失恋物語《ストラテジー》

美浜

プロローグ

「───ってくれませんか?」


 放課後の屋上──
 俺はある後輩に告白を受けていた。
 

 自慢じゃないが俺は今までに何度も告白を受けてきた。
 だけど、こんな告白は初めてだった。


「先輩? 聞いてますか?」


「······あ、あぁ」


「反応が薄いですね······。もう一度だけ言いますからちゃんと聞いてくださいよ?」


「うん······」


「こほん。えー、それでは言いますね。
先輩、私はまだあなたのことが好きではありません。だけど、私はあなたのことを好きになります。そして、告白します。だからそのときに私のことをフってくれませんか?」

 
「······」


 今まで受けてきた告白は全て断ってきた。その中で、相手をなるべく傷つけないで断る方法も会得したつもりだ。
 では、この場合はどうすればいいのだろうか?
 

「えっと······、俺は断ればいいんだよね?」


「はい、そうです。さすが先輩、物分かりが良くて助かります。『お前のことは好きじゃない』って感じで私のことを振ってくれれば大丈夫です。そうすれば私は失恋・・できます」


 胸の奥がチクリと痛む。
 『好きじゃない』という言葉があのとき・・・・のことを思い出させる。


 ここで断ると彼女を傷つけることになるのだろう。
 だから俺は彼女の告白を受け入れるしかない。
 結局は彼女をフることになるから、俺にとっても問題はない。


「分かった。えっと······これからよろしく?」


「はい! あ、そうだ。大丈夫だとは思いますけど、私のことは好きにならないでくださいよね。そうじゃないと意味がないですから」


「あぁ、大丈夫。その心配はいらない」


 本当にそんな心配なんていらない。


 だって俺はあのとき・・・・から、もう二度と恋などしないと決めたのだから──



 彼女のこの告白によって、俺こと──加賀見かがみ優人ゆうとの学園生活が大きく変わることになるとは、このときの俺には知るよしもなかった。




以下作者のコメント

今回の話は本編の少し先の話となっています。
そのため、優人と後輩は次の話では一応出会ってないことになっています。

このプロローグの場面からがこの作品の本題なので、さくっと進められるように頑張ります。(どれくらいできるかは作者の技量次第)

*更新ペースは不定期です。


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コメント

  • 美浜

    そう言っていただけると嬉しいです!
    ありがとうございます!

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  • ノベルバユーザー313371

    なにやら気になる始まりですね。
    楽しみにしています頑張ってください!

    2
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