A.way

羽衣石みつき

プロローグ

脂でギトギトになった長い剣が、歪んだ形をした怪物の身体を切り刻むたび、俺の考えは確信に近づいていった。

 ああ、そうか。これは結局、ただのゲームなのだと。

 俺はまたしても返り血を浴びながら、汚れた怪物の体から剣を引き抜く。

 鈍い音がした。

 気持ちが悪い。
 もうそろそろ、街に戻りたかった。
 でも、帰る場所など俺にはない。
 ヒールだ。俺は結局、悪役なのだ。

 ただひたすら、現実逃避のために剣を振るう。

「もう、いいだろ……」

 ようやく日が暮れ始め、ここら草原一体も暗くなってくる。


 風が吹いた。


 そして、俺は思い出したのである。


 ゲームオーバー、そして、新たなゲームが始まってしまった、あの夜のことを。

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