転移先での国取り合戦
第三章2話 安らぎの理
「それでは皆さん静粛にお願いします。只今より、今回の戦争の功績者を発表致します。」
その日王城の中にある大広間にて、表彰式兼任命式が行われていた。
「第一功績者は、あの巨大な竜をことごとく叩き落とし、竜の国の滅亡に直接関係した英雄、剣聖ヴォルテール!」
  ――わああ!
大広間全体から歓声が巻き起こった。
「ヴォルテールには、特級ソルジャーの地位を維持し、純金100kg相当の金を受けとる権利を与える!」
「――感謝を」
「そして第二功績者は、蟲の国からの奇襲、及び集中攻撃をたった1人で跳ね返し、蜂兵をまるごと消滅させた張本人、弓聖アーミン!」
  ――うおお!
またしても歓声が巻き起こった。
「アーミンには、特級アーチャーの地位を維持し、我が国の最高職人が3年かけて作った矢を100本受けとる権利を与える!」
「――ありがたきゅ」
  ――おい、今噛んだな。絶対噛んだな。――
「続いて第三功績者は、2級ながら竜や蜂と奮戦し、陰でこの戦を勝利へと導いたダークホース、中川大介!」
  ――来たー! ついに来たぜ俺の番が!――
「大介には、1級ソルジャーに昇格する権利を与える!」
  ――俺には金とか剣とか無いのかよ!――
「――あ、ありがとうございます」
「以上で功績者の発表を終わる。解散!」
※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
「いやー、大介さんおめでとうございます! 一級ソルジャーなんてなかなかなれるものじゃありませんよ!」
任命式からの帰り道、アリアが褒めてくれた。なんだかんだでここまで昇級できたのは嬉しい。だがここまでくると特級になりたいと思うのが男というものだ。
「アリア、特級にはどうやったらなれるんだ?」
「分からないですが、たぶんかなりの功績をあげればいいんじゃないですか。」
俺は隣を歩いているルーにも聞こうと思ったが、ずっと竜の国で暮らしていたこいつが知ってるわけ無いので聞かなかった。
「大介、今一瞬こっちを見ましたよね? 絶対見ましたよね? 何で私には聞かないんですか? そんなに知らなそうですか?」
ルーが怒ってきた。一瞬目が合ってすぐに逸らしたので何か言われると思ったが、やっぱり言ってきた。
「悪い。でもお前知らないだろ。可能性が皆無なのにわざわざ聞いたりしないだろ。」
「大介、酷いですね。」
「あ、そうだ。俺新しい武器とか欲しいんだけど、武器屋に寄っていっていいか?」
「いいですね、行きましょうよ!」
※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
「いらっしゃいませ!」
武器屋では、前と同じかわいい女性店員がいた。
「今日は何をお求めですか?」
「あ、えっと……新しい剣が欲しいんですが……」
「予算はどれくらいお持ちでしょうか?」
「今まで稼いできた分全部持ってきたんで、結構ありますよ。」
「ちょっと待ってください! 所持金全部って食費とかどうするんですか!」
「あり得ないですよ大介。私もナイフくらい欲しいです。」
アリアとルーが詰め寄ってきた。確かに所持金全部使えば生活に支障がでる。だが俺もそこまで馬鹿ではない。
「俺がそんなことをすると思っているのか? 全部持ってきたのは本当だが、この帰りに酒屋に寄るために持ってきたんだ。だからいいだろ。」
「ええ、じゃあ私の弓も買って下さいよ!」
「私のナイフもですよ。」
うっせぇ! と言いたいところだが、皆戦場では頑張ってくれてるし、買ってあげることにした。
※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※
  ――酒場にて
「結局皆何買ったんだ?」
「楽しくて、つい買いすぎちゃいました!」
アリアを見ると大量に武具が入った紙袋を抱えていた。
「実は私もなんですが……」
ルーも倍ぐらいに膨らんだ袋を抱えている。
  ――お前らふざけんな!
「おい、何が食費がヤバいとか、ナイフくらい欲しい、だよ! 買いすぎだろ! 俺なんて剣一本しか買ってないんだよ!」
「あんなにお金を持ってきたのが悪いんです。でもよかった。ナイフと兜と鎧とか買えたので。」
「私も凄い弓と矢を買いまくりました。楽しかったですよ! ありがとうございます。」
「うっせぇ! でもこれでお金がほとんど無くなった。さっきまで巨大化していた財布も、今は紙のように薄くなったよ。だから酒屋に来たはいいものの、何も注文できねぇな……」
  ――パリーン!
