魔王の娘に転生したので学園生活楽しみたい!
第5話「召喚勇者」
月日は流れ、あっという間に私は10歳となっていた。
背も大分高くなった。と言っても日本の10歳の平均身長よりも低い。
平均は140cm前後だが私は116cmなのだ。
私はこの低身長を自分の種族の所為にして気にしない事にした。
この世界には牛乳は無いのだろうか。
あるのならば、絶対に飲んでやる。
そんな事を思いながら私は、1人魔王城の庭で魔法のレベルアップを図っている。
最近では上級魔法も殆ど覚えてしまい、特にすることも無くなっていった。
今では、魔法で科学をする事を思いつき、日本の知識を使ってオリジナル魔法を開発している。
例えば、水を一瞬で氷に凍らす遊びをした。学校の授業で覚えた科学だ。
水という液体はマイナス0度にすれば凍らす事が出来るのだが、水の分子を決まった位置に落ち着かせずに冷却することによって水の状態のままに出来る。
そうやってできた水に振動を与えると一瞬で凍るわけだ。
水魔法で水の球体を作り、魔力操作で混ぜながら冷やせば出来上がりだ。
まあ、水魔法が上達すれば直ぐに氷を作ることができるし、戦闘で使用するのもあまり役に立たない。
これは、只の自己満足な遊びなのだ。
セバスは、最近になって忙しそうだ。何かイベントのような事があるのだろうか。
理由を聞いても、笑って誤魔化し教えてくれなかった。
父親である魔王にも聞いてみるが、「何でもない、気にするな」の一点張りで教えてくれない。最初聞いた時は少し動揺している様子だったので確実に隠してる。
他の魔族は本当に知らないようで、魔王とセバスだけでの隠し事のようだ。
いくら詮索しても同じ回答で仕方がないので、気にしないことにした。
────────────
「人族から襲撃が来たぞおおおおおお!!!」
ある日、高台で見張りをしていた魔族が大声で叫ぶ。
内容は人族からの襲撃をしらせるものだった。
「⋯⋯えっ?なに?」
私は、1人外で魔法遊びをしていた。
突然の事で、頭が追いつかない。転生してから10年、今までこんな事は起きなかった。
少し落ち着き、頭の中を整理する。
まずはこの状況を自分の目で確認する事が大切だ。
私は、身体強化と風魔法を駆使して国を一望できる位置まで飛ぶ。
飛んだ瞬間、遠くの方から膨大な魔力が動くのを感じた。
誰かが魔法を使用する準備をしたと見て間違いない。
一望できる位置まで飛ぶと、先程感じた魔法が放たれる。
「⋯⋯うそでしょ⋯⋯」
光の光線が真っ直ぐに伸び、建物を破壊していく。
こんな魔法は初めて見る。今まで見た魔法の倍以上の威力があった。
少なくとも私より強いと思う。これではもし戦闘になっても勝てないかもしれない。
浮遊感がなくなり、重力によって落下し始める。これはただ飛び上がっただけで、飛行してるわけじゃない。
無事着地し、魔法の被害状況を確認しようと現場に急ぐ。一刻も早く行くために身体強化を使って走る。
被害現場に着く。
そこには地面が一直線に抉られており、瓦礫が無残な状態で残っていた。
「酷い⋯⋯」
「リディア様、何でこんなところに! 早くお逃げください!」
顔も知らない魔族に怒られる。
何で私の名前を知ってるんだろうと思ったが、そう言えば私は魔王の娘だったことを思い出す。
そりゃ私は有名だわな。
そんな事はどうでも良い。兎に角、状況を確認する為、怒って来た魔族に聞く。
「これは何が起きたの!」
「詳しくは分かりませんが、召喚勇者が襲撃に来たそうです! ですので速くお逃げください!」
成る程、召喚勇者か。
確かセバスが魔法の修業の時、そのような事を言ってた気がする。
召喚勇者は別の世界から転移召喚され、勇者となる。勇者は特例として光属性魔法が使えるのが特徴らしい。
別の世界からという事は地球人だろうか。
という事は先程の光の光線は勇者が使用した魔法と見て間違いない。
私は教えてくれた魔族を後にし、勇者がいるであろう場所へ走り出す。
勇者の魔法によって一直線に道ができてるので分かりやすい。
ある程度確認できる場所に着き、瓦礫によって作られた物陰に隠れる。
勇者と思われる人物は、ザ・勇者みたいな服装を来ており、目立っていてわかりやすかった。
勇者は、次々と襲ってくる魔族を軽々と余裕な顔で殺している。
酷過ぎる。魔族は人族にとって敵だとしてもこれは酷い。
これは只の弱い者苛めだ。
すると突然、背後から私の口を手で押さえて喋れなくされる。
「⋯⋯っ!?」
「静かにしてください、見つかってしまいます」
犯人はセバスだった。敵に見つかったかと思って終わったかと思った。
