私の世界〜「部活の後輩と付き合ってみた」スピンオフ〜

きりんのつばさ

終身刑か










「俺は……まぁ特に弁明するつもりは無いな」
「……詳しく話を聞かせて」
「俺はクラスでの自分の立場が危なくなるのが
嫌だったから、クラスメイトに合わした。
ただそれだけだ」
「なるほどね……でも許すつもりは無いよ?
だって今まで聞いたきた全員が同じ事言っているし

ーーそして広樹の親友だったのにっていうのもあるし」
この男は広樹の親友だったのくせに我が身可愛さで
広樹を売ったのだから。
「あぁ、別に許してもらえるなんて思ってない。
俺はそれぐらいのことをしたんだから」
「……貴方の罰は全部話を聞いた後に決めるよ。
で、貴方は誰の指示で広樹の悪評を広めたの?」
「俺は特に誰からという訳では無い。
今ここであいつらに味方しないと俺が次に同じ立場に
なると思ったからな。
ーーというか樋口は誰が犯人かは分かっているだろ?」
「まあね、という本当に貴方は自分を守ることを
しないんだね〜ある意味清々しくていいよ」
「だからさっきも言ったろ? 俺は弁明するつもりは無い。
お前が俺に罰を与えるならそれで構わないし
文句は無い」
「あらら素晴らしい自己犠牲なこと〜」
「俺はあいつが居なくなってから自分がどんなことを
していたのかを理解した。 それで最近あの時の
クラスメイトが危ない目にあっているのを聞いてな……
広樹と全く関係無い人物だったら多少は恨んだかも
しれないが、広樹に関係ある……しかも広樹との会話で
一番出ていた人間からの復讐なら文句は無い」
「一番会話に出ていた? 私が?」
それは初耳だ。
広樹が友達とかに私の事を話していたなんて。
「そう。樋口、お前が一番あいつのと会話で出てきていた。
あいつはそれだけお前の事を気に入っていたんだろ。
ーーお前がイメチェンする前から」
「……貴方は分かっていたの?」
「分かっていたというよりも、明らかに昨日までと
違っていたら普通おかしいって思うだろ。
ーーまぁクラスメイト達は特に疑問に思っていなかった
みたいだけどな」
と皮肉めいた口調で吐き捨てる様に言った。
「1つ疑問なんだけど。
なんでその時に私が変に変わったというのをクラスメイトに
話さなかったの? 話さなくても私を脅迫することは
可能だったよね? 隣にいる国木田なら絶対するのに」
「おい、待て。僕はそこまでクズな人間に見えるか?」
隣で私の同期が何か文句を言っているようだが
とりあえず無視をすることにした。
「そうだな、そんな考えも言われてみればあったな……
俺の場合はクラスメイトに
そこまで義理があった訳でも無いからな」
と自嘲気味に言った。
「私は貴方を許すつもりは無いけど
貴方も色々と悩んでいたんだね」
私は私以外の全員の元クラスメイトが大してあの時の事を
悔やんでいるとは思ってなかった。
だけど彼みたいに悔やんでいる人いたのかを思った。
なんとなくだが彼は本心で悔やんでいるようだった。
表情こそ出さないが、口調、話のトーン、内容を
よく観察していると彼は悔やんでいるんだと分かった。
「なぁ樋口さん」
「どうしたの国木田?」
「彼ぐらいは許してもいいんじゃない?」
「……いや、俺は許されなくていい。
しかも樋口、お前になら俺は復讐をされても構わない」
「……分かった。宮沢君、貴方は色々悩んでいたり
悔やんでいたのはよく分かった。しかも貴方は私に
復讐されることを望んでいるようだし。
貴方に罰を与えよう」
「樋口さん!?」
「じゃあ貴方への罰は……」
「俺への罰はなんだ? リンチか? ゆすりか?
それとも秘密をバラされるのか?」
「宮沢君への罰は
ーー私がここに来るたびに抹茶ラテを必ず二杯以上
奢ることにしよう!!」
「「はっ?」」
国木田と宮沢は同時に驚いた表情をした。
「だから貴方への罰は私がここに来るたびに抹茶ラテを
二杯以上奢る事だよ」
「いやいやそれは軽くすぎやしないか?」
「ふふん、違うんだよ。私がここに来て貴方が私に
奢れば、その度に自分がした事を悔やむでしょ?
つまり貴方は一生自分のした罪を忘れる事が出来ない。
いわば終身刑だ〜〜!!」
「……終身刑か。はっ、俺にはそれがお似合いか
俺はそれでいいが、本当にお前はそれでいいのか?」
宮沢は再度私へ確認してくる。
確かに彼にしては軽めだろう。

ーーだけど実は彼が昔から悔やんでいた事は知っていた。
時折、放課後に広樹の家があった場所を訪れて
何とも言えない表情をしていたのを私は隣の家である
私の家から見ていた。

「私は貴方を許さない。だからこんな風にする。
一生自分がした事に後悔し続けな。
ーーでも貴方は少し軽めにしてあげるよ」
「……御気遣い感謝する。では最後に」
と言うと彼は席から立ち上がり私の方を向いて
「あの時は本当にすまなかった。いくら謝っても
許されるなんて思わないが本当に悪い事をした。
申し訳ない」
と深く頭を下げてきた。
「私は貴方を許さない。絶対に。
ーーこれでいいでしょ?」
私がそんな風に言うと彼は少し笑いながら
「あぁ、それでいい」
と言ってきた。









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