ゼロからは始めないチーター生活

チャカギ高木

3話 やっぱり異世界転移

「痛い所は無いですか?お怪我は無いですか?」

少女の天使のような囁き。ユウタは確認するべく自分の体を舐め回すように見てみた。

しかし目立った外傷もなく、あるとすれば幼稚園の頃に階段から派手に転げ落ちて右足が血だらけになり、夜遅くまで手術した時の手術痕ぐらいだ。
尋常じゃなく痛かったのを覚えている。  

まーそんな事はさて置き…怪我なんてする訳が無いのだ。

なぜかと言うと、目覚める前の最後の記憶は学校の教室の中だからだ。
怪我がないのを確認して、
「平気平気!ありがとね!ん?ところでここはどこだ???」

ユウタは周りを見渡してみるが全く見覚えのない風景だった。

「ここはユーリス王国の王都にある公園の中よ?今はお昼時だから皆お家に帰って昼食を食べてる頃です。私は色々あってこの人の居ない時間しか散歩できないのです。だから今散歩をしていたのです。そしたらあなたが倒れていたのです。」

ユーリス王国?聞いたこともない王国だ。ん?王国?少なくともここは以前いた日本ではない事が分かった。
そしてユウタは学校の教室にいた頃の記憶を取り戻した。

「はっっっっっ!!!」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」

教室にはクラスメイトが一人もおらず謎の異空間が漂っていた事を思い出した。
突然だった為変な声が出てしまった。
あの異空間とこの状況が関係していると考えた方が正しそうだ。

ユウタはここでふと思った。

これはいつも読んでいるラノベでとても好きな異世界転移とか異世界転生とかでは無いかと。
しかし自分の体を見る限りでは前の自分となんら変わらない。と言うことは異世界転生ではなさそうだ。

だとすると異世界転移か?と。

そう。ユウタの身に起こった事、
それは…


「異世界転移」


ユウタが倒れていたユーリス王国も以前いた「地球」とはなんの関係もない「異世界」だったのだ。




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