異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

村長からのプレゼント



「ユウト君。この度は本当に良くやってくれた。なんとお礼をすれば良いのやら……かける言葉が見つからないよ」

 和也たち盗賊団がケットシ―の村を襲撃してから1日が経った。

 その被害は今も凄惨な傷跡を残している。
 負傷者は数十人に上り、僅かではあるが死者も出た。

 けれども。
 この程度の被害で済んだのは、偏に悠斗の活躍があったからだとオリヴィアは考えていた。

「……そんなに頭を下げないで下さい。俺としても色々と収穫があって満足していますから」


 盗賊のナイフ レア度@☆☆
(刀身が大きく反り返った殺傷能力の高いナイフ。盗賊たちが好んで使用する。素材の剥ぎ取りには向かない)


 今現在、悠斗の手持ちには武装解除という名目の元、盗賊たちから奪ったナイフが32本あった。

 1本1本に大した額は付かないだろうが、これだけのまとまった数があれば、それなりの額で売却できるだろう。


 成長促進 レア度@☆☆☆☆☆☆☆
(植物の成長を加速させる能力)



 付け加えて。
 今回の戦闘により新たに《成長促進》の固有能力を習得することができた。


(もしかすると……さっき手に入れた木の実に《成長促進》の能力を使えば、自宅で神樹を育てることができるんじゃないか……!?)


 悠斗のバッグの中には《若返りの実》を始めとする、ケットシーの村で採取したレアな木の実が入っていた。

 幸いにも新しい住居を購入したばかりであり、樹木を育てる場所には事欠かない。
 自宅に帰ったらさっそく試してみることにしよう。

「まずはリリナのことを救ってくれた件についての礼がまだ済んでいなかったな。これは私たちの村からユウト君に対する感謝の印だよ。是非とも受け取って欲しい」


 魔法のバッグ(改) レア度@☆☆☆☆☆☆
(アイテムを自由に出し入れできる便利な高性能のバック。制限容量は4000キロまで)


 オリヴィアが用意したアイテムの効果を魔眼のスキルで確認するなり、悠斗は目の色を変える。

「ありがとうございますっ! 助かります!」

 悠斗が現在使用しているバッグは制限容量が100キロまでしかなかったが故に何かと不便な点も多かった。

 制限容量が4000キロにも達する新しいバッグは、これからの冒険に必ず役立ってくれるに違いない。

 レアリティが2段階アップの効果は伊達ではないということなのだろうか?

 デザイン的には今まで使っていたものとそれほど変わりがないような気がするが、その容量は驚きの40倍である。

 家に戻ったらさっそくバッグの中身を入れ替えておくことにしよう。

「そして次にこの村を救ってくれたお礼だが……残念ながらこの村には、キミを満足させられそうなアイテムや資金はなくてね。そこで村の人間たちで色々と話し合ったのだが……リリナとサーニャを奴隷としてキミの傍に置いてはくれまいか?」

「……はい?」

 オリヴィアの提案があまりにも意外なものであったので、悠斗は思わず間の抜けた声を上げてしまう。

「いやいや! どうしてそこであの二人を奴隷にするという話になるんですか!?」

「ふむ。それについては、なかなか込み入った事情があるのだが……」

 いつになく真剣な面持ちでオリヴィアは説明を始める。

「捉えた盗賊の1人に今回、村を襲った理由を問いただしたところ、どうやら彼らの目的は、サーニャを奴隷として売り払うことにあるらしくてね。珍しい固有能力を保有する奴隷は、場合によっては数千万リアという額で取引されることがあると言われているのだ」

「…………」

 そこまで聞いたところで悠斗は、オリヴィアが唐突な提案をしてきた理由について大まかに理解することができた。

「なるほど。つまりこの話は2人のためでもある訳ですね」

「その通り……察しが早くて助かるよ」

 悠斗の頭の回転の早さに感心しながらもオリヴィアは続ける。

「キミの察している通り、今回の一件によりフォレスティ姉妹に対する村人たちの心象は最悪なモノになっている。正直に言うと、再び村が襲われることを考え、彼女たち二人を村から追い出すべきという考えが多数派になっているくらいだ。
 けれども、何の身寄りも持たない女二人が生きて行けるほどこの世界は甘くはない。従って今回の提案は、私からの願いでもある。フォレスティ姉妹には事情を説明して合意済みだ。どうだろう。彼女たちを傍に置いてやってはくれまいか?」

「…………」

(……断る理由は、1つもないよな)

 先日、悠斗はエクスペインの街に豪邸を買ったばかりである。
 リリナとサーニャが寝泊まりする部屋を用意するくらいなら直ぐにでも出来るだろう。

「分かりました。そういう事情があるのでしたら任せて下さい」

「有難い。二人のことを宜しく頼むよ」

 オリヴィアは何処か物憂げな眼差しで、感謝の言葉を口にする。

「……私もあと10年若ければ、キミのところに付いて行きたかったのだけどな」

「あの? オリヴィアさん。何か言いました?」

「ふふふ。何でもない。年寄りの独り言さ。忘れてくれたまえ」

 オリヴィアは「リリナとサーニャのことを宜しく頼んだ」という念押しの言葉を残すと静かに席を立つことにした。

 オリヴィアには守らなければならないものが沢山ある。
 何もかも投げ出して男に付いて行くには、少し歳を取り過ぎた。

 まずは手始めに、盗賊団に襲撃されて傷を負った村の復興活動に励まなくてはなるまい。
 やらなければならないことは山積みである。


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 その晩、オリヴィアは珍しく1人で酒を飲んだ。
 酒の力を借りて辛いことを忘れることが出来るのは、若い娘にはできない大人の特権である。

 早く結婚して、自分だけの幸せを掴もう。
 そうすればもう、こんなに辛い想いはしなくてすむのではないだろうか?

 体中にアルコールが回り、朦朧とする意識の中でオリヴィアはそんなことを考えるのであった。


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