最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~

柑橘ゆすら

ライムの変化

それにしても昨日は……凄まじい経験をしてしまったな。
いくらパワーアップのためとは言っても流石に調子に乗り過ぎた。

リアとのキスは10分にも及ぶ長丁場の後に幕を下ろすことになる。

これは後で分かった話になるが……人族の体液は他種族に対する強力な催淫作用を含んでいるらしい。

まさか強化中にリアの体力が先に底を尽きて気絶してしまうとは思わなかった。

この力があれば元の世界でも、風俗嬢の男バージョンの仕事(名前は知らない)で食べていける気がする。


「……さて。先にトイレでも済ませておくかな」


 このところ排泄物の処理は全てライムに頼んでいる。
 仲間のことを便器替わりにするのは気が引けるが、森の生態系を破壊するわけはいかないからな。


「ライム! いるかー?」


 洞窟の中にいるであろうライムに声をかける。
 リアが寝ている時はライムが替わりに洞窟の入口を見張ることになっていた。

「キュー! キュー!」

「なっ……!」

 入口の方から歩いてきた生物を見た俺は目を疑った。
 
 これは一体……どういうことだ?
 そこにいたのは、綺麗な青髪を持った全裸の幼女であった。
 

「もしかして……お前がライムなのか?」

「キュー!」


青髪の幼女はコクリとうなずく。

 驚いた。
 たしかに泣き声はスライム形態のライムと同じものだ。

「キュー!」

「……ちょっ!?」

 何を思ったのかライムが俺のズボンを勢いよくズリ下ろし――。

 そのまま俺の太ももに対して頬ずりをしてきた。


「そうか。やっぱりお前はライムだったのか!」


 こういう仕草をするのは、排泄物を欲しがるときのライムの癖だった。

 しかし、どうしたものか。
 これまで俺がライムのことを便器として利用できたのは、彼女がスライムの姿をしていたからであって……。

 人間の姿……まして幼女になったライムを便器として利用するのは流石に無理がある。


「主さま? 一体何をしているのですか?」


 声のした方に目をやると、そこにいたのはリアであった。
 ぷくりと頬を膨らませたリアは、かつてないほど不機嫌な表情をしていた。


「……あっ」


 冷静になって周囲を見渡した俺は、そこで全てを察することになる。

 終わったー。
 俺の平穏な生活に終了のホイッスルが響き渡りましたー。

 下半身を露出した俺&全裸の幼女。
 そりゃ、色々と勘違いする要素は盛りだくさんだよな。

 自ら置かれた状況に気付いた俺は、必死のタイムアウトを取ることにした。




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