきちんと辿りきれたなら、勝ち目も出てくるだろうよ」
「それでも蜘蛛の糸ほどの勝機なんですね!? やはり今年の首席は化け物だぁぁぁッ!!」
「まぁ今日の戦い、順当にいけば先程名前が出た4人で決まりだろうよ。しかし戦いは時の運とも言う。最初から諦めてさえいなければ、必ず勝機は訪れるだろう」
「学園長、ありがとうございます。それでは審判の錬先生、第一試合開始してくださーい」
────────────────────────
「さて諸君、昨日に引き続き審判をつとめる九条錬だ。全員後悔を残さぬように、全力を出しきるようにッ!! では二回戦第一試合を開始する。Sクラス天通限無兄VS同じくSクラス西風柳。前へ出て準備を」
「「はいっ!!」」
昨日に引き続きの第一試合。
僕はトーナメントの左端だから、今日ここで勝っても準決勝第一試合を戦うことになる。
「もう勝つ気でいるのですか? それは慢心と言うものです」
「柳君……。そうだね、ごめん。僕が今出せるすべてで君を倒すと宣言するよ」
彼……西風柳君は、情滅流の使い手だ。
情滅流は自らを高めると言うフェーデの目的を更に昇華した流派で、入門したものは必ず、五感のどれかを封じることを行う。
それにより人間としての更なる一歩……つまりは第六感を強化することができるのだ。
この第六感には、当然魔力量を高め、確実にコントロールする術も含まれる。
彼の場合は自らの目を封じることで、常に完全把握状態を維持している。
「両者、準備は良いな? カウントを開始する」
5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!
「カートリッジロ「させませんよッ!!」ッ!?」
開始早々、僕がカートリッジをロードするよりも早く柳君が攻撃を仕掛けてくる。
「昨日の陵君と学園長の言葉から、あなたはやはりカートリッジシステム(その力)に頼らなければ魔力を使えないことがわかりました。しかし昨日の彼のように逃げることは私の流派には存在しないッ!! ゆえに攻めて攻めて攻め続け、あなたにカートリッジを使わせなければ良いと結論したのですッ!!」
「くっ、とっ、ダァッ!!」
初手で遠当てにより僕のカートリッジロードを阻止した柳君は、そのまま近づいてきて連激を浴びせてくる。
「カートリッジロー「させないと言っていますッ!!」くそッ!?」
彼は宣言通り、僕にカートリッジを使わせないつもりのようだ。
(仕方ない……長期戦を覚悟するか)
────────────────────────
「こ、こ、こ、これはスゴいぞぉぉぉッ!! 怒濤のラッシュにより、天通選手にカートリッジを使わせないィィィッ!!」
「これは考えたな。カートリッジロードは音声認識。ゆえにその言葉を言わせさえしなければ使えない。そして柳君は常に完全把握状態を維持できる。つまりは天通兄がカートリッジをロードしようとする先手を打てる。これは天通兄には厳しい戦いになったな……」
「柳選手、ラッシュラッシュラァァァッシュッ!! 天通選手、防戦一方だぁぁぁッ!! 魔力の放出をカートリッジに頼る天通選手は、これでは防御にさえ魔力を使えないッ!! 柳選手の魔力を纏った一撃を1つでもくらえば致命的だッ!!」
「その通りだ。天通兄の攻撃も防御もすべて、カートリッジをロードすることから始まる。ゆえにそれを使えない現状、天通兄は圧倒的に不利だ」
────────────────────────
「ふっ、はぁっ、やぁぁぁぁぁッッッ!!」
「ッ、ッ、ハァッッッ!!」
僕は彼の連激をかわしながら、どうにかカートリッジをロードするための隙をうかがう。
「隙を、見つけるのは、無駄な、こと、ですッ!!」
「くっ、ッ、だッ、やっ、ハァッ!!」
しかし彼の攻めは見事なものであり、更に彼は完全把握状態を維持し続けている。
(これは少し危ないな……。僕もギアをあげないとッ)
────────────────────────
「これは一体どういうことだぁぁぁ!? 先程までは柳選手の攻撃をギリギリでかわすか防いでいた天通選手の動きが変わったぞ!?」
