雫の想像主

ポテト男爵

第1章 再誕の想像主(5)

5話 偏見

食事を終えた神達はそれぞれの場所に戻っていき、僕はアレスさんに護衛される様に自分の部屋に向かった。

「…………ふぅ」

会議で貰った資料を読み終えてため息を吐くと、アレスさんは驚いた顔をして聞いてきた。

「驚きっス、分厚い資料もう読み終えたんすか?」

「当たり前……ではないですけれど、これでも遅く読んだつもりです」

平然と言うと、アレスさんはほえ〜と感心していて、僕は資料を読んで得た真実(こたえ)を溢してしまう。

「負け戦……ですか」

「否定は出来ないっスね、実際に八方塞がりだからノエルを呼んだ訳っスから」

アレスさんは真面目な表情で答え、僕は思っている事を言う。

「……正直、逆に足手まといになると思いますが?」

僕の問いにブンブンと首を振った。

「それはないっス、オレサマ達はノエルが居る事で救われている部分もあるんスよ……それに、ノエルはオレサマ達が全力でサポートして、強くさせていくつもりっスから」

僕の言葉を否定するけど、結局僕は何も出来ず、ましてや今の力では戦力にもならない事に負い目を感じたが。

「強く、ね……」

ただ、最初の目標は決まったので、僕はそれ以上は何も言わなかった。

「着いたっスね……本当はもっと話してたかったんスけど、まあまた明日から会えるから大丈夫っスよね?」

アレスさんは名残惜しそうに言ってきて、僕はそれに頷き返した。

「そうですね、また明日、よろしくお願いします」

「言質は取ったっス!じゃあまた明日っス〜」

そう言って文字通り風の様に走って行き、僕はその後ろ姿を見送ると、ドアを開けて入った。

「お疲れ様ですノエル様。お風呂の準備は整っておりますが、いかが致しましょうか?」

頭に二つの角とスカートから爬虫類の様な尻尾を生やしたメイド服の女性が目の前に立っていた。
顔付きはとても綺麗で、どことなくクールな感じで、髪は黒いポニーテール、目は紫色をしていた。

「?……何かおかしい事を言ったでしょうか?」

「……貴女は誰ですか?」

小首を傾げた彼女は僕の言葉ではっとして姿勢を直した。

「これは失礼致しました。私の名前はヴィリネス、闇神竜の格を授かった二対神竜の一人であり、今回ノエル様の身の回りの世話をさせて頂く者です」

そう言ってお辞儀をする姿はとても清廉されていてとても美しかったが、気になることをみつけて彼女に聞く。

「龍人族?……下界にしか居ないんじゃ?」

「はい、普通ならそうなのですが、神竜の私達は許可が出れば天界にも来れるようになっているのです」

答えてくれた後、コホンと一呼吸置いて言葉を繋ぐ。

「この後はいかが致しましょうか?」

「ああ、そうだったね……じゃあお風呂に入らせてもらおうかな」

「かしこまりました。着替えなどは用意できておりますので、何かありましたらお呼び下さい」

彼女はお風呂場のドアを開け、僕が中に入ると「それでは」と言ってドアをゆっくりと締めていった。

「……すごい」

最初の感想はそれしかなかった。
大きな風呂場の中央にある像の足元には、ライオン?の様なジャグジーが六ヶ所に付いていたりして、まるで海外の高級リゾート地みたいな空間が広がっていた。

「はあ、お風呂なんて、いつ振りだろう」

服を脱ぎ、身体を洗って湯船に浸かると、持ってきてた空の小さな小瓶の蓋を開けた。

「武装解除」

その言葉と同時に、僕の左手と右足が液体の様に変化し、液体化したものは小瓶に自分で入っていった。

「……義手と義足の代わりか」

僕は無い腕や脚に目を落とし、暫く目を閉じて蹲った。

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