Re:Яe:お兄ちゃんは世界を敵にまわします。

揚げせんべい

序章:2 ルミナ・トルート・ドゥランティア

はて、何やら寒気がしたような…。


これは、ノールが帰ってきそうな予感がする。間違いない。
まだ私の仕事が終わってないのに、勘弁して欲しい。うるさいから、本当に。

黙ってればかっこいいんだけどなぁ…はぁ。








はっ…!私はいったい何を考えているの!集中よ集中。

執務室の中は静かで墨に濡れた筆の毛先が紙の上を走る音と、印鑑を押すと鳴るカツンと言う音。この2つの音だけしか聞こえない。この2つの音は心地いいから好きだ。
静かで書類作業が捗る捗る。





なんだろ…屋敷の中が騒がしい。いや、なんだろじゃないね。あれだね。いつものだね?
来ちゃったかぁ。

《お兄ちゃんが帰ったぞぉう!》

うん。帰ってください。

誰かが勢いよくこの執務室へと廊下を走ってくる。この気配は従者の一人のメリアだろう。
メリアは同い年の子で私たちが5歳の時に出逢った。あの時のメリアの目は恨みや怒りで満ち満ちていたなぁ。今思えば懐かしい。と言ってもそこらの人なんてだいたいこんな感じだから特に変ってるとかでもない。逆に私の屋敷で働いてるみんなが変わっている。でもそんなみんなが好きなのだけど。
おっと、どうやらメリアがこの部屋の前に着いて扉を開けよう…と?

バアァァン!!!!

う、うん。びっくりした…普通に扉の前で一旦止まって呼吸整えていたよね?そこから勢いよく扉を開ける意味ある?

「る、ルミナ様!すいません!やっぱり無理です!あのバカをどうにかしてください!!」

「あぁ…えっと、大丈夫。気にしないで?アレは私にしか無理だと思うから。そんなことより従者として、他の仕事に掛かりなさい」

「はっ!ルミナ様の仰せのままに…」

さっきまですごい形相だったのに、よくまぁすぐにとても美しく流れるような礼へと行動を移せる。行動と顔は関係ないか。その前に明らかに表情作ったでしょ?メリアの綺麗な顔が毎回アレが来るとだいたい…いや、必ず形相が……まぁ、それはさておき。

「メリア?いつもアレが来る度に相手にしなくていいのよ?」

「なっ!?ルミナ様!あのバカはいつもいつもルミナ様のお仕事を邪魔し、尚且つルミナ様ご自身が沈める始末…くっ、不甲斐ない。私!いや私たちルミナ様に従える者として貴女様の手を煩わせてどうするのです!!あのバカを止めること!!これは私たちに与えられた…そう!試練なのですよルミナ様!」

おぉ…凄い表情がコロコロ変わるなぁ。
違う違う…凄い力説だった。
言いたいことは分かるよメリア。でもね、違うの。貴女が毎回勢いよく、しかもパターンを変えて扉を開けるせいで扉が持たないの。けどこの執務室の扉の耐久性高過ぎないかしら?もう壊れてもいいころなのだけど?

「ル〜ミ〜ナ〜!!」

あっノールだ。

「ちぃ!もう突破したのかこのバカ…」

メリアが臨戦態勢に入ろうとする…。

「お兄ちゃんが今参じょ…っう」

ノールが突然、執務室前の廊下に吹っ飛ばされ廊下の壁にぶつかる。しかし躊躇なく私に抱きつこうとしてきたな。

「さすがです。ルミナ様!」

全然嬉しくない。
はぁ…まだ今日の書類残ってるのに、毎度毎度本当に勘弁して欲しい。
ちなみに、ノールを吹っ飛ばしたのは私。何をしたかったって?
まぁ、傍目から見たらただノールが勝手に自身の後ろに吹っ飛んだ風に見えるだろう。では何故私がやったと言えるのか。
それは私が《特殊系統魔法:方向転換(ダリアリヒトン)》と言う魔法を持って生まれたから。
《特殊系統魔法:方向転換》と言うのは、物質に限らず進行方向があるモノ全てにその方向を変えることが出来る特殊魔法。
欠点は2つ。
1.動かないモノには作用しない事。
2.作用するモノのベクトルに対し向きしか変更できない事。

正直あまり強くない魔法なのだけど…ノールはそれだけの勢いで私に抱きつこうと来たわけだ。そろそろ引くよ?

そういえば自己紹介がまだでしたね。
私の名前はルミナ・トルート・ドゥランティアと言います。現在15歳でトルート・ドゥランティア家の現当主です。
ちなみに、ノール・ドゥランティアは兄なのですが、ノールは落ちこぼれで勘当され今はこのトルート・ドゥランティア家の自称従者(仮)です。あとシスコンの変態野郎です。

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