叶えば所詮、夢物語

4.1 1.2 4.2

自信

 
「マスターー!!  緊急事態です!!  」
「どうした、そんなに慌てて」

「実は、今ギルド登録に来た5人組がーー」


「なるほどね………1ヶ月前に使徒になったばかりでゴブリンを合計124体……それに加えメンバーそれぞれの三要素が平均よりかなりたかい。ゴブリンの数といい、偶然にしては出来すぎてる。これは色々な意味で緊急事態だ。取り敢えず、彼らを応接室に案内してもらえるかな?」
「わかりました」

 
 
 

「わざわざご足労ありがとうございます。私はノルデン支部ギルドマスター、ロゼフと申します。よろしくお願いします、真紅様、瑠璃様、翡翠様、若紫様、蜜柑様」
「はい、こちらこそ」

 そう親切に対応してくれたのはロゼフと名乗る少し年老いた男性だ。しかしその見た目は年の割に腰が曲がっておらず、若くすら感じる。

 そんなギルドマスターは僕たちはなんの用だろう。ギルドに登録しに来ただけなのに、なぜ応接室に呼ばれてるのだろう。悪い事をした覚えはないのだが…………

「僕たちに何か用ですか?」
「用と言うか、君達に聞きたい事があってね。それは、ある地主に依頼された使徒5人パーティーがゴブリンを討伐しに、ノルデンを真っ直ぐ行った場所にある雑木林に向かったそうだ。しかしそこで見たのは既に討伐されたゴブリンの死体の山だった。その数、合計124体。この事が起きたのが暦6ー12。それで君たちのカードの履歴に残っている、ゴブリン大量討伐の暦は6ー11。私は色々と辻褄が合いすぎていると思っている。私はこれらのことから君達がこの数のゴブリンを討伐したと考えてるけど、どうかな?」

 ………要するに僕たちがゴブリンを討伐したかどうか聞いているのだろう。

「恐らく僕たちです。少し前までその雑木林で野宿していました。そんな時、ゴブリン達に襲われたので、討伐しました」
「そうか、じゃあ今日から君達5人はBランク討伐者だ!」

 このいきなりのBランク発言に僕たち5人の頭は完全に停止した。

「…………おーい……………おーい」
「………!!  すみません、つい取り乱してしまって。ところでなんでいきなりBランクなんですか?普通はEかDなんじゃないんですか?」

「理由としは3つ。1つ、5人とも 筋力、俊敏、氣力申し分ない事。2つ、死亡者を出さず124体のゴブリンの群れを討伐した事。3つ、124体のゴブリンを討伐したと言う事は、メンバーとの連携が素晴らしく取れていると言う事も裏付けている。ゴブリン数体では恐るるに足らない存在だが、124体の大軍になると魔物ランクはEからAに跳ね上がる。私としては君たちはSランクでも申し分ないと思ってる。しかし、周りの討伐者からの非難の目を考えた上、Bランクが妥当だと考える」
「そう言う事ですか」

 よくわからないが、僕たちはすごい事をしてしまったらしい。これで晴れて僕たちは、いきなりBランク討伐者となった訳だが、このBランク認定に疑念を持つ者が1人、常に冷静沈着な瑠璃である。

「1ついいですか?  ロゼフさんは言いました。君たちはBランクだと。しかし俺たちはまだ、ギルド登録を終えていません。それに加え、Sランクでも申し分無いが、周りの目を考えるとBランクが妥当だと言う発言もしています。この発言はどういう意味ですか?」
「君は瑠璃くんだったかな、そこまで言われてしまっては逃れる事は出来そうにないね。事実を話すと、ギルドマスターにはランクを決める権利がある。それはステータスだけでは、分からない事があるからだ。あの石板にかざした時、確認されるのはステータスの数値だけ。だからステータスが高ければランクが上がる。

 しかし例外もある。それはステータスが低くてもチームプレイを活かし強敵に立ち向かい討伐すること。だからギルド登録する時、履歴を確認しランクの高い魔物を討伐していたりすると、君たちのように応接室に来てもらうようにしているんだよ。しかしここ数年、ギルド登録する時、チームを組んでから登録する人が減ってきてね。それにより、しっかりとした連携が取れていれば倒せる魔物でも倒せず、履歴にも残らない。それ故、この履歴確認作業を廃止する流れが出来ている。私はそれに反対なんだが……そんな時現れのは君たちだ。これでギルド協会も考え方を改めるだろ。だから君たちには期待している。頑張りたまえ」

 大人の事情と言うやつだろう。どの組織にも裏事情と言うものがあり大変そうだ。

 このロゼフさんからの返答に瑠璃も納得しているようで、僕たち自身もこのランクが与えられた理由が分かり、自分自信の心に『自信』と言う文字が刻まれるのだった。

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