失恋物語《ストラテジー》
第11話 全校集会
今日は全校集会である。
朝にそのことを伝えられて、突然のことに驚きながらもとりあえず講堂に来てみた。
騒がしい講堂にマイク越しで教頭先生の声が響く。
「えー、皆さん。静かにしてください。今日集まってもらったのは新しく赴任された先生を紹介するためです」
教頭先生が話始めたというのに、一向に喧騒が収まる兆候をみせない。
「それでは西園寺先生、よろしくお願いします」
西園寺?
いや、まさか······あの西園寺なのか?
あいつは確かに俺と同じ年齢だけど、ここにいるはずかない。
というか教師なんてもっての他だ。
だけどこの前の朝、俺は確かにあいつの姿を見てしまった。
そして、教頭先生に西園寺先生と呼ばれていたのもはっきりと覚えている。
その時はあいつに会ってしまったことで頭がいっぱいで他の事を考える余裕がなかったが、本当にあいつなのか?
は~い、と気の抜けた、しかしよく響く声でパイプ椅子に座っていた白衣を着ているやつが立ち上がり、そのまま壇上に上がる。
そしてマイクを持ち話始める。
「どうも皆さんおはようございます西園寺です。見て分かるかと思いますが、年は16です。基本は保健室にいるんで会いたい人は来てくださいね」
見覚えのある、あの万人受けする笑顔を保ちながらつらつらと戯れ言を並べているが、カチカチの永久凍土のように何一つ俺の心は動かない。
隣に座っている詩織も俺と同様の感情なのか、微妙な顔をしている。
気分が優れないので保健室にでも行こうかと考えていたら、タイミングの悪いことにあいつと目が合ってしまう。
それにウインクまでされた。
事情を知らない周りの男どもは「俺の方を向いた!」「いや、俺だ!」「白衣の天使だ......」と、様々な反応だが俺は知っている。
あいつは仮面を被った悪魔であるということを。
「さっきも言ったけど私は保健室の先生なので体調が悪い人は連れていってあげますよ? 大丈夫ですか? 体調悪い人いない? まあ、私は肉体的というよりも精神的なほうの専門だから、悩みがあったら聞きますよ? 特に恋バナは好きだからよろしくね?」
先生らしからぬ気の抜けた話し方はしかし、生徒には受けが良かったようだ。
「西園寺先生~。俺、体調悪いんで保健室に連れていってくださ~い!」
一人の男子生徒が声を上げる。
ネタで言ったことは誰にも明らかだった。
「あー、まだ言ってなかったけど私、これでも魔法使いだよ? 嘘は通じません」
本日最大の衝撃が生徒たちに走る。
どうして同じ年齢なのに先生なの? という疑問をみんなは持っていただろうが、ここで疑問は晴れる。
「じゃあ、みんなよろしくね?」
その言葉で今日の集会はお開きとなった。
朝にそのことを伝えられて、突然のことに驚きながらもとりあえず講堂に来てみた。
騒がしい講堂にマイク越しで教頭先生の声が響く。
「えー、皆さん。静かにしてください。今日集まってもらったのは新しく赴任された先生を紹介するためです」
教頭先生が話始めたというのに、一向に喧騒が収まる兆候をみせない。
「それでは西園寺先生、よろしくお願いします」
西園寺?
いや、まさか······あの西園寺なのか?
あいつは確かに俺と同じ年齢だけど、ここにいるはずかない。
というか教師なんてもっての他だ。
だけどこの前の朝、俺は確かにあいつの姿を見てしまった。
そして、教頭先生に西園寺先生と呼ばれていたのもはっきりと覚えている。
その時はあいつに会ってしまったことで頭がいっぱいで他の事を考える余裕がなかったが、本当にあいつなのか?
は~い、と気の抜けた、しかしよく響く声でパイプ椅子に座っていた白衣を着ているやつが立ち上がり、そのまま壇上に上がる。
そしてマイクを持ち話始める。
「どうも皆さんおはようございます西園寺です。見て分かるかと思いますが、年は16です。基本は保健室にいるんで会いたい人は来てくださいね」
見覚えのある、あの万人受けする笑顔を保ちながらつらつらと戯れ言を並べているが、カチカチの永久凍土のように何一つ俺の心は動かない。
隣に座っている詩織も俺と同様の感情なのか、微妙な顔をしている。
気分が優れないので保健室にでも行こうかと考えていたら、タイミングの悪いことにあいつと目が合ってしまう。
それにウインクまでされた。
事情を知らない周りの男どもは「俺の方を向いた!」「いや、俺だ!」「白衣の天使だ......」と、様々な反応だが俺は知っている。
あいつは仮面を被った悪魔であるということを。
「さっきも言ったけど私は保健室の先生なので体調が悪い人は連れていってあげますよ? 大丈夫ですか? 体調悪い人いない? まあ、私は肉体的というよりも精神的なほうの専門だから、悩みがあったら聞きますよ? 特に恋バナは好きだからよろしくね?」
先生らしからぬ気の抜けた話し方はしかし、生徒には受けが良かったようだ。
「西園寺先生~。俺、体調悪いんで保健室に連れていってくださ~い!」
一人の男子生徒が声を上げる。
ネタで言ったことは誰にも明らかだった。
「あー、まだ言ってなかったけど私、これでも魔法使いだよ? 嘘は通じません」
本日最大の衝撃が生徒たちに走る。
どうして同じ年齢なのに先生なの? という疑問をみんなは持っていただろうが、ここで疑問は晴れる。
「じゃあ、みんなよろしくね?」
その言葉で今日の集会はお開きとなった。
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