私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

私の世界



遂に完結です!!

翔子と広樹の2人の物語を
最後までどうかお付き合いください!!







私の過去の因縁にケリがついてしばらくして
とある人物と待ち合わせしていた。
「おまたせ〜」
「やぁ来たね」
とマグカップをあげながら挨拶する国木田。
今回待ち合わせをしていたのは国木田である。
「それで今日はどんなご用件で?」
「いや、最近慌てていたからさ言えてなかったんだよ。
ーー助けてくれてありがとうね」
「別にいいって……僕は僕に出来る事をやっただけ
なんだからさ」
「でも本当に貴方のお陰で私は助かったんだよ。
貴方が私について来なければ私は正直どこまで
自分の過去に向き合えたかわからないんだ」
そうだ。
くじけそうな時も国木田は私を助けてくれた。
自分に一切メリットは無いのが分かっているのに
手を差し伸べてくれた。
「まぁ向き合えたし、いいんじゃないの?」
「だから改めてお礼を言っているんじゃん〜
本当にありがとうね」
「……やめてくれ。君に素直に礼を言われると
身体中に悪寒が走る」
……中々辛辣な言葉だ。
「というか三浦にトドメを突きつけたのって貴方?」
「……なんのことやら?」
と国木田は言葉を濁すものの多分彼以外あり得ない。
私が三浦に最後の仕上げをしようと思っていたが
既に三浦亜紀は逮捕されており、一緒に父親も
捕まっていた。
私は広樹の看病につきっきりだったからあの状況で
動けたのは彼しかいない。
「まぁそれならいいけどというか貴方更に
小林と佐藤も助けたでしょ?」
「……チッ、バレたか」
「しかも貴方私がリンチさせようとした全員を
助けたでしょ?」
「君が脅す前に脅しそうな人間に全員に当たって
樋口さんに何もしない、そして黒幕の情報を提供で
助けてあげることにした。
一応写真では殴られた様に偽装したけど」
「全く……貴方のフットワークの軽さは以上だよ。
まさか私の行動を全て先読みしていたなんて」
私も中々情報戦や裏方を得意としているが
国木田もかなり得意としているだろう。
「そりゃ今回は君が恨んでいそうな人間……
要するにクラスメイト達を見張っていればいいし
ーーまぁ三浦亜紀は怪しかったから声をかけなかった」
「まさか貴方、犯人分かっていたんじゃないの?」
この男なら分かっていた可能性がある。
「まぁ確証は無かったけどさ。なんとなくで」
「はぁ……貴方って一体」
「それを君だけには言われたくない」
「あと、ごめんね」
「ん? 君何かしたの?」
「貴方に睡眠薬飲ませたからさ……貴方を守るためとは
言えども私を信じてくれた同期にあんな事をして……」
「別にいいって……だってそれは君が僕の事を思って
した行動なんだろ? なら僕はそれを責めることは
出来ないよ」
「国木田……」
全く、私の同期はどこまでお人好しなのだろうか?
普通、睡眠薬飲まされたら縁切るぞ?
だけど彼はそれをしなかった。
流石部内一のお人好しだ。
「そりゃ七海があんなに好きになる訳だ」
「ん?何かいった?」
「いや何でもないよ〜。
あっ、そう言えば国木田には言っておこうと
思っていた事があったんだ」
私は彼を呼び出した本当の理由を言っていなかった。
「ん? なんだい広樹の惚気かい?」
「うん、それもあるけどさ……実は私」
「私?」
「なんと……

