異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
新たなる強敵
一方。
時刻は悠斗と愛菜の戦闘が終了してから3日ほど先に進むことになる。
ここは世界に3つしかない《冥府の扉》を開けた先にある『魔界』と呼ばれるエリアである。
魔界の中でも最も立派な建築物である《アインヴィッシュの城》という場所がある。
その中には、2人の大物魔族がいた。
「――報告は以上にございます。ハーディス様」
1人は《傲慢の魔王》こと――ルシファーである。
七つの大罪の中でもリーダーとしての地位に就いているルシファーは190センチを超える体躯と銀色の髪を持った美男子であった。
「ふぉふぉふぉ。大損害よのう。まさか七つの大罪の内の4名が数日としない内に消え失せることになろうとは……」
もう1人の男の名前は《悪魔宰相》――ハーディスである。
七つの大罪を指揮する立場にあるハーディスは、魔界の最高権力者として魔族たちの中でも頂点に君臨していた。
「……して。計画の《死戒の宝玉》にはまだ十分な魔力が貯まっていないのじゃろう? 今後はどうやって計画を進めていくつもりなのじゃ?」
この《死戒の宝玉》と言うのは、七つの大罪に属する魔族のみが所持することを許されるレアアイテムである。
死戒の宝玉は人間たちの恐怖や絶望と言った《負の感情のエネルギー》を集めることで驚異的な魔力を蓄えることが可能であり――。
七つの大罪のメンバーは、このアイテムを利用して、かつてこの世界に君臨していたとされている《邪神》を現世に蘇らせようと計画していたのであった。
「――ハッ。まずは七つの大罪を立て直すのが最優先だと存じまず。我々は一刻も早くマモン、ベルフェゴール、レヴィアタン、サタンの欠員となる人物を補充しなければなりません。そのための候補者たちは既にピックアップして参りました」
まさか最強の魔族集団がたった1人の少女の手によって半壊するとは、ルシファーにとっても予想外であった。
しかし、最強の障害であった愛菜は既にトライワイドには存在しない。
故にルシファーは、新しいメンバーを補充することで体勢を立て直すことは可能だと考えていた。
「その必要はないかのう。もう直ぐ邪神様はお目覚めになられる。お前たちの努力は無駄ではなかったのじゃ」
「……なんですと!?」
「真のことよ。《深淵の穴》の中を覗いてみれば分かることじゃ」
深淵の穴とは邪神が封印されると噂される次元の裂け目のことである。
魔族たちは中にエネルギーを最大まで貯めた《死戒の宝玉》を収めることによって、邪神復活を目論んでいたのだった。
「――――ッ!?」
ルシファーが穴の中を覗こうとした直後。
驚くべきことが起こった。
何を思ったのかハーディスは、背中を押してルシファーの体を次元の裂け目の中に落としたのである。
「――ハーディス様。一体何を!?」
「分からんのか? お前たちはもう用済みじゃて。せいぜい邪神様の餌となるのがお似合いじゃ」
ハーディスは思案する。
七つの大罪が早期に瓦解することになったのは、想定外であるが計画に変更はない。
既に七つの大罪に代わる存在――《精霊王》に邪神復活計画は引き継がせてある。
魔族という枠を超えた《精霊王》たちならば、確実に計画を遂行することが出来るだろう。
「ふぉふぉふぉ。邪神様が復活し――人間共が絶望に明け暮れるその日が楽しみじゃわい」
穴の中に落ちていく同胞の姿を見つめながらもハーディスは、邪悪な笑みを零すのであった。
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