異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
VS ゴースト
「キャアアアアアアアアアア!」
この光景を受けて最も恐怖していたのはラッセンであった。
元々、『怖い話』が大の苦手だったラッセンにとって、薄気味の悪い人形たちが浮遊する光景は堪らないものがあった。
ラッセンにとって不幸中の幸いだったのは、今しがたトイレを済ませたばかりのタイミングであったことだ。
もしも少しタイミングが違っていれば、今頃はもっと情けない姿を悠斗の前に晒していたかもしれない。
「だ、大丈夫ですか? ラッセンさん!?」
「……アタシは何も見ていない。アタシは何も見ていない。アタシは何も見ていない。アタシは何も見ていない。アタシは何も見ていない」
ショックを受けたラッセンは、部屋の隅っこに蹲り、両目を瞑ったままガクガクと震えてしまっていた。
「ご主人さま! これは一体!?」
「恐れ入ったぞ……。先程、スピカ殿の言っていたことは本当だったのだな!」
他の2人も同様である。
ラッセンほど過剰なリアクションはなかったが、異様な光景を前にして恐怖しているようであった。
「ん? もしかして、スピカたちには、視えていないのか?」
ただ1人、人形が動く理由に気付いていた悠斗だけは、平然と周囲の様子を分析していた・
その時、悠斗の視界はたしかにプカプカと部屋の中を漂っているモンスターの姿を捉えていた。
ゴースト 脅威LV15
半透明の体を持ったゴーストは、人間の子供のような形をしたモンスターである。
その全長は1メートルくらい。
両手に少女の人形を持ったゴーストたちは、嘲笑うかのような表情でこちらの様子を眺めていた。
「えっ……? 何のことですか?」
「主君には一体、何が見えているというのだ!?」
霊感@レア度 ☆☆☆
(目では見えないものを感じ取る力)
どうやらゴーストの姿を肉眼で見ることができるのは、《霊感》のスキルホルダーだけらしい。
悠斗の保有する《霊感》のスキルは、肉眼では捉えることのできない物体を目視することを可能にしていた。
(それなら!)
敵の姿が見えているのであれば、十分に勝機はある。
そう判断した悠斗はゴーストに向かって、勢い良く飛び蹴りを食らわせることにした。
スカッ!
だがしかし。
悠斗の放った攻撃はゴーストの透明な体を前にして、無力化されることになった。
(ぬおっ! コイツ等……。実体がないのか!?)
勢い余った悠斗は、そのまま屋敷の壁に激突しそうになってしまう。
危なかった。
あと少し反応が遅れていたら、女の子たちの前で恥ずかしい姿を晒すことになっていたかもしれない。
「主君! 何をやっているのだ!」
「ご主人さま! そっちに敵はいないですよ!」
もしかしたら恐怖に駆られて、頭がおかしくなってしまったのだろうか。
見えない敵と戦い始めた悠斗を前にした2人は、不安の感情を抱くことになった。
「大丈夫! 俺にはちゃんと見えているからさ!」
これ以上、女の子たちの前で失態を重ねるわけにはいかない。
そう判断した悠斗は掌の中で小さな氷の礫を作り、勢い良く指の力で弾き出す。
「キュオッ!」「ピュウッ!」「ポワワッ!」
氷の礫を額に受けたゴーストたちは、たちまち空気の中に消えていく。
(なるほど。コイツ等の弱点が分かっていたぞ。)
ゴーストの長所は2つ。
肉眼で目視ができない点と物理攻撃な攻撃を無効化する点である。
この2つの力は脅威であるが、その分、他のステータスは低めに設定されているようであった。
悪趣味な人形を使って、こちらの動揺を誘っているのが良い証拠である。
直接的な戦闘能力を持たないからこそ、こういった小細工を仕掛けてくるのだろう。
近衛悠斗
固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進 魔力精製 魂創造 魔力圧縮 影縫 霊感
魔法 : 火魔法 LV7(17/70) 水魔法 LV7(30/70)
風魔法 LV6(30/60) 聖魔法 LV6(37/60)
呪魔法 LV6(31/60)
特性 : 火耐性 LV6(26/60) 水耐性 LV3(25/30)
風耐性 LV7(61/70)
3匹のゴーストを倒したところで、悠斗はステータスを確認する。
呪魔法の経験値が15ポイント上昇していた。
どうやらゴーストから得られるのは呪魔法プラス5のスキルらしい。
「そらよ!」
敵の弱点を把握して、要領さえ掴んでしまえばこちらのものである。
悠斗はその後も氷の礫を飛ばし続けて、次々とゴーストを撃破していく。
「凄いです! 何がなんだか分からないですが、どんどん敵が減っていきます!」
「恐れいったぞ! 主君の力は『視えない敵』にまで及ぶようになったのだな!」
どうやらゴーストたちにとって、《霊感》のスキルを持った悠斗の存在は、天敵と呼べるものだったらしい。
結局、居間の中に出現した、ゴーストたちは、戦闘開始から、ものの1分も経たないうちに全滅することになった。
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