叶えば所詮、夢物語

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 紫紺たちは地主を馬車に残し、草原へと降り立ち目的の雑木林まで歩く。

 歩くこと数分。

 重い装備をしているため、無駄に疲れる。ここは雑魚に持ってもらうか

「いや〜、それにしても装備重いなぁ。これじゃあなにかあった時疲れて戦えないなぁ〜  誰か持ってくれないかなぁ」

 こんな感じの事を言っておけば誰かかしら持ってくれるだろ

「ぼ、僕が持つよ」
そらくんがもってくれるの?  ごめんねありがとう。ついでに黄赤と紅緋の荷物も、持ってあげて」

「う、うん、わかった」

 いや〜  楽だ 楽だ。こんなに楽 出来るなら、この世界も悪くないな。ヤバくなったらこいつら置いて逃げればいいし。このパーティーには回復役の黄赤きあかがいれば十分だ。まぁ、荷物持ちとしては雑魚も必要だけど。

 紫紺と黄赤、紅緋は荷物を持ってない分、足取りが軽くサクサク進んでいく。そんな3人とは対照的に薄色系の2人は自分の装備プラス3人の装備を持っているので、3人のペースについて行くのに精一杯だ。

 そんな速いペースで進んだため、降りた場所から15分程で目的の雑木林の100メートル手前についた。そこで持せていた装備を受け取り、体に身につける。

 雑木林に近づくほど、なにが起こるかわかない。メンバーは慎重に歩いてく。

 地主の話しによると、この雑木林は横幅10キロ、縦幅5キロの長方形のような形をしている。

 雑木林に着くとより神経を集中させ、辺りを警戒する。

 しかし30分経っても、1時間たっても、一向にゴブリンが現れず、ここに住む小動物しか見つからない

 紫紺たちは地主にこの事態を聞くため、取り敢えず雑木林を出る事にした。実のところ、紫紺たちは自身が雑木林のどこにいるかわかっていない。

 しかし事前の打ち合わせで、討伐が終了した時合図として火を焚いた時に出る煙で、討伐終了と現在の位置を知らせ、地主に迎えに来てもらう手はずになっている。

 紫紺は火を焚く場所を確保するため、この雑木林を一旦出る事にし、取り敢えずまっすぐ歩く事にした。歩いていればどっかかしかに着くと思ったからだ。

 そんな歩いてる最中、紫紺たちはある異変に気がつく。

 前に進むたび、なにか腐ったような臭いが強くなっていくのだ。そして、その臭いが強くなるたびメンバーの顔が険しくなっていき、武器を握る手も強くなっていく

 皆の心の中に不審感が消えぬまま、太陽の光が強くなり雑木林を抜けた時、目の前の光景にメンバー全員納得した。

 ゴブリンが全くいない理由も、この臭いの原因も





 紫紺たちは雑木林を出て、少し離れた場所に煙をあげる。少しすると、地主が終焉の狼煙を発見し、予定通り馬車で迎えに来てくれた。

「いやいや、流石が神の使徒様、仕事が早いですね。それで、ゴブリンの死体は?」
「こっちです」

 紫紺は地主を死体の山があるところへ連れて行く。すると、最初は能天気だった地主は死体の方へ向かうにつれ、鴉のような鳴き声、異臭と芝の色の変化に気づき、表情が険しくなる。

「あそこです」

 地主もそれなりに覚悟していたのだろう。しかし地主の想像をはるかに超える光景が広がっていた。

 青々とした芝を真っ赤に染め上げるほどの血の量。所々に落ちている、ゴブリンの臓物や体の一部。それは、覚悟していた地主ですら目を背けたくなる状態だった。そんな光景に地主も嘔吐している

「オ''エ''ェェェエ…………ハァーハァ……まさか使徒様たちが?」
「いえ、紫紺たちが来た時にはこんな感じでした」

 地主はそれを聞くとどこか安堵していた。

「すみません。使徒様たちが弱いと言ってるわけではありません。しかし、この量相手にDランクでは厳しいものといえます。ゴブリン2〜3体であればEランクから倒せる相手ですがこの量だと……B以上のランクでなければ倒す事は厳しいです。奴らは連携が取るため厄介ですから。しかしご無事でよかった。この量相手だと死人が出ていたかもしれません」

「そうですか……確かにこの量だと俺自身  危険だったかもしれません。しかし、一体誰がこんな事を」
「確かし、高ランカーなら島の中心部の山岳部ではなく、都市部の奥にある神獣の森・・・・に行くはずです………まぁ、いくら考えても仕方ありません。取り敢えず今日は帰りギルドに依頼達成申請してきましょう」

「そうですね。すみません、なにもしてないのに給料泥棒みたいな真似して」
「そんな事はありません、こういう時もありますよ」

 紫紺は建前ではあんな事言ったが、タダで金がもらえるならと内心喜んでいた。

 ゴブリン達の死体は後日、業者に依頼して排除してもうらしい。それにBランクで腕の立つパーティーを同行させると言ってた。この雑木林の全てのゴブリンが駆除できたとは限らないのだ。

 紫紺は、シコリを残しながらもこの雑木林を後にし、ノルデンへと馬車に乗り引き返すのであったあった。

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