Re:Яe:お兄ちゃんは世界を敵にまわします。

揚げせんべい

序章: 4 思い出の絵本


俺たちは地下倉庫で書庫には置いていない本を読みに来ていたある日のこと。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!これ、読んで!」

「。。。。。」

ルミナは笑顔で俺が見たこともない一冊の絵本を手に俺の元にやって来た。その傍にはメリアが気だるそうについている。
この時の俺は7歳でルミナとメリアは6歳だった。

「ははっ、いいよ。ルミナ」

ルミナの顔はより一層笑顔になり、俺に絵本を手渡してから俺の右に、メリアは俺の左に座る。

当時の俺は書庫にある本、魔法学・文学・語学・数学・歴史・地理・論理学・哲学と言った難しい本ではなく、小説という空想モノが俺の心を動かした。しかし、空想モノの小説、絵本も思想を毒すると言う概念で読むことは法で禁止されている。だが貴族の中にはその禁止された空想モノを好む者が一部おり、当然その中に俺の父がいた。人を招くことも多々あったため書庫に禁止されているものを置くことはできずに地下倉庫へと置かれているのだ。

「お兄ちゃん!早く」

目をキラキラ輝かせているかの如く楽しみで仕方ないといったルミナが急かしてくる。

「…お嬢様、本は、逃げない」

メリアがルミナに、お前は少し落ち着けとでも言いたいかのような面倒くさそうな口調で言う。

「むぅ…だってここに居られるのあと2時間しかないもん」

「2時間もある」

「メリアのいじわる」

何とも微笑ましい会話だ。

「はいはい、じゃぁ読むよ?」

「うん!」

「…ん」

◇◆◇◆◇◆


むかーし昔、ヒューマンが治めるキュラソラース王国というそれは大変栄えたとても大きな王国がありました。
そしてそのキュラソラース王国には英雄と呼ばれし一人のヒューマンがおりました。
そのヒューマンの名は、グラード・バルスト。
グラード・バルストはそれは強い武人家であり、とても強力な魔法使いなのです。グラードが剣を一度振るえば全てを真っ二つに斬り、魔法を使えば周りのものを跡形も無く消し去るのです。


◇◆◇◆◇◆

「すっごいね!ねぇねぇお兄ちゃん!グラードって人、剣を振っただけで全部真っ二つだって!お兄ちゃんも出来るの!?」

俺は3歳の頃から剣を教わっている。そして俺が6歳の時にはメリアと一緒にやっているのだが、ルミナは何故か別の剣の教師から教わっている。

「あはは…ルミナ。さすがにお兄ちゃんそれは無理かな」

「でもお父さんとせんせーはお兄ちゃんは天才だ。すごいぞ。って言ってたよ?」

限度というものがあろうに…しかしルミナ、声のみならず顔まで父様とファイエラさんの真似しますか。似てなかったけど可愛かったから良し!!ファイエラさんとはルミナに剣を教えてる女剣士だ。すごく強い。

「お嬢様、ノール様は、まだそこまで強くない」

メリアはごもっともなご意見で…でも、まだそこまで強くない。ということは一応俺はメリアに評価されているってことでいいのだろうか?

「そうなの?お兄ちゃん強くないの?」

はう!?ルミナ…そんな…困った顔をしながら上目遣いで見るのは卑怯だぞ!くうぅぅぅう!!ご馳走様です…。

「お嬢様、ノール様は弱くもなければ、まだ強くもないです」

メリア様…辛辣。

「じゃぁ…お兄ちゃんはこれからってことだね!」

ニカッと笑顔で言うルミナ。はぁ…可愛い。

「そうだね。お兄ちゃん強くなるために頑張るよ」

ルミナの頭を優しく撫でながら言い、同時にそう心に誓う。ルミナのために強くなると。

「うん!」

あぁ、ダメだ。お兄ちゃん耐えられないよ。頑張る前にこれじゃ死んじゃうよルミナ。

「ねぇねぇ、グラードのあと、かた?もなくけしさる?魔法ってどんな魔法かな!」

…疑問形になる時に首を傾げる仕草そして最後にこの教えてと懇願する煌めく瞳…やめて、、、お兄ちゃんは限界だよ。落ち着けノール…我慢だ!ノール!

「んー?どんな魔法なんだろね」

「…ヒューマン、なのだから特殊魔法、なのでは?」

「そうだね。しかしメリア、特異型か特異系統魔法。という線もあるぞ」

「…ん、別名、特化型と呼ばれる特異は失念してました」

「まぁ少なくともヒューマンなのだから他種族の様に強力な魔法を行使できない。だから他種族と同等の特異型か、それともメリアの言った特殊系統か、特異系統の魔法ということなるね」

「。。。。」

メリアは無言のままコクリと頷いた。
メリアはいつも気だるそうにしていて勘違いされてしまうこともあるが、実は人見知りでいて、物事には一生懸命に取り組む努力家なのだ。俺はメリアの頭をポンポンと優しく撫でた。

「?????」

ルミナは俺とメリアが話してる間ずっと頭の上に疑問符を浮かべるかのように目をパチクリさせたり、キョトンとしたり…愛らしくそして何より、可愛い!!可愛いよ!!!!あーお兄ちゃん、もう、無、り・・・。

「…続き」

メリアに横腹をつんつんとつつかれて続きを促される。このおかげで俺は自分の世界から現実へと引き戻される。ありがとうメリア。君がいなければ死んでいた。

◇◆◇◆◇◆


グラードはその力で数々の強大な魔物と戦いました。ドラゴンや大鳳、巨大海洋生物、時には何百という魔物の群れを1人で戦い、そしてこれらを全て勝利で収め、種族は関係なく多くの人々を救い、助けるのでした。

しかしそんなある日、グラードの力をよく思わない者やその力を自分のものにしようとする者達が現れたのです。各国はグラードを殺すために、あるいは、自国に取り込むために躍起になりました。

いつしかそれは、キュラソラース王国をも巻き込み各国が争いを仕掛け始めたのです。そして、グラードは王国を守るため、人々を守るため、その手に剣を取りその力で各国の軍勢から王国と人々を守り続けました。しかし、各国の軍勢の中にはグラードに劣るも、強力な魔力と魔法を有した者がおりグラードはその数に押され戦況が厳しくなるばかり。その争いが3年続き、長い戦いに疲労したグラードや各国の兵たちはいつしか何の為に戦っているのかわからなくなってしまっていたのでした。

各国は長い争いで減ってしまった食料や資源を補うため他の国に要請を出します。しかしその時ほとんどの国が争いに参加していたため、その要請は難しいものとなり、食料や資源を補うため他国を攻めて奪う。新たに略奪戦争が始まったのです。そこから戦争に勝つため強力な力を自分たちのものにするため、自国が、我が種族が全てを手にするため、戦力の奪い合いに発展し、より一層争いは激化したのでした。

人々はそれを''覇権戦争''と呼び、これにより今まで以上に戦争を、欲望を、より大きく激しくする狼煙が上がってしまったのでした。


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