「ほほう。やるもんだな。これは天通兄の評価を改めねばならん」
「ど、ど、ど、どういうことでしょうか? 柳選手の完全把握状態はゾーンの2つ目。つまりはトッププロの必須スキルです。これを覆すにはそれこそ3つ目の…………まさかッ!?」
「そのまさかだろうな。彼は……天通兄は現在、トッププロの中でも一握りの存在が数分だけ至れる領域。3つ目のゾーンである完全掌握操作状態を維持しているのだろう」
「な、な、な、な、な、な、なんと言うことだぁぁぁッ!! 天通選手が柳選手の連激を危なげなくかわし始めてから、すでに数分は越えているッ!! つまり天通選手の実力は、トッププロすら凌駕するとでも言うのかぁぁぁッ!!」
「魔力を使えない欠陥魔力騎士と言う称号に負けず、彼は努力し続けたのだろう。私でさえあれだけ完璧に完全掌握操作状態を維持はできない。ひょっとしたら私たちは、新しい伝説を目撃しているのかもしれないぞ……」
────────────────────────
「ハァッ、ヤァッ、ダァァァァァァッッッ!!」
「ふっ、はっ、はぁッ!!」
僕が完全掌握操作状態を使い始めてから既に数分。
柳君の動きさえも操作することで、こちらはほとんど消耗せずに柳君のみを激しく消耗させる。
「くそッ、くそッ、くそぉぉぉッ!!」
(彼の動きが遅くなった。更に今の無理な体勢からは切り返せないッ!! ここだ!!)
「カートリッジロード!!」
「ッッッ!?」
僕は彼から大きく離れ、カートリッジを1つロードする。
「君は確かに強敵だった。けれどこれで終わりだよ。天通流九指、夜魔打乃大蛇ッ!!」
「ぐをわぁぁぁぁぁッッッ!!」
巨大な九頭の大蛇を柳君に叩きつけ、僕は彼に勝利した。
「そこまで、勝者天通限無ッ!!」
────────────────────────
「き、き、き、決まったぁぁぁッ!! 完全把握状態と言う学生レベルを遥かに越えた力に、カートリッジをロードさせないと言う完璧と思われる戦略を組み合わせ戦った柳選手でしたが、更にその上である完全掌握操作状態を用いて圧倒的な力を見せつけた天通選手にわずかに届かずッ!! 学園長、柳選手の狙いは悪くなかったと思いますが?」
「その通りだ。天通兄が完全掌握操作状態を使えると言う事実がなければ、柳君の圧勝で終わっていただろうよ」
「しかし、しかし、しかぁぁぁし!! 終わってみれば、まさかまさかの完全掌握操作状態を完璧に使いこなす天通選手の手のひらの上に終わりましたッ!!」
「これはひょっとしたら、天通兄が優勝と言うことも現実的になってきたな」
「それほどですか!? これはますます、今年の新入生歓迎トーナメントは見逃せなくなってきたぁぁぁッ!!」
────────────────────────
「くそっ、完全掌握操作状態を使えると見切れなかった私の敗けだ。素直に認めよう、天通限無」
「君の敗因は、完全把握状態(その力)におごったことだ。その更に先にいる僕には、それじゃあ勝てるわけがない。更なる精進を期待してるよ」
僕は柳君にそう告げると、舞台から降りてから観戦のために完全把握状態へと入った。
新入生歓迎トーナメント⑤ 本戦二回戦と揃いし四強①
「さぁさぁやってまいりました、新入生歓迎トーナメント本戦二回戦ッ!! 昨日に引き続き実況は私、山谷要」
「解説は私、神薙武で進行していこう」
「本日は二回戦。昨日勝ち残った8人が戦い、4人となります。学園長、今日の戦いの見所はどこになるでしょう?」
「まずは優勝候補筆頭の二人だな。今年の男子と女子首席入学は伊達ではない。天通限無弟も大和光君も、圧倒的な強さを見せてくれたからな」
「なるほどなるほど。やはりその二人が圧倒的と言うことですね!! しかし学園長、昨日の試合では、もう一人の天通限無兄選手や、Bクラスながらも教師枠から勝ち上がった西城陽斗選手などもその力を示してくれたと思うのですが?」
「確かに先の二人以外にも見所のある選手はいる。しかし運が良いのか悪いのか、今君が言ってくれた二人以外は、天通限無弟と大和光君と当たるのだよ」
