天才軍師は俄か仕込の生兵法
護衛として?
重苦しい空気が流れる中、服部カオリは話出す。
「タケルも知っての通り、我々、服部一族は傭兵集団です」
「はい」とタケルは返事を返す。
「今、匿っている女性は織田家のお姫様でした」
「織田! あの織田のお姫さまだったのですか!?」
タケルは驚いて見せたが、カオリはジト目で自分の息子を見ている。
どうやら、タケルが軒下で盗み聞きをしていたのはお見通しらしい。
「彼女は織田信長公の遺言で服部一族を頼ってきたようですが……タケルも知っての通り、里の男どもは、それぞれの任務で里から離れている。織田に援護の人員を回す余裕はありません」
タケルは頷く。
服部一族は傭兵集団。
仕事の内容は、間者、斥候、護衛と様々だ。
そして暗殺。 それも国を動かす要人暗殺。
魔との戦争で服部一族は大忙しだ。
里に見かける男は隠居した老人か、ローウェンのように外部から来た人間だけだ。
「だが、魔との戦争で将軍を失い世間では大混乱。一刻も早く姫を織田の本拠地までお送りし、人々をまとめなければ混乱は続くでしょう……タケル。あなたはまだ幼い身ではありますが服部の統領。護衛の仕事を受けてくれますか?」
タケルは頷いた。
人員不足であり、織田の味方として攻勢に出れない服部。
そこで、一族統領を護衛として織田領に送ることで織田への忠誠心を示す。
母であるカオリにとっても苦渋の選択だ。
要するに息子を人質に出すのだ。
それをわからないタケルではない。
「わかりました。服部一族の統領としての初仕事、見事果たしてみせましょう」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「護衛? お前が?」
しかし、護衛される側である織田の姫様――――織田キキは不満だったようだ。
「お前、歳はいくつだ? 私よりも幼く見えるのだが」
「……11だ」
「童ではないか! それで護衛などと、服部一族は私をからかっているのか?」
「確かに11歳だが、服部の統領でもある。服部流の仕事はキッチリと果たして見せる」
俺―――服部タケルの誠意は――――「フン」と鼻で笑われた。
確かに、俺でも11歳の子供をボディガードに付けられたら相手の正気を疑う。
実際、護衛というのは建前であり、本当は政治的な理由なのだが、まだ若い姫さまには、そこまで理解していないのだろう。
「そうだ! ローウェンは? 護衛と言うならば最強の兵法者なら織田家の護衛として不足はないわ。
私の護衛と言うなら彼をつけなさい」
「……父は服部性ですが、服部の仕事はしていません」
「貴方……わかっているの?私は貴方に聞いているわけじゃないの。そうしなさいと命令しているのよ?」
「――――っ!?」と姫の言葉に感情が表に出てしまった。
「何? その顔は? 文句があるなら言ってみなさい。もしかしたら、聞き入れるかもしれないわよ?」
「い、いえ。なんでも――――」
俺がそう言いかけて謝罪しようとした時だ。
「なら実力を量ればいいだろ?」
「父上!?」
話に入ってきたのはローウェンだった。
「織田の姫さまは父親に似て気性が荒れると、この辺境まで届いています」
彼は両手に持っていた木刀を俺と姫に1本つづ、投げて寄越す。
「姫さま、鬼姫と言われるほど武勲をあげてるそうですね。だったら――――
息子の力量を量ってみれば納得するかもしれませんね」
ローウェンは、俺に姫と戦って実力を示せと言っているのだった。
「最も、病み上がりで剣筋の乱れがあるかもしれませんね。後日にし――――」
「私は構いません」と姫は兵法者の父の兵法にまんまと引っかかったみたいだ。
「あのローウェン殿に技を見ていただくのは武の誉れとなるでしょう。私から是非に……いや、できましたら技の指導などお願いできましたら……」
「いいですよ」とローウェンは飄々として返事をした。
そして、こう付け加える。
「もちろん、息子に勝ったらの話ですがね」
父の言葉に姫はギロリと擬音が聞こえてくるような視線を送ってきた。
