私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

惨めな姿は見飽きた



今回は今回の犯人のその後の話です。





広樹と翔子が愛を確かめ合っている頃……
とある場所にて
「あいつらめ……!! よくもやってくれたわね……!!
今度はどんな事して絶望させようかしら……!!」
三浦亜紀は1人で逃げていた。
ナイフで広樹を刺したあと、混乱に乗じて逃げた。
最後に国木田から受けた一発が予想以上に身体に響いて
おり、中々足取りが思うようにいかない。
「ま、まぁでも……次はどんな絶望した顔が
見れるのかしら。それだけは楽しみだわ」
次に翔子と広樹を痛めつけるにはどんな事をすれば
一番良いのか頭の中で考えていた。
「澁澤の前で翔子には酷い目にあってもらおうかしら……
翔子の泣いた顔……澁澤の絶望した顔……楽しみだわ」
「ーーいやいや先に絶望するのはあんただよ」
「……!?」
三浦亜紀が驚いて前を見ると、そこには……
「あんたは翔子の……!!」
「やぁ樋口さんの同期の国木田です。
ーーおっと森しっかり後ろ見張れよ?」
「分かりました〜!! さてどうしてやるか」
「くっ……」
後ろから逃げようとしたら既に森が回り込んでいた。
「あんたはこれからの事を考えているみたいだけど……
これからはあんたに無いよ?」
「……どういう意味?」
「そのままの意味さ。少なくとも今まで通りの生活は
できるなんて思わないでね?」
「だからどう意味かって説明しなさいよ!!」
「なぁあんた一応さ、裏で暗躍していたんだろ?
なら少しぐらいは分かって良いんじゃないの?」
と国木田はわざとからかう口調で投げかける。
「うるさい!! あんたが私に命令すんな!!」
「はいはい、分かりましたよ。
ーーでは説明させてもらいましょうかね。
まず樋口さんがあんたらの悪事を色んな場所に
ばらまいたのは覚えているよね?」
「当たり前じゃない!! まさかあんな奴に足元を
救われるなんて思わなかったけど……!!
まぁ後で戒厳令をしけばいくらでも
無理はきくしね!!」
「だよな、あんたの事だ、どうせそんな事すると
思っていたよ。汚い手でも使って黙らせる事なんて
あんたの一族の常套手段だもな」
「へぇ〜よく知っているじゃない。
冷静な状況判断に鋭い観察眼。
そしてそれなりに護身術も出来る。
翔子は嫌だけど、あんたは気に入った。
ーーどう? 私の右腕にならない?
それなりに払うものは払うわ」
「ハハッ、笑わせる。誰があんたの右腕なんかに
なるかよ。というか僕は人に仕えるのが苦手なんだ」
「ほう……じゃあ対等な立場になりたいと?」
「はぁ……あんたは本当に馬鹿か?僕が言いたいのは
ーーあんたみたいな人間に協力するつもりはないし
仕えるなんて以ての外だよ」
「よっ、流石大先輩!! カッコいい〜〜!!」
「……森は茶化すのをやめようか。
じゃなかった、まぁあんたは今日でおしまいだろう」
「フンッ、笑わせないで。あんたら2人で何が出来るの?
私の命令で動ける人間は何人もいるのよ。
その気になればすぐに……」
「“すぐに”なんだい?
やれるもんならやってみなよ?
なんなら今すぐ電話でもしたら?」
「その発言後悔するわよ?」
というと三浦亜紀はスマホを取り出し、どこかに電話を
し始めた。しかし中々繋がらない。
「おいおい、どうしたあんたの命令で動く連中の
皆さんはどこに行ったんだい?」
「うるさい……!! 何よ何よ!!
どうして繋がらないのよ!!」
「もう終わりかい〜〜?」
「まさか……あんた何かしたわね?
答えろ!! 何をしたの!?」
「そんなの簡単さ。
ーーあんたの言う事を聞かなくて良いように
したんだよ」
「どういう意味よ!!」
「あんたは人の弱みを握って、自分の言う事を
聞かせていたんだろ? なら簡単さ。
ーーその握られている弱みを無くせばいい」
「はっ?」
「だから、あんたが頼りそうな弱みを握っている人間に
話をつけに行ったんだ。
“僕の話を聞けば、君は一生脅されずに済む”って」
「そ、そんな事あんたにどうやって出来るのよ!!」
「あんたが人の弱みとして握っていた情報を全て
盗んで、それを消去or本人に手渡しにした」
「ま、まさかあんた……!?私の情報を盗んだの!?」
「さっきそう言ったろ……あとついでにあんたと
あんたの父親の悪事をバラす範囲を更に広めたから
そろそろあんたの家ヤバイんじゃないの?」
多分今頃、三浦の家は凄いことになっているだろう。
「……!? う、嘘よ!! こんなの嘘に決まっている!!
この私にそんな事ありえない!!」
「まぁ信じなくてもいいさ。
だけど家に帰れば嫌でも理解すると思うよ?
ーーまぁ、もしかしたら家に着く前に
に乗って
いるかもしれないけどね〜〜」
「車って、あの白と黒の車ですか?」
「そうそう、ついでにサイレン付きの」
「おぉ……俺の予想とピッタリです」
「ね、ねぇ……」
「ん?」
「お願いだから……たすけて……?」
「はい?」
「だから助けて……私まだ捕まりたくない。
まだ私はやりたいことが……」
と命乞いをする三浦亜紀。
それを見た国木田は侮蔑の視線を彼女にして
「やりたいこと……?
あんたが何言っているのさ?
色んな人のやりたい事を奪ってきたあんたが
今更何を言うんだ?」
「こ、これからは……」
「あんたにこれからは無い。
僕の同期をあんたの嫉妬心で数年間酷く傷つけたんだ。
その上、あの子にとっての一番大事な存在
彼女にとっての“世界”を奪ったんだ?
ーー今度はあんたが奪われる側だよ」
というと国木田は一度言葉を区切り……
「よくも僕の同期を数年間に渡って悲しませたな。
その罪、しっかり身をもって味わえよ、クズが」
そう言うと国木田は三浦に背中を向けた。
「あ、あれ先輩帰るんですか?」
森は三浦の後方を見張るのをやめて国木田の元に来た。
「あぁ帰るさ。これ以上、ここにいたら気分悪い。
何よりこいつの惨めな姿は見飽きた」
「分かりました。では俺もご一緒します」
森も国木田に引き続き背中を向けた。
「待って!? 助けて!!私を助けなさいよぉ!!」
「ーー断る」
「先輩がそう言うなら俺も断るわ」
「なぇ金なら払うから!? 今までの謝罪もするから!!
だからどうかお願い……」
「前に樋口さんが言っていたんだ
“悪人の命乞い程見ていて無駄”って
ーーまさにそうだったな。本当に無駄だな。
見ていて一銭の価値も無い」
「待って……お願い……待って……私を……」
「樋口さんを苦しませた倍以上の時間であんたは
苦しみ続けな? あんたにはそれがお似合いだ。
帰るぞ、森」
「うぃっす。確かに価値無いっすね」
「お願い……!! 私を……見捨てないで……!!
嫌……嫌ぁぁぁぁぁl!!」
三浦の叫び声が響き渡っていくなかで
国木田達はその場を後にしていくのであった。






次回、とうとう最終回

どうか最後までお付き合いください!!


コメント

  • あいす/Aisu

    それな

    2
  • ミラル ムカデ

    全く持って同意見

    2
  • Qual

    国木田先輩マジかっけぇっす(*^^*)

    2
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