「と言うことは、今日の天通限無弟選手と大和光選手の試合は、学園長からみても接戦になると言うことでしょうか!?」
「接戦になるかはわからないが、昨日よりは魅せてくれる試合になるはずだ。ぶら下がっている蜘蛛の糸をきちんと辿りきれたなら、勝ち目も出てくるだろうよ」
「それでも蜘蛛の糸ほどの勝機なんですね!? やはり今年の首席は化け物だぁぁぁッ!!」
「まぁ今日の戦い、順当にいけば先程名前が出た4人で決まりだろうよ。しかし戦いは時の運とも言う。最初から諦めてさえいなければ、必ず勝機は訪れるだろう」
「学園長、ありがとうございます。それでは審判の錬先生、第一試合開始してくださーい」
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「さて諸君、昨日に引き続き審判をつとめる九条錬だ。全員後悔を残さぬように、全力を出しきるようにッ!! では二回戦第一試合を開始する。Sクラス天通限無兄VS同じくSクラス西風柳。前へ出て準備を」
「「はいっ!!」」
昨日に引き続きの第一試合。
僕はトーナメントの左端だから、今日ここで勝っても準決勝第一試合を戦うことになる。
「もう勝つ気でいるのですか? それは慢心と言うものです」
「柳君……。そうだね、ごめん。僕が今出せるすべてで君を倒すと宣言するよ」
彼……西風柳君は、情滅流の使い手だ。
情滅流は自らを高めると言うフェーデの目的を更に昇華した流派で、入門したものは必ず、五感のどれかを封じることを行う。
それにより人間としての更なる一歩……つまりは第六感を強化することができるのだ。
この第六感には、当然魔力量を高め、確実にコントロールする術も含まれる。
彼の場合は自らの目を封じることで、常に完全把握状態を維持している。
「両者、準備は良いな? カウントを開始する」
5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!
「カートリッジロ「させませんよッ!!」ッ!?」
開始早々、僕がカートリッジをロードするよりも早く柳君が攻撃を仕掛けてくる。
「昨日の陵君と学園長の言葉から、あなたはやはりカートリッジシステム(その力)に頼らなければ魔力を使えないことがわかりました。しかし昨日の彼のように逃げることは私の流派には存在しないッ!! ゆえに攻めて攻めて攻め続け、あなたにカートリッジを使わせなければ良いと結論したのですッ!!」
「くっ、とっ、ダァッ!!」
初手で遠当てにより僕のカートリッジロードを阻止した柳君は、そのまま近づいてきて連激を浴びせてくる。
「カートリッジロー「させないと言っていますッ!!」くそッ!?」
彼は宣言通り、僕にカートリッジを使わせないつもりのようだ。
(仕方ない……長期戦を覚悟するか)
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「こ、こ、こ、これはスゴいぞぉぉぉッ!! 怒濤のラッシュにより、天通選手にカートリッジを使わせないィィィッ!!」
「これは考えたな。カートリッジロードは音声認識。ゆえにその言葉を言わせさえしなければ使えない。そして柳君は常に完全把握状態を維持できる。つまりは天通兄がカートリッジをロードしようとする先手を打てる。これは天通兄には厳しい戦いになったな……」
「柳選手、ラッシュラッシュラァァァッシュッ!! 天通選手、防戦一方だぁぁぁッ!! 魔力の放出をカートリッジに頼る天通選手は、これでは防御にさえ魔力を使えないッ!! 柳選手の魔力を纏った一撃を1つでもくらえば致命的だッ!!」
「その通りだ。天通兄の攻撃も防御もすべて、カートリッジをロードすることから始まる。ゆえにそれを使えない現状、天通兄は圧倒的に不利だ」
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「ふっ、はぁっ、やぁぁぁぁぁッッッ!!」
「ッ、ッ、ハァッッッ!!」
