異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
奴隷を買いに出かけよう
翌日。
目的となる美少女奴隷をゲットするために、俺はセイントベルの街にやってきた。
「……で、どうしてお前が付いてくるんだよ」
振り返ると、外出用の衣服に身を包んだアフロディーテの姿があった。
奴隷については、自分の趣味にマッチした美少女をじっくり&ねっとり選びたい。
そういう事情もあって俺は、他のメンバーに「1人で出かけたい」という説得をしたのだが――。
どういうわけかアフロディーテだけは頑なに俺から離れようとしなかった。
「当然でしょ! ソータを1人で奴隷商館になんて……危なっかしくて行かせていられないわ」
「なんでだよ。もしかして俺が誰かに襲われることを心配しているのか? 安心しろ。そんなやつらは返り討ちにしてやるぜ」
「何を勘違いしているの? そういう意味で心配しているんじゃないわよ!」
「……なら何を心配しているんだよ」
尋ねると、どういうわけかアフロディーテは顔を赤くしていた。
「ど、どうせソータのことだから美少女奴隷をゲットしてエロいことしてやるぜ! って考えているんじゃないかしら?」
「うぐっ。そ、そんなことはねぇよ」
「目指すは100人の美少女との奴隷ハーレムってところかしら? 言っておくけど……アタシの神眼が黒い内は絶対にそんなことは認められませんからねっ!」
「…………」
口では否定したが、完全に図星である。
この女神さまは……どうしてこう俺にとって都合が悪い時にだけ有能になるのだろうか。
「あのね。ソータ。貴方が使おうとしている資金は私たちが汗水働いて手に入れた共有財産なのよ?」
「わ、分かっているよ。バッチリ家事の出来る人を見つけてみせるって」
「本当かしら。個人的な事情で散財することなんて許さないわよっ!」
クソッ。
先手を打たれてしまったか……。
自分で宣言してしまった手前、ルックスだけで採用するのは難しくなってきた。
こうなったらなんとしても……家事万能の美少女奴隷を見つけてやろう。
家事万能の奴隷美少女によるハーレムを作ればアフロディーテたちも認めてくれるに違いない。
「なぁ。おい。聞いたか。バクラジャ商会の話」
「ああ。知っているよ。創業者が行方不明になってから随分と業績が伸びているらしいじゃないか」
「新しく変わったトップが随分とやり手という噂だぜ」
「いいねぇ。ウチの店もバクラジャ商会の調子にあやかりたいものだ」
セイントベルの街を歩いている途中。
商人らしき風貌をした2人組の男の会話が耳に入ってくる。
バクラジャ商会というのは以前に俺たちと一悶着あった会社のようなものである。
色々あってそのトップであるバクラジャ・アッカーマンという男は、魔物配合のスキルによりワーウルフに転生して俺の元で働いてくれているのであった。
「……ん。そう言えばバクラジャ商会って奴隷を取り扱っていたよな」
せっかくなので今日はバクラジャ商会を見て回ることにしようかな。
ボスが不在になってからバクラジャ商会がどうなったか……その後の状態が気になっていたのである。
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