Endlees・Magic〜二人の天才が出会う時やがて世界の魔法と混沌が加速する

水定ユウ

FirstMystere2.5

俺の名は豹堂紅蓮。今年から「国立付属魔工機科学アルタイル高校」の生徒となる者だ。
 俺は、何かに期待する形で古ぼけた家を出た。俺の中にある感情は一つ、「一番」になることだけだった。

 小学校の時からそうだった。何をやっても「一番」にこだわるような性格だった。馴れ合うことを嫌い一人でいた。そして中学でもそれは変わらなかった。勉強でも、運動でもだ。努力もした。俺は天才じゃない。秀才でもない。そのどちらなのかも俺にとってはどうでもよかった。ただ、俺は「一番」にこだわり続けて来たのだ。

 
 俺がこの高校に進学するのには理由があった。
 それは他の奴にはわからないだろうことだ。何しろ話していないからだ。


 




 
 「母さん。俺、「アルタイル」に行くよ」
 「えっ?!何で、「アルタイル」なの?紅蓮、あなた「魔法」にも「科学」にも興味がなかったでしょ?」
 「あの学校なら、将来母さんを楽させてあげされるはずだからさ。俺、あの学校で「一番」になって必ず「一級魔工師」になるよ」

 「一級魔工師」それは、世界的にも数が少ない。全てにおいての専門家スペシャリスト。「魔法」も「科学」も「機械工学」においても、一流の成績を持つ者にのみ、その高みへと登る機会チャンスが与えられる。

 「二級魔工師」でも世界的に見れば、難しく「三級魔工師」であっても、「魔工師」の中では最も低い階級だ。そもそもが「魔工師」になることは難しい。皆、「魔工師」になるのを諦め、それぞれが最も得意な方面へと進む。「機械工学師ドライバー」と呼ばれる者。「法学師ヴィテージ」と呼ばれる者。そして、「魔工師」又の名を、「魔工師ウィザード」と…





 俺は、家計を支えるためにもこの学校で絶対に「一番」になる必要がある。手段は選ぶ。念入りに緻密に計算された俺の理論を突き通してみせる。それこそが俺の性格。馴れ合うことを嫌うスタンスだ。

 俺は意気揚々と、気持ち新たに整理し校門をくぐる。
 否、それは一瞬にして散り散りに砕け散った。

 誰かとぶつかった。アスファルトの感触が顔の表面を撫でる。春風めぐる季節により、ほんのりと冷やされたコンクリートがじんわりとした冷たさを身体へと感じされる。

 「っ、痛。ちっ、悪かったな、大丈夫か?」
 「ああ、こちらこそごめん。そっちはどう?」
 「俺か?まあ、これぐらいはなれてる」

 目の前にいたのはヒョロヒョロっとした男だった。
 腰まで伸びる長い銀髪が目立つ。その目が先程から俺の姿を一望するかのようにして覗き込んでくる。

 「どうした、何か付いているのか?」
 「いや、何でもないさ」

 よくわからない奴だと思った。だけど、何故だろうか?こいつからは他とは違う気配オーラを感じる。

 「お前名前は?」
 「僕かい?僕は狼上霧、君は?」
 「俺が、俺は豹堂紅蓮だ」

 そいつは、ふいに手を差し出して来た。その瞬間握りそうに手を引っ込め言った。

 「なんてな。俺はそんなことはしない」

 と公言していた。

 
 
 それから教室に着くと、騒がしい連中で溢れかえっていた。そんな表現は大げさだが確かにうるさかったのは事実だ。俺は日の当たる場所を求め、窓際に座るアーチを描く席を数え、上から三段目といったところだ。

 「やあ、さつきは悪かったね」
 「うん!?何だ確か狼上霧だったか。お前もこのクラスなのか?」
 「そうみたいだね」

 目障りだった。馴れ馴れしくしてくるやつは嫌いだ。ほっといてほしいものだ。

 「悪いが俺はじゃれ合う気などない」
 「僕も同じだよ」

 なんだこいつは訳がわからない。先程の態度とは一変しているようだ。その気配も少し違う。今は「自分」というものがはっきりと認識できる…が次第に薄れゆく。意味がわからず振り向くと、そこには紛れもなくいた。しかし、その気配自体は不気味であった。

 



 「魔工師ウィザード」や「法学師ヴィテージ」なんかの専門的にしてみました。これからはこっちを使うかもしれません。あと、少し前の話数の言葉が違うと思いますが、面倒だったからです。以上、報告を終えます!

 それと、今更ですが、「魔工師」は魔法工学師の略。「法学師」は魔法科学者の略です。なので、実際にあるものとは異なる名称及び役割を意味しますので、予めご了承ください。

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