僕は彼の連激をかわしながら、どうにかカートリッジをロードするための隙をうかがう。
「隙を、見つけるのは、無駄な、こと、ですッ!!」
「くっ、ッ、だッ、やっ、ハァッ!!」
しかし彼の攻めは見事なものであり、更に彼は完全把握状態を維持し続けている。
(これは少し危ないな……。僕もギアをあげないとッ)
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「これは一体どういうことだぁぁぁ!? 先程までは柳選手の攻撃をギリギリでかわすか防いでいた天通選手の動きが変わったぞ!?」
「ほほう。やるもんだな。これは天通兄の評価を改めねばならん」
「ど、ど、ど、どういうことでしょうか? 柳選手の完全把握状態はゾーンの2つ目。つまりはトッププロの必須スキルです。これを覆すにはそれこそ3つ目の…………まさかッ!?」
「そのまさかだろうな。彼は……天通兄は現在、トッププロの中でも一握りの存在が数分だけ至れる領域。3つ目のゾーンである完全掌握操作状態を維持しているのだろう」
「な、な、な、な、な、な、なんと言うことだぁぁぁッ!! 天通選手が柳選手の連激を危なげなくかわし始めてから、すでに数分は越えているッ!! つまり天通選手の実力は、トッププロすら凌駕するとでも言うのかぁぁぁッ!!」
「魔力を使えない欠陥魔力騎士と言う称号に負けず、彼は努力し続けたのだろう。私でさえあれだけ完璧に完全掌握操作状態を維持はできない。ひょっとしたら私たちは、新しい伝説を目撃しているのかもしれないぞ……」
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「ハァッ、ヤァッ、ダァァァァァァッッッ!!」
「ふっ、はっ、はぁッ!!」
僕が完全掌握操作状態を使い始めてから既に数分。
柳君の動きさえも操作することで、こちらはほとんど消耗せずに柳君のみを激しく消耗させる。
「くそッ、くそッ、くそぉぉぉッ!!」
(彼の動きが遅くなった。更に今の無理な体勢からは切り返せないッ!! ここだ!!)
「カートリッジロード!!」
「ッッッ!?」
僕は彼から大きく離れ、カートリッジを1つロードする。
「君は確かに強敵だった。けれどこれで終わりだよ。天通流九指、夜魔打乃大蛇ッ!!」
「ぐをわぁぁぁぁぁッッッ!!」
巨大な九頭の大蛇を柳君に叩きつけ、僕は彼に勝利した。
「そこまで、勝者天通限無ッ!!」
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「き、き、き、決まったぁぁぁッ!! 完全把握状態と言う学生レベルを遥かに越えた力に、カートリッジをロードさせないと言う完璧と思われる戦略を組み合わせ戦った柳選手でしたが、更にその上である完全掌握操作状態を用いて圧倒的な力を見せつけた天通選手にわずかに届かずッ!! 学園長、柳選手の狙いは悪くなかったと思いますが?」
「その通りだ。天通兄が完全掌握操作状態を使えると言う事実がなければ、柳君の圧勝で終わっていただろうよ」
「しかし、しかし、しかぁぁぁし!! 終わってみれば、まさかまさかの完全掌握操作状態を完璧に使いこなす天通選手の手のひらの上に終わりましたッ!!」
「これはひょっとしたら、天通兄が優勝と言うことも現実的になってきたな」
「それほどですか!? これはますます、今年の新入生歓迎トーナメントは見逃せなくなってきたぁぁぁッ!!」
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「くそっ、完全掌握操作状態を使えると見切れなかった私の敗けだ。素直に認めよう、天通限無」
「君の敗因は、完全把握状態(その力)におごったことだ。その更に先にいる僕には、それじゃあ勝てるわけがない。更なる精進を期待してるよ」
僕は柳君にそう告げると、舞台から降りてから観戦のために完全把握状態へと入った。
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