異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

検証作業



「ご主人さま。ここから北東に30メートルほどの距離にブルースライムがいます。数は1体だけだと思います」

「了解」

 敵の数は1匹。
 能力略奪の検証作業にはうってつけの相手だろう。

「スピカ。シルフィア。少し試したいことがあるから今回は……二人で戦ってくれないか? 俺はここで待っているからさ」

「分かりました」

「承知した」

 二人に指示をすると悠斗は岩場に腰かけて彼女たちの帰りを待つことにした。


 ~~~~~~~~~~~~


 それから5分後。

「お待たせしました! ご主人さま!」

 ブルースライムの核を手にしたスピカが悠斗の元に到着した。
 当然シルフィアも一緒である。

 遠距離攻撃の手段を持ち合わせていなかったからだろう。
 シルフィアの体には、斬撃の際に飛び散ったと思われる粘着質なブルースライムの体液が付着していた。

 すかさずステータス画面を確認。


 近衛悠斗
 特性  : 火耐性 LV2(15/20)
       水耐性 LV2(16/20)
       風耐性 LV2(14/20)


 水耐性の数字が(15/20)から(16/20)に上昇していた。

(どうやら能力略奪の効果は、俺の視界に入っていないところでも発動するようだな……)

 危険度の低い魔物と戦うことのできるこの場は、能力略奪の発動条件について調べるにはうってつけだろう。

 そう判断した悠斗は、同じ要領で徹底的に検証作業を繰り返すことにした。


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 検証結果。
 悠斗が導き出した結論は以下の通りである。


・能力略奪の効果は半径およそ50メートルの範囲の『倒した魔物』にのみ適用される


 能力略奪の効果に距離制限があることは、試行錯誤の末に確認した情報である。

 武術だけに留まらず戦闘に役に立ちそうなスポーツがあれば、何でも吸収してきた悠斗は《投槍術》についても精通していた。

 助走を付けて投げれば100メートル近くまで槍を投げることが可能な悠斗であれば、およそ60メートルの範囲内であれば遠距離からスライムを狙って仕留めることが可能であった。

 槍投げによって検証を試みた結果。

 能力略奪の効果はおよそ50メートル以内の『倒した魔物』には適用されるが、それを超えると効果を得ることが出来なかった。

 ここで重要になってくるのは、隷属契約を結んだ仲間が『倒した魔物』にも能力略奪の効果は適用されるということである。

 何故か?
 その理由について悠斗は『隷属契約を結んだ人間は、自身の道具の一部として認識されるから』という仮説を立てることにした。

 人間を道具と同一視するのは抵抗はあるが、そういう仕様になっている以上は仕方がないだろう。

 投げた槍とシルフィア。
 どちらも50メートルを超えると能力略奪の効果を得ることが出来なくなるという点について結果が共通していた。

「凄いです! ご主人さま! まさか槍という武器があんなに遠くまで飛ばせるものだとは思いもよりませんでした!」

「恐れ入ったぞ! まるで手から放たれた槍が天に吸い込まれて行くようであった!」

 トライワイドには投槍術という概念が浸透していないため。
 悠斗の技を目の当たりにしたスピカとシルフィアは目を丸くして驚いていた。

 今回の検証作業から導き出される結論としては――。
 有能な人材がいれば、パーティーのメンバーはどんどん増やして行くべきだということである。

 ただし能力略奪の効果を活かすためには、隷属契約を結ぶことが必須だろう。
 魔物を倒してもスキルレベルが上がらないのでは、戦闘を行うメリットが半減してしまう。

 悠斗はひとまずそう結論付けた後。

 かねてより気になっていた未使用の魔法の試し打ちを行うことにした。



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