「タケルも知っての通り、我々、服部一族は傭兵集団です」
「はい」とタケルは返事を返す。
「今、匿っている女性は織田家のお姫様でした」
「織田! あの織田のお姫さまだったのですか!?」
タケルは驚いて見せたが、カオリはジト目で自分の息子を見ている。
どうやら、タケルが軒下で盗み聞きをしていたのはお見通しらしい。
「彼女は織田信長公の遺言で服部一族を頼ってきたようですが……タケルも知っての通り、里の男どもは、それぞれの任務で里から離れている。織田に援護の人員を回す余裕はありません」
タケルは頷く。
服部一族は傭兵集団。
仕事の内容は、間者、斥候、護衛と様々だ。
そして暗殺。 それも国を動かす要人暗殺。
魔との戦争で服部一族は大忙しだ。
里に見かける男は隠居した老人か、ローウェンのように外部から来た人間だけだ。
「だが、魔との戦争で将軍を失い世間では大混乱。一刻も早く姫を織田の本拠地までお送りし、人々をまとめなければ混乱は続くでしょう……タケル。あなたはまだ幼い身ではありますが服部の統領。護衛の仕事を受けてくれますか?」
タケルは頷いた。
人員不足であり、織田の味方として攻勢に出れない服部。
そこで、一族統領を護衛として織田領に送ることで織田への忠誠心を示す。
母であるカオリにとっても苦渋の選択だ。
要するに息子を人質に出すのだ。
それをわからないタケルではない。
「わかりました。服部一族の統領としての初仕事、見事果たしてみせましょう」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「護衛? お前が?」
しかし、護衛される側である織田の姫様――――織田キキは不満だったようだ。
「お前、歳はいくつだ? 私よりも幼く見えるのだが」
「……11だ」
「童ではないか! それで護衛などと、服部一族は私をからかっているのか?」
「確かに11歳だが、服部の統領でもある。服部流の仕事はキッチリと果たして見せる」
俺―――服部タケルの誠意は――――「フン」と鼻で笑われた。
確かに、俺でも11歳の子供をボディガードに付けられたら相手の正気を疑う。
実際、護衛というのは建前であり、本当は政治的な理由なのだが、まだ若い姫さまには、そこまで理解していないのだろう。
「そうだ! ローウェンは? 護衛と言うならば最強の兵法者なら織田家の護衛として不足はないわ。
私の護衛と言うなら彼をつけなさい」
「……父は服部性ですが、服部の仕事はしていません」
「貴方……わかっているの?私は貴方に聞いているわけじゃないの。そうしなさいと命令しているのよ?」
「――――っ!?」と姫の言葉に感情が表に出てしまった。
「何? その顔は? 文句があるなら言ってみなさい。もしかしたら、聞き入れるかもしれないわよ?」
「い、いえ。なんでも――――」
俺がそう言いかけて謝罪しようとした時だ。
「なら実力を量ればいいだろ?」
「父上!?」
話に入ってきたのはローウェンだった。
「織田の姫さまは父親に似て気性が荒れると、この辺境まで届いています」
彼は両手に持っていた木刀を俺と姫に1本つづ、投げて寄越す。
「姫さま、鬼姫と言われるほど武勲をあげてるそうですね。だったら――――
息子の力量を量ってみれば納得するかもしれませんね」
ローウェンは、俺に姫と戦って実力を示せと言っているのだった。
「最も、病み上がりで剣筋の乱れがあるかもしれませんね。後日にし――――」
「私は構いません」と姫は兵法者の父の兵法にまんまと引っかかったみたいだ。
「あのローウェン殿に技を見ていただくのは武の誉れとなるでしょう。私から是非に……いや、できましたら技の指導などお願いできましたら……」
「いいですよ」とローウェンは飄々として返事をした。
そして、こう付け加える。
「もちろん、息子に勝ったらの話ですがね」
父の言葉に姫はギロリと擬音が聞こえてくるような視線を送ってきた。
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