出来損ないリッチーは要りませんか?
03 初戦闘は、スライム
03  初戦闘は、スライム
「んー?怪しいなぁ?まあいっか。ハルトはヘタレだし。早くスライム倒しに行こ!」
………こいつ…!
  そんなこんなで俺達は、ようやくスライムが頻繁に現れると苦情が届いている畑に到着した。どうやら、スライムが、畑の作物を荒らしているらしい。
「随分と荒らされてるな……。」
  畑には、荒らされていなければ、豊作であったであろう、キャベツの残骸が、見るも無残な状態で放置されている。
「ねぇ、ハルト!見て、あれ!スライムじゃない?」
「……ん?………ホントだ!」
畑の隅の辺りに目を向けると、サッカーボール程の大きさの、半透明な青や緑の物体が、ぷよぷよと、控えめに飛び跳ねていた。
「わぁーー!何これ、可愛い!」
ユウナは、このスライムが気に入ったようだ。
まあ、確かに可愛いっちゃ、可愛いな…。
俺がユウナの言葉に共感していると、
「ハルト、スライムには、色によって、生態とか、強さとかが変わるらしいよ?因みに、このスライムは、スライムの中でも、一番弱いスライムなんだって!」
よし、ちょうどいい。
この頃、ユウナには、ずっと手玉に取られている感じがするし、ここでスパッとスライムを倒して、印象を改めてもらおうか…!
「ユウナ、見てろ、モンスターとの戦闘は、こうやってやるんだ!」
俺は、一気にスライムとの間合いを詰め、剣を思い切り振り下ろした…!
「ハッ!」
だが、スカッ……
なんと、スライムが、思い切り振り下ろした剣を、避けたのだ。
俺は、気を取り直して、スライムに向けて、剣を振りまくった。
だが、スライムは、難なく剣を避けてしまう。
俺が、だんだんイライラとし始めたそのとき……!
ぴたっ…。
スライムが、俺の顔にくっついてきた…!
ていうか、これ、息ができない…!
「………!………プハッ…!ユウナ!助けて…!」
  男子が女子に、助けを求めるとか、情けないにも程があるが、今はそんなことどうでもいい!
「わかった!今助けるよ!」
ユウナは、思い切り剣を振り上げた。そう、俺の顔に向かって。それも、目をつぶって。
あっ、死ぬ。
と、咄嗟に思った。が、その心配はなかった。なぜか、目をつぶったままで、俺の顔には当てず、スレスレのところでスライムだけに当てた。
「はぁ、死ぬかと思った…。」
「助けてあげた私に感謝してね!」
……こいつ、何もわかっていない!
「スライムもそうだけど、一番は、お前の剣の振り方だ!バカなの?何で目をつぶって剣を振るの?」
「助けてあげたのに、バカなんて、ひどい!もう、ハルトなんか、レインボースライムに食べられちゃえばいいのに!」
「待て、なんだ?その、レインボースライムって…。それと、物凄く嫌な予感しかしない…。」 
「レインボースライムは、何でも食べちゃう、めちゃくちゃ強くて、大きいスライムだよ。でも、このモンスター分布表によると、とっても珍しいみたいだし、きっと出ないよ、大丈夫!」
……ドスン……ドスン……。
森の方から、地響きのような音が聞こえてきた。
どうしよう、もう嫌な予感しかしない……!」
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ハルトと、ユウナ、ついにスライムと戦い始めました!
そして、まあ、見ての通り、ユウナがフラグをバッチリと立てました。
というわけで、次回は、レインボースライムと戦うかも?
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