俺の悪戯心満載の言葉に騙され、二人とも水の入ったコップを落とした。
――フフフ、これは天罰だ。本当はまだお金があるが、この状況でのこの嘘は説得力抜群だ!――
「…………」
アリアとルーは絶望し、その日は口を一切開かなかった。
その日王城の中にある大広間にて、表彰式兼任命式が行われていた。
「第一功績者は、あの巨大な竜をことごとく叩き落とし、竜の国の滅亡に直接関係した英雄、剣聖ヴォルテール!」
  ――わああ!
大広間全体から歓声が巻き起こった。
「ヴォルテールには、特級ソルジャーの地位を維持し、純金100kg相当の金を受けとる権利を与える!」
「――感謝を」
「そして第二功績者は、蟲の国からの奇襲、及び集中攻撃をたった1人で跳ね返し、蜂兵をまるごと消滅させた張本人、弓聖アーミン!」
  ――うおお!
またしても歓声が巻き起こった。
「アーミンには、特級アーチャーの地位を維持し、我が国の最高職人が3年かけて作った矢を100本受けとる権利を与える!」
「――ありがたきゅ」
  ――おい、今噛んだな。絶対噛んだな。――
「続いて第三功績者は、2級ながら竜や蜂と奮戦し、陰でこの戦を勝利へと導いたダークホース、中川大介!」
  ――来たー! ついに来たぜ俺の番が!――
「大介には、1級ソルジャーに昇格する権利を与える!」
  ――俺には金とか剣とか無いのかよ!――
「――あ、ありがとうございます」
「以上で功績者の発表を終わる。解散!」
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「いやー、大介さんおめでとうございます! 一級ソルジャーなんてなかなかなれるものじゃありませんよ!」
任命式からの帰り道、アリアが褒めてくれた。なんだかんだでここまで昇級できたのは嬉しい。だがここまでくると特級になりたいと思うのが男というものだ。
「アリア、特級にはどうやったらなれるんだ?」
「分からないですが、たぶんかなりの功績をあげればいいんじゃないですか。」
俺は隣を歩いているルーにも聞こうと思ったが、ずっと竜の国で暮らしていたこいつが知ってるわけ無いので聞かなかった。
「大介、今一瞬こっちを見ましたよね? 絶対見ましたよね? 何で私には聞かないんですか? そんなに知らなそうですか?」
ルーが怒ってきた。一瞬目が合ってすぐに逸らしたので何か言われると思ったが、やっぱり言ってきた。
「悪い。でもお前知らないだろ。可能性が皆無なのにわざわざ聞いたりしないだろ。」
「大介、酷いですね。」
「あ、そうだ。俺新しい武器とか欲しいんだけど、武器屋に寄っていっていいか?」
「いいですね、行きましょうよ!」
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「いらっしゃいませ!」
武器屋では、前と同じかわいい女性店員がいた。
「今日は何をお求めですか?」
「あ、えっと……新しい剣が欲しいんですが……」
「予算はどれくらいお持ちでしょうか?」
「今まで稼いできた分全部持ってきたんで、結構ありますよ。」
「ちょっと待ってください! 所持金全部って食費とかどうするんですか!」
「あり得ないですよ大介。私もナイフくらい欲しいです。」
アリアとルーが詰め寄ってきた。確かに所持金全部使えば生活に支障がでる。だが俺もそこまで馬鹿ではない。
「俺がそんなことをすると思っているのか? 全部持ってきたのは本当だが、この帰りに酒屋に寄るために持ってきたんだ。だからいいだろ。」
「ええ、じゃあ私の弓も買って下さいよ!」
「私のナイフもですよ。」
うっせぇ! と言いたいところだが、皆戦場では頑張ってくれてるし、買ってあげることにした。
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  ――酒場にて
「結局皆何買ったんだ?」
「楽しくて、つい買いすぎちゃいました!」
アリアを見ると大量に武具が入った紙袋を抱えていた。
「実は私もなんですが……」
ルーも倍ぐらいに膨らんだ袋を抱えている。
  ――お前らふざけんな!
「おい、何が食費がヤバいとか、ナイフくらい欲しい、だよ! 買いすぎだろ! 俺なんて剣一本しか買ってないんだよ!」
「あんなにお金を持ってきたのが悪いんです。でもよかった。ナイフと兜と鎧とか買えたので。」
「私も凄い弓と矢を買いまくりました。楽しかったですよ! ありがとうございます。」
「うっせぇ! でもこれでお金がほとんど無くなった。さっきまで巨大化していた財布も、今は紙のように薄くなったよ。だから酒屋に来たはいいものの、何も注文できねぇな……」
  ――パリーン!
俺の悪戯心満載の言葉に騙され、二人とも水の入ったコップを落とした。
――フフフ、これは天罰だ。本当はまだお金があるが、この状況でのこの嘘は説得力抜群だ!――
「…………」
アリアとルーは絶望し、その日は口を一切開かなかった。
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