背後からいきなり現れるのはいつもの事で、10年も立っていれば嫌でも慣れる。
だが流石にこれは驚く。
驚きで心臓がバクバクしていたのを無理矢理落ち着かせ、小声で喋りかける。
「何するのよ!」
「何故こんなところにいるのですか?」
「何故って、これ何とかしないと」
「それは魔王様がやってくれます。さあここから離れましょう」
セバスは、私を何としてもここから離したいようだ。
すると、勇者の方向から突然爆発が起き、砂煙が混じった爆風が起こる。
確認すると、そこには勇者と相対している魔王がいた。
「さあ速く!」
それを見たセバスは、急ぐ様に小声で私を催促する。
それを聞いた私は、無言で頷き返す。
だが、逃げるのが遅かった。
勇者に背中を向けて走り出した瞬間、後ろが光りだす。
勇者が此方に気づき、攻撃して来たのだ。
私はあまりの眩しさに目を伏せ、手で顔を隠す。
何故かスローモーションの様に感じ、何も聞こえない。
よく死ぬ直前は、スローモーションになる現象が起こると聞く。
生命の危機に際してアドレナリンやら脳内物質の過剰分泌で集中力がとんでもないことになっているんだろう。
そうか、私はまた死ぬんだな。
暫く待っても何も起きない。
おかしいと思い目を開け確認する。
そこには透明な球体の壁が私とセバスを守っていた。
「これって⋯⋯」
「⋯⋯魔王様に感謝しませんとね」
魔王が此方に手を向けていた。魔法で私たちを守ってくれたらしい。
魔王は、私たちに攻撃が当たってないのを確認した後、セバスに叫びかける。
「セバス!!! リディアを連れて逃げろ!!!!!」
セバスは目を見開いた。想定外の事を言われたんだろう。
「何をしている!!! 早くしろ!!!⋯⋯くっ⋯⋯!?」
「駄目だよ逃げちゃ、魔族なんてみんな死んじゃえ」
魔王は私たちへ向けられた勇者の攻撃を守っている。
勇者は余裕ぶって私たちの会話に参加する。
その台詞は、何処か狂気に満ちていた。
「⋯⋯申し訳ございませんッ」
セバスは迷いを振り切って決心した。すると無言で私を無理矢理抱き抱え、勇者から離れる。
「えっ、ちょっと! セバス待って! 父様が!!」
私はセバスが何をしているのか分からなかった。
みるみると距離が遠くなっていく。勇者も私たちの事を諦めたようだ。
そして私たちは魔族の国“セトヘイム”を出た。
背も大分高くなった。と言っても日本の10歳の平均身長よりも低い。
平均は140cm前後だが私は116cmなのだ。
私はこの低身長を自分の種族の所為にして気にしない事にした。
この世界には牛乳は無いのだろうか。
あるのならば、絶対に飲んでやる。
そんな事を思いながら私は、1人魔王城の庭で魔法のレベルアップを図っている。
最近では上級魔法も殆ど覚えてしまい、特にすることも無くなっていった。
今では、魔法で科学をする事を思いつき、日本の知識を使ってオリジナル魔法を開発している。
例えば、水を一瞬で氷に凍らす遊びをした。学校の授業で覚えた科学だ。
水という液体はマイナス0度にすれば凍らす事が出来るのだが、水の分子を決まった位置に落ち着かせずに冷却することによって水の状態のままに出来る。
そうやってできた水に振動を与えると一瞬で凍るわけだ。
水魔法で水の球体を作り、魔力操作で混ぜながら冷やせば出来上がりだ。
まあ、水魔法が上達すれば直ぐに氷を作ることができるし、戦闘で使用するのもあまり役に立たない。
これは、只の自己満足な遊びなのだ。
セバスは、最近になって忙しそうだ。何かイベントのような事があるのだろうか。
理由を聞いても、笑って誤魔化し教えてくれなかった。
父親である魔王にも聞いてみるが、「何でもない、気にするな」の一点張りで教えてくれない。最初聞いた時は少し動揺している様子だったので確実に隠してる。
他の魔族は本当に知らないようで、魔王とセバスだけでの隠し事のようだ。
いくら詮索しても同じ回答で仕方がないので、気にしないことにした。
────────────
「人族から襲撃が来たぞおおおおおお!!!」
ある日、高台で見張りをしていた魔族が大声で叫ぶ。
内容は人族からの襲撃をしらせるものだった。
「⋯⋯えっ?なに?」
私は、1人外で魔法遊びをしていた。
突然の事で、頭が追いつかない。転生してから10年、今までこんな事は起きなかった。
少し落ち着き、頭の中を整理する。
まずはこの状況を自分の目で確認する事が大切だ。
私は、身体強化と風魔法を駆使して国を一望できる位置まで飛ぶ。
飛んだ瞬間、遠くの方から膨大な魔力が動くのを感じた。
誰かが魔法を使用する準備をしたと見て間違いない。
一望できる位置まで飛ぶと、先程感じた魔法が放たれる。
