階層ボスだけど暇なんで冒険してもいいですか?

つくつく

4それぞれの思惑です

「ーきて。起きてよ」
そうやって声が聞こえる。あぁ。あれはいつのことだっけ。草原で二人で座って話している。でも、その顔が思い出せない。その人物と笑いながら話している。
すると、突然景色は変わり薄暗い建物の中にいて自分が名前も知らない人に向かって必死に叫んでいる。それにその人物は笑いかけると
「ー、ごめんね。ごめんね。ーの事大好きだよ」
あぁ。やめろ。やめてくれ!と叫ぶのがわかる。これ以上は!!
「クロ!起きて!」
その声に目が覚めた。
声の主はフレアだった。フレアは慌てており
フレア「レヴィがいないの!」
それにクロはレヴィが寝てたベッドを見る。
そこには誰かがいた痕跡はあるものの誰もいなかった。
そして、クロの枕元には変な容器から煙が出てた。
「その煙は悪夢を見せるものだ」
と声が聞こえ、そちらを見るとドアのところにエルザが立っていた。
エルザ「恐らく連れ去られたのだろう」
そして、煙の出ている容器をクロが一瞥し手を伸ばし触れた瞬間パリンと音を立てて粉々になった。
フレア「…クロ?」
エルザ「一旦落ち着け。場所の特定はすでに出来ている」
そうエルザは言い残し部屋を出て行った。恐らく準備をしろと言う事なのだろう。
クロは立ち上がり真っ黒なコートを羽織り部屋の扉を開けた。
3人で移動し、大きな館の前まで行くとエルザは足を止めた。
エルザ「ここだ。…自分で招いた問題なのだ自分で何とかしてみせろ」
とエルザに言われ
フレア「な!?正気ですか?エルザさん」
クロ「いや問題ない。2人はここで待っていてくれ」
エルザ「屋敷に入って地下を目指すといい」
それにクロは頷き屋敷に入って行った。

屋敷に入ると物音がほとんどしなかった。歩いて行き地下へと繋がっている階段を見つけた。
そして階段を降りて行くと酷く所々に物が置いてある、ただただ大きなスペースと言った印象だった。
暗いが先に扉があるのが分かる。
それもこの真紅の瞳のおかげだろう。
クロ「…出てこい」
そう言うと物陰から15人ほどの男達が出てきた。
「よく気づいたな」
と前髪の長い男が薄ら笑いを浮かべながら先頭に立った。
その全員を見回し
クロ「…拍子抜けだな」
と短く言った。

「ん?ここは?私はベッドで寝てたはず」
そう思いながら下を見ると、そこにはふかふかのベッドはなく椅子に縛られている状態だった。しばらく辺りを見回していると
「へっへへ。目が覚めたか?」
そう言われ正面を見ると暗がりから大きめの男が出てきた。
それに縛られているレヴィは、首を傾げると
レヴィ「だれ?」
「なぁに。昼間に会った商人だよ」
と笑いながら言っていた。
「これから嬢ちゃんにはー」
レヴィ「…お腹すいた」
と男の言葉を遮りレヴィが呟くと
「どうやら状況がわかってないようだな。まぁ、いい。すぐにあの男の首がここに届く。楽しみだな」
そう言って笑っていると奥から扉が開く音が聞こえた。
「おっ来たか?」
そう言ってそちらに視線を向けると、ゆっくりとその顔が照らされた。真っ赤な血を全身に浴びた男がフラフラと近づいて来た。
そして、商人の男の肩を掴むと
「あいつは化け物だ!どうしてー」
と何か言おうとした男が突然肉片とかした。
「え?」
商人の驚きの声が漏れるがそこまでだった。そこには商人はおらずあるのはただの肉の塊だ。血を大量に浴びたクロが前に立っており、縛っているロープを引きちぎると
クロ「…帰るぞ」
とだけ言うと背を見せて歩いて行った。その後ろをレヴィは、テクテクとついて行った。

屋敷を出るとエルザとフレアが待っており、エルザが
エルザ「後片付けは私に任せろ」
それだけ言い残し1人屋敷に入って行った。
屋敷に入り、地下に広がっている光景を目の当たりにし
エルザ「うふふ。この世は所詮暇つぶし。せいぜい私を楽しませてみせろ」
そんな声が誰もいない地下室に響いた。

フレア「2人とも無事で良かった」
そうフレアは言ってきた。
それにレヴィとクロは頷いた。それにフレアはため息をつくと
フレア「…2人とも。明日は私とダンジョンに潜らない?」
と言った。それに2人は一瞬驚いたように目を合わせると
クロ「いいのか?」
と聞くと
フレア「えぇ。実力的に問題ないのは分かっているしね」
そう言った。
クロとレヴィは2人で目を合わせ笑った。
なにせ人生で初めてのダンジョンなのだ。

こうして、2人はいや、ほかの人々も含め。誰かの思惑通りに進んでいることに気づかずに今宵はそれぞれが過ごした。
ーさぁ。破滅への道を歩めー




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コメント

  • つくつく

    これからも更新していきますので、よろしくお願いします

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  • つくつく

    ありがとうございます

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  • 春風 めると

    展開が気になりますね、、、お気に入り登録しました!

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