叶えば所詮、夢物語

4.1 1.2 4.2

ギルド登録

 
 翌日

 昨日の宣言通りギルドに登録した後魔物討伐にも行くために、宿での朝食を済ませたのち防具や武器を装備しギルドへと向かった

 ギルドに着くとそこには沢山の人で溢れ返っていた

 しかし、このほとんどの人がギルドに登録しに来たのではなく討伐依頼を受けに来たようである。その証拠にギルド登録窓口には人が並んでおらず、受付のお姉さんも欠伸をし退屈そうにしている。

 僕たちはそんなお姉さんの所へ行くと、僕たちに気づいたお姉さんが瞬時に仕事モード切り替え「ギルド  ノルデン支部へようこそ。お客様はギルドへの登録でよろしいですか?」と聞いてくる。僕たちとしては欠伸をしている姿を見たため態度の急変に戸惑いを隠せない状態である。

 僕たちは戸惑いながらも「はい、そうです」と答える。するとお姉さんにギルドについての概要を説明してくれた。

 ●
 ●


 ギルドは大体の街にあり、どの支部で登録しても全てのギルド共通で魔物討伐の依頼を受ける事が出来るようだ。

 魔物討伐についてはその受ける人のギルドランクによって受けれる依頼が変わる。ギルドランクとはEが1番ランクが低く、そこからD、C、B、A、Sと上がる。過去、SSランクが存在していたそうだが、その存在は定かではない。

 ランクが上がるメリットとして、周囲からの対応が明らかに変わる事。ランクがその人の強さを表してる為、ちょとした揉め事なら少しカードをチラつかせるだけで、相手が引き下がっていく。そして、これはあくまでおまけ程度だが、Bランク以上になるとギルド運営の施設が安く利用できるのだ。これはそのランクに似合った仕事をしているためギルドからのささやかなサービスである。

 そして最初のギルド登録の際、ランク付けも同時にされるのだが、最初のランクは人それぞれ違う。Eから始まる人もいればDから始まる人もいる。このランク付けの基準として、筋力、俊敏、氣力  及び討伐した魔物の数  及び魔物ランクによってランク付けされるシステムになっている。故に最初のランクはEかDがほとんどだと聞く

 ギルドに登録する利点として、依頼達成料をもらえる事が大きい。実際ギルドに登録せずとも、魔物を討伐し生計を立てている人もいる。しかし魔物を倒した時に自動的に加算されるptに加え、依頼達成料を貰った方がptが多く貰えるため特である。それ故に最初にギルドに登録する人が多いのだ。

 ●
 ●

 まぁ、こんな感じで説明は終わり、いよいよギルド登録の手続きが始まる。とは言ったも、ただカードを石板にかざし、受付嬢が討伐履歴を確認するという、数秒で終わる簡単なことである。

 討伐履歴を確認する目的は、履歴を確認ことによって筋力、俊敏、氣力以外の実力も測る事で出来るためである。

 しかしこの作業、ギルド協会では討伐履歴の確認は意味が無いのではと議論されている。その理由は単純で、ギルド登録に来るような初心者討伐者の履歴を確認したところで、ゴブリン数体でランクは精々EかD。それなら確認しなくてもランクは変わらないし、確認しなくてもいいんじゃないか、と言う訳である

 実際ギルド協会の言う通りで、各支部の登録窓口で、討伐履歴を確認して履歴が白紙なんてザラである。

 故に今回も、なにも討伐してないだろうと思いつつも、マニュアルにも書いてあるので一応・・履歴を確認する受付嬢である。

 そんな受付嬢が確認すると、思ったよりは履歴としては残っており、内心びっくりしている。だが、こよみ511  ゴブリン 1体。それ以降は、小型動物でうめつくされてる。

 結局、魔物はゴブリン1体だけで他は小動物ばかり……見掛け倒しか。そんな事を思いつつも、受付嬢は念のため最後まで確認する。

 すると、暦6ー11にゴブリンと記入されている。『なんだ、またゴブリンか』と思い、スルーしようとした時、受付嬢は目が点になり2度見する。ゴブリン討伐数が23体と記入してあったからだ。

 これは何事だ。まっ、まさか………

「申し訳ありません、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「あっ、はい。真紅です」

 やはり、使徒様だったか。しかし、不思議だ。使徒様に選ばれたら、最初にギルドに登録しに来ると思うのだが………

「使徒様に選ばれたのはいつ頃ですか?」
「1ヶ月ほど前です」

 それじゃあ、この討伐した小型動物が履歴に残ってる理由がわかった。恐らく野宿でもしていたのだろう。それじゃあこのゴブリン23体と言う数はなんだ。使徒様に選ばれて1ヶ月足らずで群れると厄介なゴブリンを討伐できるものか?  

 いや、後ろに並んでるメンバーの履歴を確認してからでも遅く無い。もしかすると、この5人で23体のゴブリンを討伐したのかもしれない。おそらく、真紅様の討伐履歴23体は、ほかのメンバーがゴブリン達に深傷を負わせ、トドメを真紅様が刺したから。これならこの数にも納得する。

「申し訳ございません。ギルド登録にあたり皆様のカードも拝見してもよろしいですか?」
「ええ、良いですよ」

 これで真実が…………!?

 私は目を疑った。このメンバーすべてが、使徒様であったということもあるが、それ以上に討伐履歴が恐ろしいことになっていた。

 メンバーそれぞれがゴブリン20体以上討伐していおり、若紫と名の使徒様に至っては38体と表示させられていた。

 これは、ギルド始まって以来の出来事だ。このことはノルデン支部のギルドマスターに報告しなければ

「すみません、少々お待ち下さい」
「はい………」

 私は急いでこのことを伝えるべく、ギルドマスターの元へ向かった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品