異世界転生の能力者(スキルテイマー)

藤崎 サクヤ

-プロローグ-

部屋のカーテンの隙間から太陽の光が差し込む。

時計は6:52を示している。僅かな眠気がありつつ、ベッドから降り下の階へと向かった。


顔を洗い、朝食をとり、歯を磨き、支度をしていつも通り、学校に行く。

           
俺は「荒瀬 達也」あらせたつや。ごく普通の高校2年生だ。成績は上の下くらいでスポーツ万能という訳でもない。顔もかっこいいとは言い難い。趣味はアニメ鑑賞、ゲーム、読書である。そんなに目立たないキャラだ。というか目立つことに、大して興味を示さない。


そんなこんなで教室に着いたわけだけど、準備をしていると、後ろから声がした。

「おはよう達也!昨日の異世界アニメ8話見た?チョー感動したぁー!!」

そう言って俺に話しかけてきた茶髪のポニーテール、青い瞳が特徴的な彼女は、「高浪 凜香」たかなみりか。クラスの中で唯一俺と同じ趣味を持っている女友達だ。
高浪は、というとスポーツ万能、成績優秀、かつ美少女という完璧としか表しようがない3点セットの持ち主。

入学当初のHRで自己紹介をした時に俺の趣味を少し暴露した時から高浪とは仲がいい。周りの男子からの嫉妬や殺意の目線が少々痛いが…

「お、おはよう高浪。俺も8話見たよ!あれは名シーンだよな!」

すると凜香も笑みを浮かべて
「だよねだよね!あ、そうだ。今日一緒に帰ろ!色々話したいこととかあるし…!」

これまた一緒に帰ろ!だなんて…
すぐに周りを見渡す。案の定、男子達の無言の圧が凄まじかった。殺すぞと言わんばかりの表情だ。恐るべし。

それを察して俺はこう言う。
「あ、ごめん高浪!き、今日は急用があるから先にか、帰るよ…」
どう見ても動揺しまくりの返事だ。高浪にバレるに違いない。

読み通り、高浪にはお見通しの様だった。

「嘘だよね達也?強制でーす!」

「ゲッ!!!!…大人しくついて行きまーす…」


話したい事ってなんだろうと考えている内に授業はあっという間に過ぎていった。

そして帰り道。凜香の家は俺の家の近所なので最後の曲がり角までは同じだ。凜香とは色んな話をした。ほぼ、アニメやゲームの話で、少しは俺が見た不思議な夢の話・・・・・・・をした。

話をしているうちにすぐ曲がり角まで来た。ここで俺は彼女に別れを告げる。

「じゃ!凜香。また明日!」


これが、この世界の暫くの別れになるかもしれないと知らずに…

「うん!達也。また明t...」
笑顔で挨拶を返してくれたその時だった。
周囲に普段、あまり耳にしないような轟音が響いた。驚いて周囲を見渡すと、微かな光とともに周囲に魔法陣が出現していた。

「ッ!?  な、何がどうなってんだ…...と、とにかく逃げよう高浪!」

「う、うん!」

そう言って俺は咄嗟に高浪の手を取り、あるだけの体力を消耗し、逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。ひたすら逃げた。とにかく逃げた。魔法陣は誰かの仕業なのか。だとしたら誰だ?確かに男子達から俺は恨まれてるかもしれない。かもしれなくない。実際恨まれてるだろう。だが、クラスメイトに魔法陣を出現させることの出来る奴なんているはずがない。見逃してほしいところだが、そんな遠い願いは叶うはずもなく……


刹那、耳をつんざくような音と共に鋭い刃が俺に振りかざされた。咄嗟のことで反応出来ずあっさりと斬られてしまう。
「ぐっ…!がはっ…」

鋭い音がなり、俺は何者かに斬られ、その場に倒れた。斬られた所は痛いのだが出血はしていない。不思議だ。はっとして、凜香の方を見る。すると凜香も同じように斬られ、倒れていた。

「た、高浪…!!」
俺は彼女の名前を叫んだ。
ありったけの声で叫んだ、頼りない声だった。すると凛香がこっちを向いて

「たっ、達也!!またいつか会おうね…」
彼女の瞳からは涙の雫が頬を伝ってこぼれ落ちた。
俺は激痛のせいで為す術なく、その場で倒れ込んでいた。力が欲しい。


だんだんと意識がぼんやりしてくる。嗚呼、なんて短い人生だったんだろう。さようなら俺。さようなら人生。

薄れゆく意識の中で俺を斬った張本人が何か言っているのが聞こえた。

「俺の名前はハデス。死神だ。お前は______」

その言葉を聞いた時、全く聞いたことの無い言葉なのに何故か、胸を締め付けられるような痛みに襲われた。

絶望と苦しみの中、俺の17年間の人生は終わりを告げた。
だが、この少年少女には微かな希望があった…


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