Re:Яe:お兄ちゃんは世界を敵にまわします。

揚げせんべい

序章:1 ノール・ドゥランティア

真っ青な澄んだ空。雲一つない清々しい空。
太陽が眩しい。

うん、太陽が最高に鬱陶しい日だ。光を出すのはいいが、熱まで出すな!太陽め…。

今、俺ノール・ドゥランティア16歳は新しく城を建設するための作業員として働いている。
そして、現在城の中庭と城周りの路盤に敷く砂利と砕石を運んでいる真っ最中だ。
けど、重い…ただひたすら重いとしか言いようがない。荷車を貸して頂ければ、ここまで苦労せずに建設中の城まで運べるだろうに…だが俺は、俺たちはそんな身分ではない。最下層の貧民だ。貧民には荷車ひとつであろうと決してそんなもの貸し与えられることは無い。だから、目測だが縦約60cmくらいの横幅35cmであろう麻袋に砕石を目一杯入れた袋を3袋、肩に担いで運んでいる。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

この荒い息は俺のでは無い。俺と同じ貧民階級にいる人のものだ。40代くらいのヒューマンだ。俺と同族だ。おじさんには堪えるだろうな、この作業。
だが、疲労で呼吸が乱れるのは当然のことだと思う。そんな俺も疲労で呼吸が乱れて苦しいのと同時に膝が笑いかけてるのを我慢して運搬していると言う状況だ。俺と同じ…いや、この砂利と砕石を運ぶ作業は150人くらいいたのだが、新しく建設中の城の敷地はとんでもなく広い。貴族共の話によると敷地面積は約1,797,000㎡?1,797k㎡?らしい。生憎100の桁までしか分からんので、俺にはその数字と単位の意味がよく分からない。とりあえず100の桁以上なんだろ?もう広い。ただそれだけでいいと思う。だって広いんだもん。
砂利と砕石の運搬作業を始めて2ヶ月くらい経つのにまっだまだ終わらない。敷地を真っ平らにしたいとのことで、その高低差を埋める如くひたすら砂利と砕石の運搬地獄だ。そして何より建設中の城と採石場までの距離。これも聞けば約5km、普通に歩いて約1時間の距離。その距離を1袋ヒューマンの5歳か6歳くらいの重さの物を無理やり持たされるだけ持たされ強制的に運搬しているんだ。1日最低でも10回運ばなければならない。ノルマが達成できない限り帰れない。城(建設地)から採石場に行く際は、運が良ければ平民階級の人の馬車の荷台に乗せてもらい行けるが、その逆の採石場から建設地まで俺たち貧民は徒歩だ。
しかし、こんな作業していていつも思うことがある。《ビースト》と言う種族が羨ましい。
ヒューマンと比較すると身体能力が俄然高く膂力はヒューマンの約3倍らしい。個体差にもよるらしいが…。


ドサッ!

どうやら1人倒れたらしい。
なんでわかるのか、と聞かれたらこれが日常だから。

「さっさと起きろぉ!!ゴミがぁ!!」

あの声は作業監督の手下…いわゆる監視役の1人だな。作業員の俺たちに監視役が10人ついている。

「早く起きろといっているんだよ!!役に立たない貧民風情に…ゴミ同然の貴様らに!仕事を与えて下さったあの御方への敬意と感謝を込めてさっさと働け!…早く立てといっているんだ!!」

強制労働を強いているのに敬意と感謝っていわれてもなぁ。

「すいません。い、今、立ちますから…」
 
しかし、立ち上がるのに時間がかかってるな…

「…全く持って使えない。もう役に立てないなら処分で良いな」


「ま…待ってください!た、立てますから…」

でも、イライラするな…

「ゴミが何私に気安く声をかけているんだ?待て?立てるぅ?この私が立てと言った時に立てないなら…いらないんだよ!!」

作業監督がそう言い放った瞬間熱風が来た。
どうやら炎系統の魔法を使ったみたいだが、正直こちとら作業して暑いと汗を流してるというのに…迷惑、この一言に限る。
ちなみに誰かが死ぬなんてのも日常だ。いや、殺される、が適切か。誰かが誰かに殺されるのなんて日常なのだ。この2ヶ月で150くらいいた人数はだいたい80から90くらい。あとどれだけ減るのか…胸糞悪い。

俺はこの世界が嫌いだ。
どこのどいつが作ったかも知らない常識が嫌いだ。誰かが傷つけられても死んでも何とも思わないお前らが大っ嫌いだ。
当たり前を当たり前と決めつけ、諦めてる自分が心底嫌いだ。


あーダメだ。



あぁ、妹に…ルミナに会いたい。…ルミナの顔を、あの可愛い可愛い妹の顔を思い出すだけでこの辛い作業もこの気持ちも乗り越えられる。…会いたい。もう出来ればすぐに!今!そう今なんだよ!そうとなったらすぐ行動だ!!妹の為ならば疲れなんて知らんわ!
愛しの我がルミナよ!!待っててくれ!

「お兄ちゃんが今行くぞー!!!!」


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