朝、流れ星を見たんだ

うみたけ

凹凸コンビは園庭で出会う

滑り台やのぼり棒、鉄棒、うんていなど、様々な遊具で園児たちが遊んでいる。遊具を使わずに、鬼ごっこや、縄跳びをしている園児たちもいるが、皆揃って笑顔だ。小さい子供特有の、なんとも言えない愛くるしい笑顔が、あたりにきらめいている。

 しかしそんな中でも、一人だけ例外がいた。人気のない園庭の端の方に、一人だけぽつんと立っている男の子がいるのだ。その子はとても園児とは思えないような仏頂面をして、駆け回る園児たちを、つまらなさそうに目で追っているのだ。入園した時からいつもそうで、例え園児や先生が「遊ぼう。」と声をかけても、それに応じることはなかった。次第に彼からは人が遠ざかり、今の彼は他の園児にとって、ほとんど空気と同じ存在といえるだろう。

 だが他の園児側にも、例外はいたのだ。他の園児と遊びながらも、ひそかに彼を気にしている、というよりも、興味を持っている園児がいた。
 その園児はある日の休み時間、鬼ごっこからそっと抜け出すと、てくてくと短い足を動かし、その男の子のもとに歩いて行った。男の子はすぐにその園児に存在に気づき、踵を返して早足で逃げたものの、その園児がぴょこんと前に飛び出し、行く手を遮ってしまったので、園児にぶつかる寸前に立ち止まった。

「とうどう、しゅうや、くん。」
 その男の子の胸にあるネームプレートを見て、その園児はつぶやいた。
「ぼく、なぐもひろと。しゅうやくん、ぼくとおともだちになろ?」
 大翔は修也と目を合わせると、白い乳歯を見せて、にこっと笑った。
「…なんで?」
 修也はあからさまに迷惑そうな顔をしているが、その冷たい問いかけに、大翔はけろりと答える。
「おともだちになるのに、りゆういるの?」
 修也がぐっと押し黙る。それをいいことに、大翔は修也の手をとって、ぎゅっと握り締めた。
「しゅうやくん、あそぼ!」
「…。」
 修也は半ば引きずられるように、砂場の方へと連れられて行った。

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