雫の想像主

ポテト男爵

プロローグ でっどえんど=りすたーと

僕は一人、人気の無い暗い路地裏を歩いていた。

「……」
 
ポケットからおもむろに取り出したのは、30センチくらいの不思議な形状をした漆黒のナイフで、暗い中でも自らうっすらと確かに光っている。

「これで……僕はやっとっ」

「へっ!やっとサツから逃げられっとおっ」

僕がよそ見をして歩いていると、一人の青年が横から急に飛び出して来て、僕は避けずに派手にぶつかった。

「っと……おい、テメェよそ見してんじゃねぇよっ!」

結果的に青年は逆上し、容赦無く鳩尾に拳をめり込ませ、胃の中の液を嘔吐する事になった

「ぅぐッ……ごぇ」

酸っぱい胃液が口から出てしまい、その嫌な臭いに不快を抱いた青年は、間髪入れずに僕の顔に蹴りを入れる。

「ったく汚ねぇんだよ!」

「うぐぇ……」

僕は頭を足で押さえつけられ、周りに広がる酸っぱくて鉄臭い混ざった臭いが鼻についた。

「あーまじイライラするわー、テメェの所為で尚更ムカついてんだけど……お前、意味わかるよなァッ ︎」

僕が腹を抱えて無反応だったことを、青年は無視されたと勝手に勘違いしたらしく、服の襟を掴み上げて壁に無造作に投げた。

「げふッ」

カララランッ

「お?いいもん持ってんじゃねえか!」

金属特有の音を出したのは、僕が手に持っていた特別性のナイフで、青年はそれを拾うと、僕の髪を掴んで無理矢理立たせると、ナイフの切っ先を心臓のある所に当て。

「そんじゃま、これの切れ味を試させてくれよ〜……お前の体でなァアッ ︎」

青年は思いっきり、僕の心臓を突き刺した。

「ッ」

「は、はははッ!めっちゃ切れ味いいじゃねえかよ!おらオラオラオラッ!!」

止めどなく刺された箇所から血が流れながらも、僕は悲鳴を、声を出さなかった。

「…………!……ッ!」

何も聞こえない、ただナイフを僕の体にひたすら刺しまくる衝撃が来るだけ。

「…………」

とうとう視界もボヤけて、真っ黒く世界を染め上げる。

「……」

視界は完全に黒く染まり、意識も真っ黒に塗り潰される。

「」

これが、裏切られた僕が絶望の末に望んだ、最後の結末だった。











と、最初はそう願っていた。

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