暗殺学園カトルカナル
第二殺 《四殺組曲》
暗殺学園カトルカナルが一角、ミッテルラント学園は東京に設立された暗殺者養成学校だ。
 今年の入学者数は36名。例年通り30人から40人に収まっていた。
 一学年に一クラスが通例となっている。
 篤人は学園に着くと自分の教室を確認しすぐに移動した。教室の中には大体半数程の生徒が集まっていた。
 しかし全員ただの高校生ではない。将来暗殺者になるためにこの学園に足を踏み入れた者達だ。
 この暗殺者は政府公認の暗殺者とはいえ、殺しは殺し。全員、道を踏み外す覚悟が出来ている。
 とりあえず席は自由らしいので篤人はあまり目立たない窓側の後ろの席に座ることにした。
 「あれ…あの子って…。」
 篤人が狙っていた席に今し方先着が現れた。篤人が入学試験の模擬戦でこっぴどくやられた斎中志葉だ。
 彼女はたった今席に着き本を読み始めた。
 (うーん…どうするかなぁ…。まあいっか、近くでも。それに、あの言葉の意味も知りたいし。)
 篤人は自分の中でそう結論付け、志葉の座っている横の席へと腰を落ち着けた。
 今はまだ自分と志葉の席の周りには人がいない。だから篤人が話し掛けるとなると自然と志葉ということになるのだが────
 「…………………………………。」
 (めっちゃ話し掛けづらい………。話し掛けるなオーラが半端じゃない程出てる……。僕あんまりコミュ力高くないから話し掛けるの勇気いるなぁ……。)
 篤人は話し掛けるか否かで脳内サミットを繰り広げていた。
 「ねーねー、どしたの?そんな難しい顔して?」
 「うわっ!」
 考え事をしていたら少女に後ろをとられていた。
 「あははっ!ただ話し掛けただけなのに変な反応だなー。」
 「えっと、君は?」
 「あ、急にごめんね!私は西條愛実だよー。これから三年間どうぞよろしくねっ!あっ、私の事は愛実って呼び捨てでいいよー!」
 気配を隠しながら話し掛けてきたのは緋色の目をして長い桜色の髪を後ろで一つにまとめて垂らしている、所謂ポニーテールにしている快活そうな少女だった。
 「僕は斬宗篤人、こちらこそよろしくね。僕の事も篤人でいいよ。………でも、ただ話し掛けたっていうのは嘘だよね?完璧に気配消してたじゃないか。」
 「あはは…あんまり意識してなかったんだけどねー、なんか自然とねー。まあ気配消えてるならいいことだと思うよ?だってこの学校だし。」
 「まあそうだよね。この学校だしね。」
 二人は苦笑しながら顔を見合わせた。
 
 「それはそうとして、どしたの?難しい顔して。」
 「ああ、それがね……。」
 篤人は志葉に話し掛けるか迷っている事を愛実に話した。もしかしたら女子からなら解決策が得られるかと思ったのだ。
 「はあはあ、なるほどねー。じゃあ行ってくるよ!」
 「え?」
 篤人が呆然としている内に愛実はさっさと志葉に向かって話しかけていた。
 「ねーねー!斎中さん、だよね?私、西條愛実っていうの!よろしくねっ!」
 「ええ、よろしく。」
 「志葉ちゃんっ呼んでもいいかな?」
 
 「好きにしていいわ。」
 「やったっ!ありがと!よろしくね志葉ちゃん!」
 (あれ?普通に話してる…。これなら僕も話せるかも…。)
 「あの、斎中さん。僕入学試験の模擬戦で戦った斬宗篤人っていうんだけど覚えてる?」
 「…………ええ、覚えてるわ。貴方、辞めてなかったのね。」
 「まあそれはね。僕にもやりたいことがあるからね。」
 「…そう、それは興味無いわ。」
 それで話は終わりと言わんとばかりに本を読むのを再開していた。愛実に対する態度とは随分違う反応だ。
 「二人って模擬戦で戦ってたんだねー、どっちが勝ったの?」
 「斎中さんだよ。僕の惨敗。手も足も出なかったよ。」
 「へー、志葉ちゃんって強いんだねっ!戦ってみたいなー。」
 「授業で実習とかもあるらしいからその時なら戦えると思うよ。」
 「そっかー!早くやりたいなー!」
 愛実は心底楽しみにしている様子だった。
 (やっぱりこういう部分を見ると愛実も暗殺学園の生徒なんだなって思うよな。愛実の目、ちょっと濁ってたし。)
 それからしばらく愛実と雑談していると教室の前の扉が開いた。
 「皆さんおはようございます。担任の京塚紫呉です。貴方達に何事もなければ、三年間貴方達の担任となります。」
 (何事もって…何かあるんだろうなぁ……。)
 篤人が耽っていると前の席に座っている愛実が小さな声で話し掛けてきた。
 「ねーねー、絶対何かあるよね?楽しみだねっ!」
 「…そうだね。」
 「そこ、静かにしなさい。今からこれからの動きについて説明します。」
 「「すいません…。」」
 「よろしい、それでは説明します。これから地下体育館に移動して入学式、その後この教室に戻り《四殺組曲》を組んでもらいます。《四殺組曲》とは実習の際組んでもらう四人組のパーティーです。パーティーで活動する時はこの四人組で行動してもらいます。その後は解散です。皆さんご存知の通りこの学園は全寮制です。外を出歩くのは自由ですが門限は守ってください。以上です。では移動してください。」
 (《四殺組曲》か…。確か入学案内にも書いてあったな。愛実に組めるか頼んでみようかな。)
 
