階層ボスだけど暇なんで冒険してもいいですか?

つくつく

2ダンジョンに入れないです

冒険をしようとしてギルドを出て少しの時間が経っていた。
レヴィ「ねぇねぇ」
とソラが必要以上に裾を引っ張ってきた。
だが、クロはそちらの方を見向きもしなかった。
理由は単純。質問もその答えも分かっているからだ。
しかし、そんなことはいざ知らずに、レヴィは、躊躇なく言った。
レヴィ「なんでダンジョンに入らないの?」
そう。俺たちはダンジョンに入らないでいた。否。入れないでいた。
なんでも、ダンジョンの奥から“モンスターの雄叫び”が聞こえたらしく、その声だけでタワーが揺れたらしく、上級冒険者しかダンジョンに入ることが出来ないのだ。
その説明が書かれている看板をレヴィが見つけ、読んでいく。すると思い当たる節があったのか、はっ!とすると、再び裾を引っ張ってきた。裾を引っ張るのが落ち着くのか、完全に癖になっているような気がする。
レヴィ「これ、私も聞こえた」
クロ「な!?どこで?いつだ?」
レヴィ「ダンジョンの中で」
ダンジョンの中でだと?俺は一切聞こえなかった。一体どの階層のボスが?
レヴィ「私よりも上から聞こえた」
クロ「じゃあ、99から上だな」
レヴィ「うん」
と、首を縦に振って彼女は言った。
もっと上?、、雄叫び?
クロ「も、もしかして、、、」
と、冷や汗をかきながら、思い当たる節が一つだけあった。
『暇だー!!!!』
絶対あれだ!!
クロ「、、レヴィすまない」
と言って申し訳なさそうに彼は口を開いた。
クロ「犯人は、、俺だ」
レヴィ「!?」
レヴィは、驚いた表情を見せた。
レヴィ「、、クロ。100層のボスだったの!?」
そっちかよ!っと言う言葉が口から出そうになるが、堪える。ここでそんなことを言えばレヴィの流れに持ってかれる。この短時間ではあるが、彼女がどんな性格なのかは大体分かっている。
彼女は、天然で鈍感な子供なのだ。
そんなペースに巻き込まれれば、どこまで巻き込まれるかわからない。
少しずつ、クロの言葉を理解したのか。
レヴィ「じゃあ。私達は“クロのせいで”ダンジョンに入れないでいるの?」
クロ「ゔっ!」
レヴィ「クロ。おすわり!」
と言われ、言われたとおりに正座する。
レヴィ「クロ。めっ!」
と仁王立ちで幼女に説教される亜人種の姿がそこにはあった。
それにしても、怒らせたレヴィがこんなにも恐ろしいとは、夢にも思わなかった。
彼女の説教自体は大したことない。めっ!だの。ダメでしょ!と言っているだけで、全く怖くない。
しかし、彼女は、一切躊躇うことなくダンジョンの入り口前で説教を始めたのだ。
故に注目を一身に受ける。
どこからともなく注がれる好奇の視線が妙に痛い。
「えっと。あなた達は何をしているのですか?」
と声をかけられ、声の主の方に目を向けると、そこには、白い鎧を着た金髪の美しい女性が立っていた。
レヴィと二人でその突然現れた女性を見つめていると、
「、、私はフレアよ」
と、名乗った瞬間。レヴィがクロの後ろに隠れて服を掴みながら、顔の3分の1だけを少し覗かせていた。
フレア「、、だ、大丈夫だよ。怖くないよー」
と、怯えられ困った表情を見せた。
それに少しため息をつきながら立ち上がると
クロ「俺はクロだ。こっちがレヴィだ」
と簡単に自己紹介をした。
フレア「はじめましてクロ、レヴィ。、、それで何をしていたの?」
クロ「、、ダンジョンに入れないで困っていたんだ」
フレア「あぁ、あなた達も入れないでいる冒険者何ですね。、、まったく困ったことをするモンスターもいたもんですね」
と言われ、サッと視線を逸らした。
フレア「まぁ。とりあえずどこかへー」
「随分と楽しそうだなぁ。あんちゃん。俺も混ぜてくれよ」
フレアの声を遮り、大きな男が声をかけてきた。
それにフレアは嫌悪の表情を見せた。



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