最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~
熊人族の事情
戦いに勝利した俺は、家の中にあった縄を使って侵入者の体を縛っておくことにした。
「この男は処遇はどのようにしましょうか」
「手荒な真似はしたくない。まずは起きるのを待って色々と事情を聞いてみることにしようか」
どうやら俺のタックルはよほど打ちどころが悪かったらしい。
放置しておくと大惨事になりそうだったので、縄で縛った後はリアの回復魔法により応急処置を施してもらうことにした。
「承知いたしました。全ては主さまの意のままに」
そもそも男はどうして俺の家に侵入してきたのだろうか?
なんとなく金目当てっぽい言動だったけど、それにしたってもう少し上手いやり方があったろうに。
「目が覚めたか」
「……そうか。オレも焼きが回ったっていうことか。まさかこんなモヤシに負ける日が来るとは思わなかったぜ」
自らの敗北を悟った男は、自虐的な笑みを零す。
「お前の目的はなんだ? どうしてこんなことをした?」
「……ハンッ。薬を買うためにオレにはカネが必要だったのさ」
「薬?」
もしかしてこの男……薬物依存症なのか?
いや。
それにしては冷静な気がするし……根が悪い人には見えないんだよな。
「妹が病気を患っていてね。毎月、薬を与えないと生命を維持することが出来ねえのさ。けど生憎とウチの村は貧乏でね。このままだと明日にはもうオレの妹の命が……」
「あー」
となると強盗紛いの行為は全て妹のためだったというわけか。
う~ん。
決して褒められたことではないんだろうけど、妹のためだったと考えると途端に許してやりたくなってきたな。
「なあ。リアの魔法で妹さんの病気を直してやることはできないのかな?」
「申し訳ありません。私の魔法は肉体の傷は治せても流石に病気までは……」
ダメだったか。
魔法を使って病気を直せれば平和的な解決になると思ったのだが……そう上手くはいかないらしい。
「しかし、病気を直すことのできる方法が1つだけあります」
「……本当か!?」
「はい。主さまの聖遺物を与えれば良いのです。主さまの魔力を以てすれば、どんな病気もたちどころに治ることでしょう」
「なるほど。その手があったか!」
この世界では人間パワーに勝るものはない。
なんといってもスライムを美少女に変えちまうくらいだからな。
きっと病気なんて直ぐに良くなるだろう。
「しかし、個人的にこの方法はオススメができません。我々はあくまでアジトで身を潜めなければならない身。無闇に聖遺物を他人に与えると足がつく恐れがございます」
リアの意見は尤もである。
戦力が整っていない内に俺の正体がバレることになると、悪意を持った相手に襲われるリスクが増してしまう。
「すまん。リア。どうしても妹さんを助けたのだが……」
無謀だということは分かったいる。
けれども、俺は日本で生活していた頃から『誰かに必要とされたい』と願っていたのである。
俺の力で救える命があるのなら見殺しにしたくはない。
「……分かりました。そこまで仰るのでしたら情報工作については私に任せて下さい」
「出来るのか!?」
「ええ。他人に約束を守らせることを強制する『呪印』の魔法を用いれば可能かと。私の命に変えましても主さまの秘密は守り通してみせましょう」
流石はリア!
本当に最初に仲間になってくれたのがリアで良かったよ。
「もし良かったらこれを使ってみないか?」
俺は髪の毛を1本抜くと、男に対して差し出すことにした。
「こ、こいつは……!? なんてスゲー魔力なんだ!」
俺の髪の毛を受け取った男は目を丸くして驚いているようであった。
「……それを与えれたら妹さんの病気はきっと良くなると思う。だから強盗なんてバカな真似はやめろよ」
「……くっ。すまねぇ。俺の名前はアダイ。この森に住んでいる熊人族のアダイだ! いつかこの恩は返すぜ!」
拘束から解放させてやると、熊人族の男は目に涙を溜めながらも感謝しているようであった。
「この男は処遇はどのようにしましょうか」
「手荒な真似はしたくない。まずは起きるのを待って色々と事情を聞いてみることにしようか」
どうやら俺のタックルはよほど打ちどころが悪かったらしい。
放置しておくと大惨事になりそうだったので、縄で縛った後はリアの回復魔法により応急処置を施してもらうことにした。
「承知いたしました。全ては主さまの意のままに」
そもそも男はどうして俺の家に侵入してきたのだろうか?