 
 今年の入学者数は36名。例年通り30人から40人に収まっていた。
 一学年に一クラスが通例となっている。
 篤人は学園に着くと自分の教室を確認しすぐに移動した。教室の中には大体半数程の生徒が集まっていた。
 しかし全員ただの高校生ではない。将来暗殺者になるためにこの学園に足を踏み入れた者達だ。
 この暗殺者は政府公認の暗殺者とはいえ、殺しは殺し。全員、道を踏み外す覚悟が出来ている。
 とりあえず席は自由らしいので篤人はあまり目立たない窓側の後ろの席に座ることにした。
 「あれ…あの子って…。」
 篤人が狙っていた席に今し方先着が現れた。篤人が入学試験の模擬戦でこっぴどくやられた斎中志葉だ。
 彼女はたった今席に着き本を読み始めた。
 (うーん…どうするかなぁ…。まあいっか、近くでも。それに、あの言葉の意味も知りたいし。)
 篤人は自分の中でそう結論付け、志葉の座っている横の席へと腰を落ち着けた。
 今はまだ自分と志葉の席の周りには人がいない。だから篤人が話し掛けるとなると自然と志葉ということになるのだが────
 「…………………………………。」
 (めっちゃ話し掛けづらい………。話し掛けるなオーラが半端じゃない程出てる……。僕あんまりコミュ力高くないから話し掛けるの勇気いるなぁ……。)
 篤人は話し掛けるか否かで脳内サミットを繰り広げていた。
 「ねーねー、どしたの?そんな難しい顔して?」
 「うわっ!」
 考え事をしていたら少女に後ろをとられていた。
 「あははっ!ただ話し掛けただけなのに変な反応だなー。」
 「えっと、君は?」
 「あ、急にごめんね!私は西條愛実だよー。これから三年間どうぞよろしくねっ!あっ、私の事は愛実って呼び捨てでいいよー!」
 気配を隠しながら話し掛けてきたのは緋色の目をして長い桜色の髪を後ろで一つにまとめて垂らしている、所謂ポニーテールにしている快活そうな少女だった。
 「僕は斬宗篤人、こちらこそよろしくね。僕の事も篤人でいいよ。………でも、ただ話し掛けたっていうのは嘘だよね?完璧に気配消してたじゃないか。」
 「あはは…あんまり意識してなかったんだけどねー、なんか自然とねー。まあ気配消えてるならいいことだと思うよ?だってこの学校だし。」
 「まあそうだよね。この学校だしね。」
 二人は苦笑しながら顔を見合わせた。
 
 「それはそうとして、どしたの?難しい顔して。」
 「ああ、それがね……。」
 篤人は志葉に話し掛けるか迷っている事を愛実に話した。もしかしたら女子からなら解決策が得られるかと思ったのだ。
 「はあはあ、なるほどねー。じゃあ行ってくるよ!」
 「え?」
 篤人が呆然としている内に愛実はさっさと志葉に向かって話しかけていた。
 「ねーねー!斎中さん、だよね?私、西條愛実っていうの!よろしくねっ!」
 「ええ、よろしく。」
 「志葉ちゃんっ呼んでもいいかな?」
 
 「好きにしていいわ。」
 「やったっ!ありがと!よろしくね志葉ちゃん!」
 (あれ?普通に話してる…。これなら僕も話せるかも…。)
 「あの、斎中さん。僕入学試験の模擬戦で戦った斬宗篤人っていうんだけど覚えてる?」
 「…………ええ、覚えてるわ。貴方、辞めてなかったのね。」
 「まあそれはね。僕にもやりたいことがあるからね。」
 「…そう、それは興味無いわ。」
 それで話は終わりと言わんとばかりに本を読むのを再開していた。愛実に対する態度とは随分違う反応だ。
 「二人って模擬戦で戦ってたんだねー、どっちが勝ったの?」
 「斎中さんだよ。僕の惨敗。手も足も出なかったよ。」
 「へー、志葉ちゃんって強いんだねっ!戦ってみたいなー。」
 「授業で実習とかもあるらしいからその時なら戦えると思うよ。」
 「そっかー!早くやりたいなー!」
 愛実は心底楽しみにしている様子だった。
 (やっぱりこういう部分を見ると愛実も暗殺学園の生徒なんだなって思うよな。愛実の目、ちょっと濁ってたし。)
 それからしばらく愛実と雑談していると教室の前の扉が開いた。
 「皆さんおはようございます。担任の京塚紫呉です。貴方達に何事もなければ、三年間貴方達の担任となります。」
 (何事もって…何かあるんだろうなぁ……。)
 篤人が耽っていると前の席に座っている愛実が小さな声で話し掛けてきた。
 「ねーねー、絶対何かあるよね?楽しみだねっ!」
 「…そうだね。」
 「そこ、静かにしなさい。今からこれからの動きについて説明します。」
 「「すいません…。」」
 「よろしい、それでは説明します。これから地下体育館に移動して入学式、その後この教室に戻り《四殺組曲》を組んでもらいます。《四殺組曲》とは実習の際組んでもらう四人組のパーティーです。パーティーで活動する時はこの四人組で行動してもらいます。その後は解散です。皆さんご存知の通りこの学園は全寮制です。外を出歩くのは自由ですが門限は守ってください。以上です。では移動してください。」
 (《四殺組曲》か…。確か入学案内にも書いてあったな。愛実に組めるか頼んでみようかな。)
 
 
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