〜!!」
「へぇ〜……
……
……
……
はい?」
国木田は全ての行動が止まった。
そしてゆっくりとこちらを向いてきた。
「だから結婚したの〜!!」
「……誰と?」
「私と広樹」
「いつ?」
「1週間前に!!」
「ほぅ……
えっ……
はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
なんだよそれ!? 聞いてないんだけど!?」
「だから私は樋口翔子じゃなくて
だよ〜〜!!」
ちなみにまだ名前を書き間違えたりする。
まぁテストとかは樋口で書いているけど。
「いやいや誰も名字が変わったって聞いてないし!?
そもそも君ら付き合って何ヶ月!?」
「1ヶ月だよ〜でも私達付き合う前は
10年以上の付き合いあるからね!!」
「その間付き合ってないだろ!?
友達以上恋人未満だったよな!?」
「ふふん〜羨ましいだろ〜!!
見てっ!! この左手の薬指にあるモノを!!」
と私は自分の左手を国木田に見せる様にした。
「ま、ま、ま、ま、まさかそれは……」
「そう!!これは結婚指輪!!
広樹がバイトで貯めていたもので買ってくれんだ〜!!
どやぁ〜〜!!」
「マジかぁぁぁぁ〜〜!?」
「えっへん!! これで私は人妻大学生だよ!!
どうだ羨ましいだろう〜〜!!」
「くっ……これが七海にバレたら後でとても面倒だ……
毎日、机に結婚雑誌置かれる……!!」
「あぁ〜それ私も広樹にやったよ?
というか私も広樹と同棲しているよ?」
「いつの間に!?」
「う〜んと……付き合い始めてわりかしすぐに」
「付き合い始めてすぐって……あの事件のあとすぐ?」
「そう!!」
「早っ!? というか2人の両親は許したの!?」
「私のお母さんは大喜びだったよ?
“早く孫の顔が見たい”って。
あとお父さんは気絶していた」
「お父さん〜〜!?」
うん、あの時のお父さんの顔は真っ白だった。
私が帰った後にお母さんから聞いたんだけど
大泣きだったらしい。
「広樹のご両親にはなんか謝られたよ。
“ウチの息子が迷惑かけてすまない”って
“息子で本当にいいの?”そう言われたよ。
もう、私には広樹しかいないのに」
「おいおい嘘だろ……まさか僕の周りで一番早く結婚
するなんて……まさかのまさかだよ……」
国木田は見慣れた頭に手を当てている
ポーズをとっていた。
「なので私は澁澤翔子だよ!!
あっ、でも大学では樋口翔子だから、そこんとこ
よろしく〜」
「はいはい。理解が追いつかないけど分かった。
ーーそして樋口さん……いや澁澤さん」
「ん? 何〜?」
「今さ、君は幸せかい?」
「そんなの言うまでもないよ〜
ーー幸せに決まっているじゃんっ!!」
私は国木田からの問いに私が出来る精一杯の笑顔を
向けて、そう答えた。
「そうか……そうか、それなら良かったよ。
それなら僕が手伝った意味はあるかな」
と優しく微笑んだ。
「ーーあれ拓海?」
「ん?あ、広樹……!!」
「あぁ広樹か……なると2人はこれからデートかい?」
「そうだ」
「うん……そうだよ……」
「待って、樋口さん、喋り方?」
「……澁澤」
「分かりましたよ、澁澤さんや。
ーーいくらなんでも話し方変わりすぎじゃない!?」
「気のせい……気のせい……」
「いやいや!? 最早それって別人レベルで違うよ!?
何でこうなった!?」
「それが翔子……俺の妻は、俺がいると話し方が
前のコミュ障の頃に戻るんだ」
「妻……えへへ」
「……さりげなく“俺の妻”って言ったし。
へぇ……こんな事もあるんだな……
ーーそんな訳あるかぁぁぁ〜〜!!」
国木田がキレた。
「流石……ノリツッコミの……国木田」
「そんな称号いらん!! 最早別人だろ、これ!?」
「まぁ……俺もそう思うが……それはそれで
俺にしか見せない翔子……妻の可愛い面だからな」
「言い直さんでいいわ!!」
「妻……可愛い……へへ」
この“妻”という単語は広樹からよばれる度に
胸がキュンキュンする。
「あれ〜僕が知っている樋口さ」
「ーー澁澤」
「澁澤さんってこんな
乙女思考の人だっけ?」
「ーーバラされたいの国木田?」
「ほら、今絶対素が出てきたって!?」
「……あなた……国木田が……怖い……」
「大丈夫だ、俺がいる」
「おい〜!?
そこでイチャイチャすんなよ!?
はぁ……全くやってらんねぇ」
という国木田の表情は笑っていた。
「本当に感謝している拓海。
お前がいなければ……」
「だから別にいいって……
あぁもう2人揃って
調子が狂うな……
僕は帰るか。帰って七海と
イチャイチャするか」
というと国木田は席を立った。そして
「ここでの飲み物代は僕が出すから
2人は早くデート行きな」
「……いいのか?」
「いいの……?」
私達2人が聞き直すものも
「そりゃおめでたい事が
あった時は奢るよ。
ーー結婚おめでとう、2人とも。
2人のこれからの人生に幸あれ、かな」
恥ずかしそうにいうと国木田は
レジの方に行った。



