転移先での国取り合戦

てんとう虫

番外編 大介、白衣を語る

「あの、大介さん。」

宿に泊まって一息ついているときだった。結局毎日毎日部屋が1つしか取れず、俺とアリアとルーの3人で相部屋だった。

「なんだアリア?」

アリアは何かに興味津々な目でこっちを見つめてきた。そこまでじっと見られると、少し照れてしまう。

「やっぱり私服も鎧も白衣だなんて不自然極まりないです! 普段一緒に歩いてる私達の気持ちも考えて下さい! 町中で恥ずかしいんですよ!」

――一体どんなことを言ってくるのかと思えば、そんなことかよ!

「おいアリア、俺の白衣人生を否定するつもりか? この白衣にはたくさんの夢と希望と魅力が詰まっているんだぞ。」

「いえ、大介。私はアリアが正しいと思います。どう考えても不自然です。」

ルーまで会話に参戦してきやがった。しかもルーはアリア陣営についてしまった。

「なんでだよ。別になにを着たっていいじゃないか。」

「確かに、人間には人権というものがあります。服は何を着ても法律で罰せられることはありません。だが私は竜人だ。人権など知ったことか!」

ルーが語る言葉には熱がある。

「おい、ルー。今キャラが壊れたぞ。最後の敬語の欠片も無かったんだが……」

「大介。1つ勘違いをしているようですね。私は一度も敬語を使った覚えがありません。語尾の『です、ます』は、大介と違って清楚なキャラを保つための丁寧語です。そもそも人生経験は大介よりも圧倒的にあります。実際に私は大介の100倍以上生きてますからね。つまり敬語を使うべきなのは大介です。」

「うるせぇよ。俺はこのパーティーのリーダーだ! その立場は変わらない。」

「あの、話戻しますけど、白衣の魅力ってなんですか?」

そこでアリアも入ってきた。

「フフフ、待ってたよその言葉! 白衣の魅力とはな、以外にも着心地がいいところだ。」

「それ前にも聞きました。」

「ぐぬ、なら通気性抜群なのは?」

「見れば分かります。」

アリアとルーの突っ込みがシンクロした。

「そんなに二人揃って言うなよ。自信無くなってきたじゃねえか。」

「ならさっさと白衣への愛を捨てて、ちゃんとした鎧とか着てください。」

「なら、最後にこれだけ聞いてくれ! 白衣の最大の魅力はポケットがいっぱいあることだぁ!」

その瞬間、女の子二人の目が輝いた!

「ポ、ポケット!?」

こうして、大介はアリアとルーに白衣の魅力を伝えることに成功し、白衣を着ることを許可された。

これを大介は、ポケット効果と名付けた。

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