異能バトルの絶対王者が異世界落ち

チョーカー

VS四獣将軍 ヒラ

 俺の異能『物理破壊バンカーバスター』はある兵器の名前からとっている。

 地中貫通爆弾バンカーバスター

 高速落下により、地下要塞。あるいは硬度の高い建物をピンポイントで破壊するための爆弾である。
 当然ながら、その爆弾を能力名に付けているのは、俺の能力にも、その特徴があるからだ。
 そして、地下迷宮であるダンジョンに対して、もっとも効果を発揮する。
 地響き。
 そして、周辺にまで揺れが伝わり―———

 ダンジョンは崩壊した。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・


 見張りだった兵士たちは、魔族ではなく人間だ。
 支配された周辺各国から徴兵されていたのだろう。
 忠誠心は低い。拠点であるダンジョンが破壊されて、次々に投降していく。

 「これでよかったのでしょうか?」

 アスカは不安げに言った。
 確かに、ダンジョン内には魔族だけではなく人間もいただろう。
 そいつらは生き埋めだ。 罪悪感がないわけではないが、これも戦争だ。
 それに————

 「……」とナナが俺の服を引っ張る。

 「どうした?」とナナを指差す場所を見ると―———

 「地面が膨らんでいる?」

 そう認識したと同時に地面が破裂して土が空に舞い上がった。
 現れたのは獣人。人間のような四肢を持つ……モグラの獣人だった。
 獣人と言うよりも、変身ヒーローの敵で出てくるモグラの改造人間のような感じだった。

 (あぁ……そりゃいるだろうね。ダンジョンが潰された時の脱出要員)

 そんな獣人たちに救出されたケンタウロス……四獣将軍ヒラがいた。

 「よく、その巨体で地下から逃げてこれたなぁ」

 俺は、ヒラの下半身。馬の部分を指して挑発した。

 「なんてひどい事を……貴様の仕業ですね。『異能殺し』!」

 何処に隠していたのか、盾と槍。それを構え直して、駆けだした。

 「アスカ、ナナ、ライス。俺とヒラの戦いに敵を近づけるな!」
 「貴方たち、私と『異能殺し』に敵兵を近づけないように!」

 偶然、言葉が重なる。互いに1対1が望み。
 ヒラが飛び上がる。
 馬の跳躍力。俺の頭上から槍を放ってい来る。

 「ちっ……」

 回転して逃げる。
 ジャンプ攻撃してくる敵は何人かいたが……下半身が完全に馬の動きだと読み難い。
 俺の経験値にはない動きだ。

 異能『アリアドネの赤い糸』

 ヒラの動きを封じ込めようと、不可視の糸を巻き付ける。
 だが……

 「文字通り、馬力が人間とは違うな」
 「種族が違いますから……人間と比べられても困ります」

 俺の引きに合わせてヒラが跳躍。 手に伝わる力が抜けて、俺はバランスが崩れる。
 無防備な俺の額を打ち砕こうとヒラの槍が―———

 異能『赤き閃光』

 避けると同時に一瞬で距離を取る。 
 だが————

 「俺の異能についてきただと!」

 ヒラの攻撃。槍が光る。

 避けれない!?

 まともに何発か体にめり込んだ。
 思わず、片膝をつく。
 ヒラの槍は、短い槍で速い。その分、貫通力も低い。
 一撃で致命傷になりづらい。

 「命拾いしましたね」
 「何!?」
 「この部隊の将はライスという若者でしょうが、貴方は切り札みたいなもの。兵を引いてくれれば、拠点を潰された件は不問としましょう」
 「馬鹿め。俺は『異能殺し』だ。一度走り出した俺を止めるためには、俺を殺すしかない」
 「そうですか。貴方が言うなら、そうなのでしょう」
 「だが、まだ俺は負けたわけではない!」

 俺は一気に距離を取る。
 俺には攻撃的な異能を持っていない。
 ―――否。
 持っているが、封印状態だ。
 俺のカルマ値……今なら6割くらいの出力で―———使用可能なはず。


「異能バトルの絶対王者が異世界落ち」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く