国木田に奢ってもらった私達は
デートをしていた。
私はいつもみたいに広樹の腕に
抱きついていた。
「ねぇ……広樹」
「なんだ?」
「私達って……色んな人達に……
助けられているね」
「あぁ……確かにな」
今回の事件では国木田には
特に世話になったし
森にも世話になった。
「実は……一つ……返す案が……ある」
「なんだ?」
「国木田達に……旅行を……プレゼント……
しょうかな……って思う。 
どうかな……?」
「いいんじゃないのか? 俺は賛成だ。」
「分かった……じゃあ……それで……
進めるね。
あと、さ……広樹」
「なんだ?」
「広樹ってさ
ーー今幸せ?」
私は先程国木田に言われた質問を
広樹に聞いてみた。
「俺か? そんなの決まっている。
ーー幸せじゃないわけがない。
俺の好きな人が近くで笑っている。
それ以上に幸せな事はない」
「そう……良かった……」
「じゃあ翔子はさ
ーー今。幸せか?」
実はさっき国木田に答えたんだよね……
なんて言える筈もないが、
私の答えは決まっている。
「私はね……
ーー今、凄く幸せだよっ!!
広樹がいて……私を助けてくれる人がいる
……信頼してくれる人がいる……
それが……あって……不幸なわけない、よ」
「ハハッ、俺と同じだなぁ」
「うん……同じ……だよ」
「さて今日はどこに行くか!!」
「私は……広樹と……あなたとなら……どこにでも
楽しく……なれる……」
「ここまで俺と同じか。
よし!! 少し走るからついて来いよ!!」
というと広樹は走り出した。
「ま、待って……広樹……!!
お、置いていかないで……」
「ほら、翔子」
私の方に手を出してきた。
その手を私は掴み、しっかりと握った。
「もう……離さないでね……広樹」
「離せと言われても離すかよ。行くか翔子!!」
うん……うん!! 行こっ!!」



ーーずっと交わる事は無いと思っていた。

ーー私と彼の人生。

ーー色々と事件や困難はあった。

ーーけれどもその度に助けてくれた人達がいた。

ーーその人達のお陰で私達の人生はもう一度
交わる事が出来た。

ーーこれから、その恩を返していこうと思う。

ーーだけどさ。

ーー今、この時ぐらいは甘えてもいいよね?

ーー恩返しとか色々な物はまた後で考えるから

ーー今はこの最高な瞬間を楽しむよ。

ーー私の世界と共にねっ!!















ここまで読んで下さった方
応援して下さった方
本当にありがとうございます!!

まさかの思い付きで書き始めたスピンオフ
ですが様々な方々の応援をいただき
なんとか完結までこぎつけました。

実は自分にとって初めての
完結までいった作品でした。
これで一つの作品を書き終えたので
次は新作か残っている作品を
書こうかなと思っています。

一度この物語は完結としますが
ちょくちょくアフターストーリーを
書いていきますので読んでいただけたなら
幸いです。

最後になりますがここまで
お付き合いして下さった皆さん
本当にありがとうございます!!
これからもどうか本編も含めて
どうかよろしくお願いします!!

コメント

  • Qual

    樋口さんが幸せになって良かった(*^^*)お疲れ様でした!本編も甘々で頑張って下さい!!

    2
  • ミラル ムカデ

    これ思い付き!?
    クオリティとか表現力が素晴らしすぎて画面に食いついて読んでました
    本編も頑張って下さい

    2
  • Yori

    スピンオフお疲れ様でした!
    思いつきで書いたとは思えないクオリティでした!
    本編も楽しみに甘々な話をお願いします!

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