最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~
囚われの女騎士
その日の朝。
俺は女性の悲鳴で目を覚ますことになる。
えーっと……どうしてこうなったっ!?
声のした方に向かってみると、そこにいたのは紅色の髪を持った見知らぬ美少女の姿であった。
「無礼もの! 何を見ているのです!?」
おそらくスライムたちに『侵入者は見つけ次第、無力化すること』と命令していたことが関係しているんだろうな。
スライムたちに揉みくちゃにされた紅髪の少女は、あられもない姿になっていた。
「こ、この痴れ者がっ! 早くわたくしのことを助けなさい!」
強がってはいるが、羞恥心で狼狽しているのがバレバレである。
衣服は奪われ、下着姿になった少女は、歯ぎしりをしながら恥辱に耐えているようであった。
「……ロゼ。何をしているのです」
「お姉さま!? 良かった……やはり生きていたのですね!」
もしかして二人は知り合いだったのだろうか?
リアの姿を目の当たりにした目に涙をためながらも感動の笑みを浮かべていた。
「主さま。紹介します。彼女の名前はロゼッタ。年齢は近いですが、王都の騎士団には私より2年後に所属していました」
「そうか。つまりはリアの後輩だったのか」
「お姉さま! 今すぐに王都に戻りましょう! お姉さまの力が必要なんです!」
紅髪の少女は縋るような眼差しでリアに言う。
「何者かに月が破壊されてからというもの王都は大変なことになっています! この混乱を鎮めるためにはお姉さまの協力が……」
「……愚問ですね。私は人族のヨウジさまに忠誠を誓った身。王都に戻ることなどありえません」
「人族? お姉さまは、このニューマンが人族と仰いますの?」
「その通りです。ヨウジさまはこの世界で唯一人族。遺跡探索の折に私は、この方に命を救って頂いたのです」
「……………」
リアの説明を聞いたロゼは訝しげな表情を浮かべる。
「なあ。リア。ニューマンって何だ?」
「ニューマンというのは人族の血を色濃く引き継いだ種族になります。その能力は平均的ですが、外見的には人族とウリ二つのものをしています」
なるほど。
つまり初対面だと俺の外見は、そのニューマンという種族に見えちまうってわけか。
正体を隠したい俺にとっては何かと都合が良さそうな存在である。
「お姉さまはこの男に騙されています! その男が本当に人族であるのならば……体の外に漏れ出した魔力で感知できるはずですわ!」
「貴方には分からないでしょう。主さまの魔力は、常人に観測できるものではありません。膨大な魔力がオーバーフローを起こしているのです」
「そ、そこまで仰るのでしたら証拠を見せて欲しいものですわ! わたくしが納得するような証拠を見せて頂けませんこと?」
「…………」
ロゼが疑うのも無理はない。
俺だって自分がどうしてこんなところにいるのか、理由を上手く説明できないわけだしな。
「……主さま。申し訳ありませんが、彼女からの信頼を得るために聖遺物の力を見せては頂けませんか?」
「分かった。いつものように髪の毛を与えればいいのか?」
「……流石にそれはやり過ぎだと思います。主さまの髪の毛は1本とは言っても桁外れの魔力を有していますから。差支えなければ、彼女の口の中に指を入れて頂けないでしょうか?」
「……え。でも、そんなことをしたら怒られないか?」
「問題ありません。彼女は昔から私のことを慕ってくれているようですから。それが私の意志であれば責めるような真似はしないかと思います」
「分かった。そういうことならやってみるよ」
か、勘違いしないでしょねっ!?
これは別にエロい意味ではないんだからねっ!?
捉われの女騎士の口の中に指をツッコムだけであって……変な意味はない。変な意味はないのである。
「ふんっ……! 近くで見ると益々凡庸な男ですわ! お姉さまもこんな男の何処に惹かれたのだか……」
俺の姿を近くで見たロゼは悪態をつく。
やはりというかなんというか……。
改めてみると、ロゼッタは格別な美少女であった。
少し気の強そうな顔立ちは好みが分かれるところだろうが、可愛いらしいピンク色の下着をつけているのもギャップ萌えの様相を呈している。
胸はでかい。
おそらく優にGカップを超えるくらいはあると思う。
そんな少女が下着姿でスライムに捕まっている状態は、破廉恥極まりないものがあった。
「それじゃあ、今から証拠を見せてやるよ」
俺はそう前置きすると、スライムたちに拘束されているロゼの口の中に指をツッコムことにした。
「~~~~ッ!???」
生暖かい。
湿り気を帯びた人肌の温度がジンワリと指先に伝ってくる。
口の中に指を突っ込まれることになったロゼッタは、目を丸くして驚いているようであった。
「ふにゃっ!? な、なんでしゅのこれは!?」
結論から言うと、ロゼが抵抗を見せたのは一瞬であった。
暫くすると、ロゼは自ら進んで指の汗を舐めることになる。
「んっ……。ちゅっ……ちゅっ……」
やはり人族の体液には媚薬のような効果があるのだろう。
ロゼは『心ここにあらず』と言った雰囲気で俺の指をしゃぶっていた。
「はむっ……。じゅるるるっ……」
一心不乱に指をしゃぶるロゼの姿は官能的で、見ていると下半身の当りがムズムズと痒くなってくる。
「主さま。そのあたりで大丈夫でしょう」
「…………」
これはまずい!
俺の下心に気付いたのだろうか?
リアの口調には少しばかり棘が入っているような気がした。
「ハッ……! わたくしとしたことが……一体何を……!?」
口から指を抜いてやると、我に返ってくれたようである。
まだ味わい足りないのか、ロゼは俺の指を名残惜しそうに見つめるのであった。
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