最強の種族が人間だった件 ~ エルフ嫁と始める異世界スローライフ ~
間接キス
それから。
リアと一緒に家の中を掃除しているうちに日が落ちて夜になった。
掃除が終わった後は夕食の時間である。
そうは言っても状況が状況だけに贅沢なことは言っていられない。
俺はリアに勧められるまま食料庫の中にあった干し肉を齧り、簡易的な夕食を済ませることにした。
「夕食を取らないのか?」
洞窟の前に立ち健気に見張り役を務めるリアに声をかける。
「……食料庫の中に残っていた食糧はそれだけだったのです。明日からは機を見つけて狩りを行おうと思いますので今暫くお待ち頂けないでしょうか?」
「…………」
やはりそういうことだったか。
もう夜なのに突然『狩りにいく』とか言っていたから、食料事情が芳しくないんじゃないかって思っていたんだよな。
もちろんそんな危険な真似は直ぐに止めさせたわけだが。
「質問を変えようか。夕食を抜いているみたいだけど腹が減らないのか?」
「心配には及びません。3日くらいならば食事を取らなくても死ぬことはないと思います。それにどちらにせよ食料は干し肉のかけらしかありませんので……私が食事を取ることは……」
「じゃあ、これを食べてくれよ」
そこで俺が差し出したのは夕食時に残しておいた干し肉である。
全て食べなかったのは正解だった。
もしかしたらリアが俺のために食事を抜いているんじゃないかと思っていたんだよな。
「い、頂くことはできません! ただでさえ粗末な食事をさせてしまって恐縮だというのに……」
「いやいや。リアが腹を空かせていたら敵が攻められた時に困るのは俺だろ?」
説得するとリアは、渋々と納得をしてくれたようである。
そのままリアは目の前の干し肉をパクリと齧る。
直後――異変は起こった。
「はぁぁぁあんっ!」
突如としてリアは艶っぽい声を上げる。
「おい! 大丈夫か!?」
どういうわけかリアの体は、発光して夜の闇を照らしていた。
「凄いです……! これが人族の……主さまの力なのですね……!」
どうやら俺の心配は杞憂だったらしい。
よくよく見ると頬を上気させたリアは『苦しい』というよりも『気持ちが良い』という感じの表情をしていた。
「ありがとうございます。主さまのおかげで私の魔力は、飛躍的に進化を遂げることが出来ました」
「……俺のおかげなのか?」
「おそらく頂いた食物に主さまの唾液が混じっていたのでしょう。主さまから頂いた唾液はこれまで私が食べたどんな食事よりも美味でした」
「…………」
なるほど。
つまり要約すると俺と間接キスをしたことにより、リアはパワーアップを遂げることが出来たというわけか。
埃の被った髪の毛1本でもパワーアップできるのだから、生きた人間の生唾は効果テキメンなのだろう。
「どうやら先程までの空腹が収まっているようです……! これで夕食を取る必要もなくなりました」
ははっ……。
この世界の人間パワーっていうのは本当に何でもアリなんだな。
色々とツッコミ所はあるけど、リアの腹も満たされたようだし結果オーライということにしておこう。
リアと一緒に家の中を掃除しているうちに日が落ちて夜になった。
掃除が終わった後は夕食の時間である。
そうは言っても状況が状況だけに贅沢なことは言っていられない。
俺はリアに勧められるまま食料庫の中にあった干し肉を齧り、簡易的な夕食を済ませることにした。
「夕食を取らないのか?」
洞窟の前に立ち健気に見張り役を務めるリアに声をかける。
「……食料庫の中に残っていた食糧はそれだけだったのです。明日からは機を見つけて狩りを行おうと思いますので今暫くお待ち頂けないでしょうか?」
「…………」
やはりそういうことだったか。
もう夜なのに突然『狩りにいく』とか言っていたから、食料事情が芳しくないんじゃないかって思っていたんだよな。
もちろんそんな危険な真似は直ぐに止めさせたわけだが。
「質問を変えようか。夕食を抜いているみたいだけど腹が減らないのか?」
「心配には及びません。3日くらいならば食事を取らなくても死ぬことはないと思います。それにどちらにせよ食料は干し肉のかけらしかありませんので……私が食事を取ることは……」
「じゃあ、これを食べてくれよ」
そこで俺が差し出したのは夕食時に残しておいた干し肉である。
全て食べなかったのは正解だった。
もしかしたらリアが俺のために食事を抜いているんじゃないかと思っていたんだよな。
「い、頂くことはできません! ただでさえ粗末な食事をさせてしまって恐縮だというのに……」
「いやいや。リアが腹を空かせていたら敵が攻められた時に困るのは俺だろ?」
説得するとリアは、渋々と納得をしてくれたようである。
そのままリアは目の前の干し肉をパクリと齧る。
直後――異変は起こった。
「はぁぁぁあんっ!」
突如としてリアは艶っぽい声を上げる。
「おい! 大丈夫か!?」
どういうわけかリアの体は、発光して夜の闇を照らしていた。
「凄いです……! これが人族の……主さまの力なのですね……!」
どうやら俺の心配は杞憂だったらしい。
よくよく見ると頬を上気させたリアは『苦しい』というよりも『気持ちが良い』という感じの表情をしていた。
「ありがとうございます。主さまのおかげで私の魔力は、飛躍的に進化を遂げることが出来ました」
「……俺のおかげなのか?」
「おそらく頂いた食物に主さまの唾液が混じっていたのでしょう。主さまから頂いた唾液はこれまで私が食べたどんな食事よりも美味でした」
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なるほど。
つまり要約すると俺と間接キスをしたことにより、リアはパワーアップを遂げることが出来たというわけか。
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「どうやら先程までの空腹が収まっているようです……! これで夕食を取る必要もなくなりました」
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