転移先での国取り合戦
第三章4話 夢から志へ
ローム盆地にて結ばれた、人と神との同盟から3年が経った。その3年間は実にあっという間の時間であった。
だが、あっという間とは言っても、良いことばかりではなかった。この世界にタイムマシンでも存在していれば、今すぐ使いたい……
過去に戻りたい、と本気で思った。
時間は遡り、同盟が結ばれた翌日の話になる。
俺は特に用事も無かったのだが、アリアとルーを宿に置き去りにしてフラりと王城を訪れた。驚いたことに、城内では1つの話題で持ちきりになっていた。
「おお、お前大介か。確か表彰式で一級ソルジャーに昇格していたっけ……」
全く見知らぬ兵士に声をかけられたが、悪い気分では無かった 。有名人になったということなのである。
「なあ、今何の話題で盛り上がってるんだ? 俺だけ知らないっぽいんだけど。」
「はぁ? お前知らねえのかよ。昨日神の国と同盟を結んだらしいぜ。もうすぐ神の兵士とその国王が来るらしいぞ。」
「マジで? わざわざ来んの?」
同盟を組んだことにはもちろん驚いたが、この城内に来るのはもっと驚いた。
――さすがに信用しすぎだろ!――
そんなことを考えていると、後ろから大きな歓声が聞こえてきた。振り返ると100人くらいの集団が列を揃えて行進している。
「これが、神の兵士か。」
思わず呟いてしまうほどの神々しさ。全員純白のマントに白銀の翼、まさに美しさそのものだ。
だがその中に、周りより一際光を放つ存在がある。それはもはや生物の美しさを超え、神とかそういうものとも桁違いの存在感だった。
「――まぶしい」
恐らく彼女が神の国の国王だろう。自ら光を放ち、恒星のように直視できない明るさで、顔が見えない。存在自体が光源であるかのようにも錯覚してしまう。
現実世界では、小さい頃に蟻の行列という言葉を知った。その行列が発生するメカニズムと一緒にだ。
今俺が見ているのは、蟻の行列Lv99かもしれない。つまり神の行列。
神の行列が目の前を通り過ぎようとしたとき、見覚えのある者がいた。
「あ!」
相手もこちらの存在に気づいた様子で、目を丸くした。
「あ、あんた大介でしょ! 生きてたのね!」
「再開早々に生きてたのね、は酷いだろ。」
俺の目に映っていたには、転移神ルナだった。現実世界からアメイジアに転移されるときに会った、人生で初めて見た神だ。
「ていうかちょっと待て。せっかく会ったんだから止まれよ。何事も無かったように行進を続けるな。」
ルナは5秒前の毒舌のあと、踵を返して通り過ぎようとしたのだ。
「うるさいわねぇ。別にあんたと話すことなんて何も無いでしょ。」
「そういう問題じゃないだろ……」
結局ルナはスピードを一切緩めずに進んでいった。
この態度をぶつけられれば悲しくなるのが一般人だが、俺は逆に嬉しかった。
「あいつも違うところで頑張ってるんだな。」
神の行列が過ぎ去ったとき城内は再び日常を取り戻した。兵士の話によれば、神の一団は大広間にてロベルトと統一について話すらしい。
なんだかんだで、アメイジア統一の兆しが見えてきた気がするな。
そういえば統一が叶ったら願いを聞いてくれる約束だったな。
確かどんな願いでもいいって言ってたよな。
やっぱりお金かな。でも職業上お金は余るほどあるしなぁ。
じゃあ総理大臣にでもなろうかな。いや、別に政治に興味も無いしな。
また今度考えよう。
だが、あっという間とは言っても、良いことばかりではなかった。この世界にタイムマシンでも存在していれば、今すぐ使いたい……
過去に戻りたい、と本気で思った。
時間は遡り、同盟が結ばれた翌日の話になる。
俺は特に用事も無かったのだが、アリアとルーを宿に置き去りにしてフラりと王城を訪れた。驚いたことに、城内では1つの話題で持ちきりになっていた。
「おお、お前大介か。確か表彰式で一級ソルジャーに昇格していたっけ……」
全く見知らぬ兵士に声をかけられたが、悪い気分では無かった 。有名人になったということなのである。
「なあ、今何の話題で盛り上がってるんだ? 俺だけ知らないっぽいんだけど。」
「はぁ? お前知らねえのかよ。昨日神の国と同盟を結んだらしいぜ。もうすぐ神の兵士とその国王が来るらしいぞ。」
「マジで? わざわざ来んの?」
同盟を組んだことにはもちろん驚いたが、この城内に来るのはもっと驚いた。
――さすがに信用しすぎだろ!――
そんなことを考えていると、後ろから大きな歓声が聞こえてきた。振り返ると100人くらいの集団が列を揃えて行進している。
「これが、神の兵士か。」
思わず呟いてしまうほどの神々しさ。全員純白のマントに白銀の翼、まさに美しさそのものだ。
だがその中に、周りより一際光を放つ存在がある。それはもはや生物の美しさを超え、神とかそういうものとも桁違いの存在感だった。
「――まぶしい」
恐らく彼女が神の国の国王だろう。自ら光を放ち、恒星のように直視できない明るさで、顔が見えない。存在自体が光源であるかのようにも錯覚してしまう。
現実世界では、小さい頃に蟻の行列という言葉を知った。その行列が発生するメカニズムと一緒にだ。
今俺が見ているのは、蟻の行列Lv99かもしれない。つまり神の行列。
神の行列が目の前を通り過ぎようとしたとき、見覚えのある者がいた。
「あ!」
相手もこちらの存在に気づいた様子で、目を丸くした。
「あ、あんた大介でしょ! 生きてたのね!」
「再開早々に生きてたのね、は酷いだろ。」
俺の目に映っていたには、転移神ルナだった。現実世界からアメイジアに転移されるときに会った、人生で初めて見た神だ。
「ていうかちょっと待て。せっかく会ったんだから止まれよ。何事も無かったように行進を続けるな。」
ルナは5秒前の毒舌のあと、踵を返して通り過ぎようとしたのだ。
「うるさいわねぇ。別にあんたと話すことなんて何も無いでしょ。」
「そういう問題じゃないだろ……」
結局ルナはスピードを一切緩めずに進んでいった。
この態度をぶつけられれば悲しくなるのが一般人だが、俺は逆に嬉しかった。
「あいつも違うところで頑張ってるんだな。」
神の行列が過ぎ去ったとき城内は再び日常を取り戻した。兵士の話によれば、神の一団は大広間にてロベルトと統一について話すらしい。
なんだかんだで、アメイジア統一の兆しが見えてきた気がするな。
そういえば統一が叶ったら願いを聞いてくれる約束だったな。
確かどんな願いでもいいって言ってたよな。
やっぱりお金かな。でも職業上お金は余るほどあるしなぁ。
じゃあ総理大臣にでもなろうかな。いや、別に政治に興味も無いしな。
また今度考えよう。
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