「⋯⋯うそでしょ⋯⋯」
光の光線が真っ直ぐに伸び、建物を破壊していく。
こんな魔法は初めて見る。今まで見た魔法の倍以上の威力があった。
少なくとも私より強いと思う。これではもし戦闘になっても勝てないかもしれない。
浮遊感がなくなり、重力によって落下し始める。これはただ飛び上がっただけで、飛行してるわけじゃない。
無事着地し、魔法の被害状況を確認しようと現場に急ぐ。一刻も早く行くために身体強化を使って走る。
被害現場に着く。
そこには地面が一直線に抉られており、瓦礫が無残な状態で残っていた。
「酷い⋯⋯」
「リディア様、何でこんなところに! 早くお逃げください!」
顔も知らない魔族に怒られる。
何で私の名前を知ってるんだろうと思ったが、そう言えば私は魔王の娘だったことを思い出す。
そりゃ私は有名だわな。
そんな事はどうでも良い。兎に角、状況を確認する為、怒って来た魔族に聞く。
「これは何が起きたの!」
「詳しくは分かりませんが、召喚勇者が襲撃に来たそうです! ですので速くお逃げください!」
成る程、召喚勇者か。
確かセバスが魔法の修業の時、そのような事を言ってた気がする。
召喚勇者は別の世界から転移召喚され、勇者となる。勇者は特例として光属性魔法が使えるのが特徴らしい。
別の世界からという事は地球人だろうか。
という事は先程の光の光線は勇者が使用した魔法と見て間違いない。
私は教えてくれた魔族を後にし、勇者がいるであろう場所へ走り出す。
勇者の魔法によって一直線に道ができてるので分かりやすい。
ある程度確認できる場所に着き、瓦礫によって作られた物陰に隠れる。
勇者と思われる人物は、ザ・勇者みたいな服装を来ており、目立っていてわかりやすかった。
勇者は、次々と襲ってくる魔族を軽々と余裕な顔で殺している。
酷過ぎる。魔族は人族にとって敵だとしてもこれは酷い。
これは只の弱い者苛めだ。
すると突然、背後から私の口を手で押さえて喋れなくされる。
「⋯⋯っ!?」
「静かにしてください、見つかってしまいます」
犯人はセバスだった。敵に見つかったかと思って終わったかと思った。
背後からいきなり現れるのはいつもの事で、10年も立っていれば嫌でも慣れる。
だが流石にこれは驚く。
驚きで心臓がバクバクしていたのを無理矢理落ち着かせ、小声で喋りかける。
「何するのよ!」
「何故こんなところにいるのですか?」
「何故って、これ何とかしないと」
「それは魔王様がやってくれます。さあここから離れましょう」
セバスは、私を何としてもここから離したいようだ。
すると、勇者の方向から突然爆発が起き、砂煙が混じった爆風が起こる。
確認すると、そこには勇者と相対している魔王がいた。
「さあ速く!」
それを見たセバスは、急ぐ様に小声で私を催促する。
それを聞いた私は、無言で頷き返す。
だが、逃げるのが遅かった。
勇者に背中を向けて走り出した瞬間、後ろが光りだす。
勇者が此方に気づき、攻撃して来たのだ。
私はあまりの眩しさに目を伏せ、手で顔を隠す。
何故かスローモーションの様に感じ、何も聞こえない。
よく死ぬ直前は、スローモーションになる現象が起こると聞く。
生命の危機に際してアドレナリンやら脳内物質の過剰分泌で集中力がとんでもないことになっているんだろう。
そうか、私はまた死ぬんだな。
暫く待っても何も起きない。
おかしいと思い目を開け確認する。
そこには透明な球体の壁が私とセバスを守っていた。
「これって⋯⋯」
「⋯⋯魔王様に感謝しませんとね」
魔王が此方に手を向けていた。魔法で私たちを守ってくれたらしい。
魔王は、私たちに攻撃が当たってないのを確認した後、セバスに叫びかける。
「セバス!!! リディアを連れて逃げろ!!!!!」
セバスは目を見開いた。想定外の事を言われたんだろう。
「何をしている!!! 早くしろ!!!⋯⋯くっ⋯⋯!?」
「駄目だよ逃げちゃ、魔族なんてみんな死んじゃえ」
魔王は私たちへ向けられた勇者の攻撃を守っている。
勇者は余裕ぶって私たちの会話に参加する。
その台詞は、何処か狂気に満ちていた。
「⋯⋯申し訳ございませんッ」
セバスは迷いを振り切って決心した。すると無言で私を無理矢理抱き抱え、勇者から離れる。
「えっ、ちょっと! セバス待って! 父様が!!」
私はセバスが何をしているのか分からなかった。
みるみると距離が遠くなっていく。勇者も私たちの事を諦めたようだ。
そして私たちは魔族の国“セトヘイム”を出た。
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