異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

湿地でキノコを採取しよう



 翌日。
 これまでメインにしてきた医薬草の採取に代わるクエストを探すために冒険者ギルドにやってきた。

 ちなみに昨日の夜からキャロライナには、アフロディーテと一緒にボールの中で待機してもらっている。

 彼女の境遇を考えると、事態が落ち着くまではボールの中を中心に生活してもらうのが良いだろう。

「おいおい。見ろよ。新しいクエストが追加されているぜ」

「そう言えば昨日はズマリアの湿地で大雨が降ったらしいからなぁ。モンスターが湧き出したんだろう」

 ギルドボードに立った中年の冒険者たちがそんなことを話しているのが聞こえてきた。


☆討伐系クエスト

 ●ライトマッシュの討伐

 必要R :G
 成功条件:ライトマッシュを5匹討伐すること。
 成功報酬:5000コル
 繰り返し:可


 ●アメーバスラッグの討伐

 必要R :G
 成功条件:アメーバスラッグ2匹を討伐すること。
 成功報酬:5000コル
 繰り返し:可


 ☆探索系クエスト

 ●薬膳キノコの採取

 必要R :G
 成功条件: 薬膳キノコを10個持ち帰ること
 成功報酬:6000コル
 繰り返し:可


 男たちが話題にしていたクエストは上記の3種類のようである。

 依頼に必要な冒険者ランクはG。
 突発的な依頼ということもあり、以前まで森でこなしてきたクエストよりも割の良いものが揃っていた。

 医薬草も取り尽くしてしまったことだし、受けない理由はないだろう。


 ~~~~~~~~~~~~


 それから2時間後。
 新規に受注したクエストをこなすためにズマリアの湿地に到着した。

 ギルドから受け取った小冊子によると、このエリアに出現する魔物はライトマッシュとアメーバスラッグの2種類であるようだ。

 俺は周囲に人気がないことを確認すると、ボールの中からキャロライナを召喚する。

「す、凄いです! 話には聞いていましたは、本当にボールの中を自由に出入りすることが出来るんですね!」

 突如として呼び出されることになったキャロライナは、大きな眼をパチクリとさせて驚いているようであった。


「……全ての種族を支配する《絶対契約》の加護。やはり一介の人間が持つには、あまりに強大な力な気が」


「ん? 何か言ったか?」

「い、いえ! 何でもありません!」

 尋ねると、キャロライナは大袈裟に手を振って何かを誤魔化しているような感じであった。

「見て見てソータ! あっちからキノコのモンスターがやってくるわよ!」


 ライトマッシュ LV2/5 等級  G

 生命力 21
 筋力値 5
 魔力値 11
 精神力 11

 スキル
(痺れ粉)


 アフロディーテの指先には、ピョンピョンと跳ねながら移動するライトマッシュの姿があった。

「キャロ。どれくらい戦えるかお前の実力が見たい。この場は任せても大丈夫か? あのキノコのモンスターを殺さない程度に無力化してくれると助かる」

「了解しました。あの程度の相手なら素手でも問題はないと思います」

 宣言すると、キャロライナはライトマッシュの方向に歩み寄る。

 ライトマッシュは全長50センチほどのキノコの形をしたモンスターであった。

 キノコをそのまま巨大化したかのような形状であるので足は生えていない。
 ホッピングをしているみたいにピョンピョンと移動する様子は、何処となくコミカルな雰囲気であった。


「ノコー!」


 ライトマッシュは奇妙な声を上げると、頭の先から胞子を飛ばし始める。

 ぬおっ!
 なんだよ! あの攻撃は!?

 もしあの攻撃が毒だったらまずい。
 初見の相手にキャロライナを戦わせたのは判断ミスだったか。

 けれども。
 心配する俺とは対照的にキャロライナは冷静であった。

 突如としてキャロライナの足元からは強風が巻き起こる。

「これは……魔法か……!?」

 俺の予想が正しければ、この風はキャロライナのステータス画面に表示されていた『風属性魔法(中級)』によるものだろう。

 ライトマッシュの放った痺れ粉は、風によって掻き消されることになる。

 直後。
 キャロライナは人間離れをした、兎のような脚力でジャンプすると一瞬でライトマッシュの背後に回りこむ。

 それから。
 一部の隙のないコンパクトな蹴りでライトマッシュを蹴り飛ばして見せた。

「ええと。こんな感じで大丈夫でしょうか?」

「十分過ぎる! これなら戦いを任せても全く問題なさそうだな」

 キャロライナの活躍によってライトマッシュは既に虫の息になっている。
 これならば確実にカプセルボールを当てることができるだろう。


●使役魔物データ

 ライトマッシュ
 図鑑NO 731
 種族  植物族
 等級  G
 レベル 1
 生命力 20
 筋力値 5
 魔力値 10
 精神力 10

 スキル
 痺れ粉

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 植物属の基本種族となるモンスター。
 相手を麻痺させる胞子による攻撃を得意とする。
 上位種族になることで使用できる胞子の種類が増える。

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コメント

  • キャベツ太郎

    おっさんが更生された状態で排出されることを願う

    1
  • エルス・ギルバート

    変態おっさんは死ぬは喉も乾かない腹も減らない何もない寿命でしか死ねないボールのなかに飛ばされましたとさ。おしまい

    1
  • Kまる

    おっさんボールの中に入ったら美化されてるとか?

    1
  • ノベルバユーザー29362

    ボールの中のおっさんどうなったんだ?

    2
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