なんとなく金目当てっぽい言動だったけど、それにしたってもう少し上手いやり方があったろうに。
「目が覚めたか」
「……そうか。オレも焼きが回ったっていうことか。まさかこんなモヤシに負ける日が来るとは思わなかったぜ」
自らの敗北を悟った男は、自虐的な笑みを零す。
「お前の目的はなんだ? どうしてこんなことをした?」
「……ハンッ。薬を買うためにオレにはカネが必要だったのさ」
「薬?」
もしかしてこの男……薬物依存症なのか?
いや。
それにしては冷静な気がするし……根が悪い人には見えないんだよな。
「妹が病気を患っていてね。毎月、薬を与えないと生命を維持することが出来ねえのさ。けど生憎とウチの村は貧乏でね。このままだと明日にはもうオレの妹の命が……」
「あー」
となると強盗紛いの行為は全て妹のためだったというわけか。
う~ん。
決して褒められたことではないんだろうけど、妹のためだったと考えると途端に許してやりたくなってきたな。
「なあ。リアの魔法で妹さんの病気を直してやることはできないのかな?」
「申し訳ありません。私の魔法は肉体の傷は治せても流石に病気までは……」
ダメだったか。
魔法を使って病気を直せれば平和的な解決になると思ったのだが……そう上手くはいかないらしい。
「しかし、病気を直すことのできる方法が1つだけあります」
「……本当か!?」
「はい。主さまの聖遺物を与えれば良いのです。主さまの魔力を以てすれば、どんな病気もたちどころに治ることでしょう」
「なるほど。その手があったか!」
この世界では人間パワーに勝るものはない。
なんといってもスライムを美少女に変えちまうくらいだからな。
きっと病気なんて直ぐに良くなるだろう。
「しかし、個人的にこの方法はオススメができません。我々はあくまでアジトで身を潜めなければならない身。無闇に聖遺物を他人に与えると足がつく恐れがございます」
リアの意見は尤もである。
戦力が整っていない内に俺の正体がバレることになると、悪意を持った相手に襲われるリスクが増してしまう。
「すまん。リア。どうしても妹さんを助けたのだが……」
無謀だということは分かったいる。
けれども、俺は日本で生活していた頃から『誰かに必要とされたい』と願っていたのである。
俺の力で救える命があるのなら見殺しにしたくはない。
「……分かりました。そこまで仰るのでしたら情報工作については私に任せて下さい」
「出来るのか!?」
「ええ。他人に約束を守らせることを強制する『呪印』の魔法を用いれば可能かと。私の命に変えましても主さまの秘密は守り通してみせましょう」
流石はリア!
本当に最初に仲間になってくれたのがリアで良かったよ。
「もし良かったらこれを使ってみないか?」
俺は髪の毛を1本抜くと、男に対して差し出すことにした。
「こ、こいつは……!? なんてスゲー魔力なんだ!」
俺の髪の毛を受け取った男は目を丸くして驚いているようであった。
「……それを与えれたら妹さんの病気はきっと良くなると思う。だから強盗なんてバカな真似はやめろよ」
「……くっ。すまねぇ。俺の名前はアダイ。この森に住んでいる熊人族のアダイだ! いつかこの恩は返すぜ!」
拘束から解放させてやると、熊人族の男は目に涙を溜めながらも感謝しているようであった。
コメント
ノベルバユーザー221331
どうしても妹さんを助けた。」になってますよー。