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温泉と黒髪美人

「いやぁ、うまかったな」

「はい、ラン様。おいしかったです」

 食事を終えた俺たちは、部屋でだらーんとしていた。
現在時刻は19時ちょいであり、食事は予定通りに18時からだった。
料理は魚介を中心としており、刺身や煮付けや鍋という、まさしく日本の旅館のメニューだった。

コンコン

「失礼します。風呂の貸切の準備が整いましたので、どうぞお入りくださいませ……」

 ドアをノックして入ってきたのは、俺たちを案内してくれた人とは違う人だった。
ちなみに料理を運んできてくれたのは、俺たちを案内してくれた人だった。

「男湯の方を貸切にしておりますので、お間違えないようご注意ください……。それでは、失礼します……」

 そういうと、中居さんは部屋から出ていった。
といっても、最初からドアを開けただけで、部屋の中には入っていないのだが……

「んじゃ、入りに行きますか?」

「はい、ラン様。ゆっくりしたいです」

 そうと決まれば、風呂に行く準備を整える。
部屋に備え付けてあるタオルを持ち、部屋着替わりの浴衣を持つ。

「んじゃ行こうっ」

「はいっ」

 俺たちは風呂に向かった。

・・・
・・


 カポーン……という効果音が聞こえてきそうな、見事な風呂だった。
風呂の広さは5メートル四方ほどで、部屋の広さは15メートル四方ほどだった。

「けっこう広いな……。こりゃ、気持ちよく入れそうだ……」

「そうですね、これならゆっくりとできます……」

「んじゃまずは、体を洗おうか?」

「はい、ラン様。洗いっこしましょう?」

「それもいいかも……って、この体格差じゃ難しくない?」

 そう……忘れているかもしれないが、現在の俺の身長は180センチほどある。
対してヒカリの身長は、ロリロリボディのままなので、150センチに届いているか? 程度なのである。
はたから見れば、親子に見えるかもしれないくらいの身長差があるのだ。

「大丈夫ですよ、ラン様。今から千変万化を使いますので……」

「それなら大丈夫……って、部屋に戻る時になんか言われたりしない?」

「それについては、おそらくですが大丈夫でしょう。この旅館の従業員は全員、キツネ系の神獣ですから……」

「まぢ?」

「はい、ラン様。まぢです。……なので、私たちの種族もわかっておられると思います。そのため、千変万化を使ったのだと理解されるはずです」

「そうなのか……」

「というわけで、早速………………こんな感じでどうでしょう?」

「おぉ、昨日と同じ感じか……って、髪が黒い!?」

「今日は旅館ということなので、ラン様の故郷の女性をモデルにしてみました……。似合いますか?」

「うんうん、いいよ! ナイスだよ! ……でもあれ? なんで俺の故郷の人種が黒髪だってわかったんだ?」

「失礼だとは思ったのですが……調べさせていただきました。ラン様は、異世界出身だったのですね……」

「異世界? …………あぁ、そゆことか。だったらそうなるのかな?」

「これでラン様の情報が登録されていない理由わけがわかりました。異世界出身なら、登録しないとこちらの世界では反映されないのは当たり前ですよね……」

「あぁ、なるほど。そういうことか……」

「はい……。ですので、やはり契機の世界で登録するしかないと思います……」

「わかった。とりあえずは今までと同じ方針でいいのね?」

「はい、ラン様。まずは先を目指しましょう!」

「了解。……そうと決まれば、今はこの温泉を楽しもうか?」

「はい、ラン様……洗いっこしましょう!」

「あいよ、んじゃやりますか」

 俺たちは風呂を楽しんだ。

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